2021年9月3日、アメリカの雇用統計(8月分)が発表されました。
今回はその結果とテーパリングへの影響の可能性をまとめました。
1. 米国雇用統計とは
1-1. 概要
読んで字のごとく、アメリカの雇用状況を調査した統計で、アメリカ労働省が毎月発表しています。
アメリカの景気を示す重要な経済指標の一つで、世界中の市場関係者に注目されています。
特に注目されるのは、”失業率”と”非農業部門雇用者数”の2つの項目です。
失業率は、労働力人口のうち失業者(就業が可能かつ希望しているにもかかわらず仕事がない)の割合を表します。
非農業部門雇用者数は、農業部門以外の雇用者数の増減を表します。例えばこの項目が50万人だった場合、先月より雇用者が50万人増えたということになります。
1-2. なぜ注目されるのか
為替レートや株式などの市場に影響を与える指標のため、元々注目はされていましたが、今回はテーパリングの実施時期を左右する決め手になるとして、一層注視されています。
テーパリングを開始するには「最大雇用」と「物価の安定」の目標達成が不可欠でしたが、7月のFOMCではこれらの目標に対して”どちらも前進している”、”物価の安定については基準を達成した”という見方が多数となりました。
つまり2つある目標のうち片方は達成されたので、残りの「最大雇用」が達成したと見なされればテーパリング開始の準備が整ったことになるのです。
詳しくは7月のFOMCの議事録内容をまとめたこちらの記事でご紹介しています。
年内にテーパリングが示唆される可能性はかなり高く、今回の雇用統計が好調な結果であれば9月に実施示唆、そうでなければ11月に実施示唆されると予想されています。
2. 予想・実績数値
2021年8月(9月3日発表分)の雇用統計の市場予想は、失業率5.2%、非農業部門雇用者数75万人です。
それに対し、今回は失業率5.2%、非農業部門雇用者数23.5万人と、非農業部門雇用者数がかなりショートする結果となりました。
予想の75万人から69%も低い結果です。
3. まとめ
今回の雇用統計の結果は”景気がまだ回復しきれていない”ことを示すような結果となりました。
株式市場には追い風となりそうです。
年内にテーパリングを実施する方針は打ち出されているので、11月のFOMCでの発表が濃厚となってきましたね。
なお、今後のFOMCの予定は下の表の通りとなっています。
ちなみに、雇用統計が発表された21時30分(日本時間)、米国債10年利回りは一時下げたものの、その後上昇に転じ3%を超える(2021年9月3日22時4分時点)上がり幅を見せています。
気になる方は市場の動きを見てみるのも良いかもしれません。
補足:今後のFOMC予定
- 2021年FOMC開催予定
- 9月 21~22日
- 11月 2~3日
- 12月 14~15日
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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