2021年9月15日の、ダニマー・サイエンティフィック(Danimer Scientific Inc / DNMR)の株価下落について、その理由をまとめました。
第2Qの決算が好調(ただし事業外収益によるところが大きい)で、株価は値上がりを見せていましたが、今回の急落で決算前の水準まで戻っています。
1. Danimer Scientific Incについて
1-1. 概要
ダニマーは、化石由来原料を含まない生分解性バイオプラスチック(微生物によって分子レベルまで分解され、最終的には水や二酸化炭素になって自然へ還るプラスチック)を製造するメーカーです。
生分解性プラスチックの認証機関から認証も受けており、従来の石油から作られるプラスチックの、有効な代替手段を提供するとして注目を集めていました。
なお、2020年12月29日にSPAC企業であるLive Oak Acquisition Corp.と合併を完了し、翌12月30日から現在の”ティッカーシンボル DNMR”での取引を開始した、SPAC IPO企業です。
■ダニマーのより詳しい事業内容や年次決算分析などはこちらの記事で紹介しています。
1-2. チャート
2021年9月15日に、株価は急落しています。
若干の反発もあったため、最終的に約15%の下落で落ち着きました。
2. 下落理由は投資会社のレポート
今回の株価下落の主な理由は、同日に投資会社が発表したレポートです。
2-1. マディ・ウォーターズ・リサーチが発表
このレポートを発表したのは、アメリカの投資会社マディ・ウォーターズ・リサーチ社です。
同社は、過去に複数の企業の会計問題・不正などを暴いてきた実績があり、特に中国企業Sino-Forest Corpの不正発見が有名です。
なお、このレポートの発表時、マディ・ウォーターズ・リサーチは、ダニマーの株を空売りしています。
2-2. ダニマーは投資家の誤解を招いている?
マディ・ウォーターズ・リサーチは、レポート内で”製品のTAM(Total Addressable Market。需要・獲得可能な可能性がある市場規模)を偽り、投資家を欺いている”(※1)という旨の発言をしています。
また、”スケーラビリティ(規模拡大への適応可能な度合い)、製品開発力にも問題があり、商業規模の生産や、より需要の高い商品の生産を、近い将来に実現するのは難しい”(※1)といった内容の推測・分析も盛り込まれています。
特にTAMについて、ダニマーは”従来の石油から作られるプラスチックの63%以上、つまり年間5,000億ポンド以上を代替できる可能性がある”(※2)としていますが、マディ・ウォーターズ・リサーチは否定的です。
マディ・ウォーターズ・リサーチはこの5,000億ポンドについて”一部の投資家が「ダニマーのTAMは1兆ドル」だと考えている”(※1)とした上で、”TAMは40億ドル~50億ドルだと考えるのがより現実的”(※1)だと述べています。
また、一部大手企業との共同開発についても”商業規模の契約は結べていないだろう”(※1)との見方をしています。
※1:Muddy Waters Research社レポートを参照(https://www.muddywatersresearch.com/research/)2021年9月16日閲覧
※2:ダニマー2020年10-Kを参照(https://ir.danimerscientific.com/sec-filings)
3. まとめ
売上を少しずつ増加させていたダニマーですが、今後の見通しをどう予想するのか、少々考えさせられるレポート内容でした。
認証を取得しているので、技術力がゼロということは無いと思っていますが、近いうちに大きな成果を期待するのは難しいかもしれません。
ただ、クロとしては、元々長期投資目的であったことと、SPAC銘柄なので少量しか購入していないので、ひとまずはこのまま見守っていこうと考えています。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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