ディセルナ・ファーマシューティカルズ(ディサーナ・ファーマシューティカルズ / Dicerna Pharmaceuticals, Inc. / DRNA)の6月締め四半期決算(2021年第2Q)について、アナリスト予想とも比較しつつその内容をまとめていきます。
■ディセルナの事業内容や年次決算について紹介した記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較(EPS)
アナリスト予想を下回るEPSが続いていましたが、第2Qは予想値が高かったこともあり、大きく乖離してしまいました。

次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移

これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)
2021年第2Qは、第1Qと比較して売上減少・純損失が増加しています。
また、前年同期と比較しても売上はほぼ変わりません。(2%増加)
ディセルナはまだ販売できる商品を持っておらず、共同研究やコラボレーションによるロイヤルティ、マイルストーンを売上(収益)としており、一部企業からの売上が増加したものの、他企業の減少で相殺されました。
また、事業に関する営業費用は10%増加しており、純損失は28%増加しました。
3. その他の補足
3-1. 株価の暴落
原発性高シュウ酸尿症の治療薬”Nedosiran”の臨床試験の一部の結果を受け、8月6日に株価が暴落しています。
これは、原発性高シュウ酸尿症2型の患者に対して一貫した有効性が認められなかったことが原因で、現在も株価は急落後とあまり変わらない水準にあります。(2021年8月10日時点)
(詳しくはこちら↓の記事で紹介しています。)
3-2. 臨床試験の予定
原発性高シュウ酸尿症の治療薬”Nedosiran”については、1型患者の治療薬として、第4Qに新薬承認申請(NDA)を提出する予定です。
また、3型患者への投与試験の結果が10月に発表される予定となっている他、第3Qに1型・2型の0~5歳の患者を対象とした非盲検試験が開始されます。
α-1アンチトリプシン欠乏症関連肝疾患の治療薬”belcesiran”は6月から第2フェーズの投薬が行われており、中間データでは忍容性(副作用の程度)は良好で、投与量によって病状の数値に変動が起きることが確認されています。
アルコール依存症(アルコール使用障害 /AUD)の治療薬”DCR-AUD”は、FDA(米国食品医薬品局)からIND(治験薬申請)を承認され、第3Qに第1フェーズの臨床試験を行う予定です。
また、コラボレーションの治療薬にも臨床段階のものがあります。
4. まとめ
ディセルナ・ファーマシューティカルズ(Dicerna Pharmaceuticals, Inc.)の第2Qは、あまり良い結果ではありませんでした。
売上・EPSのアナリスト予想を大きく下回る結果も残念ではありますが、やはり先日発表された、原発性高シュウ酸尿症の治療薬”Nedosiran”が2型患者への治療薬として不十分という点が暗い影を落としています。
しかし、アルコール依存症の治療薬”DCR-AUD”のIND承認など明るいニュースもあるので、ポジションは下げつつ今後も見ていきたいと思っています。
(ディセルナ・ファーマシューティカルズの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)
今回の記事は2020~2021年のDicerna Pharmaceuticals, Inc.の決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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