ギンコ【DNA】銘柄分析_細胞プログラミング技術/競合ZY買収発表

米国株の年次決算書・銘柄分析
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ギンコ・バイオワークス・ホールディングス(Ginkgo Bioworks Holdings Inc /DNA)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。
■ザイマージェン買収について早く知りたい方はこちらをクリックするとスキップできます。

1. Ginkgo Bioworks Holdings Inc(DNA)について

1-1. 業種

バイオテクノロジー、ゲノム、遺伝子編集

1-2. 事業の概要

ギンコ・バイオワークス・ホールディングスは、合成生物学による細胞のプログラミングプラットフォームを提供する企業です。
物理・デジタルの両方の生物学的資産を保有しており、顧客に代わって生物のDNA(デオキシリボ核酸)コードを設計し、新製品の開発などに繋げることを目指しています。

2021年末時点での取り組み数は累計105プログラムとなり、コードベースの規模拡大、学習の効率上昇・累積が続いています。

また、物質や製品の開発・製造を事業とするのではなく、あくまで様々な顧客にプラットフォームを提供するビジネスモデルであるとしているのが特徴で、化学、農業、食品、医薬品、消費者向け製品などといった幅広い分野での顧客を抱えています。

ちなみに合成生物学とは、細胞や遺伝子という部品を組み合わせて人工的に生物システムなどを組み立てる学問分野で、イメージとしては遺伝子組み換えに近い技術です。
既存の目的物質や新しい物質・製品を作り出せる次世代技術として非常に注目されている分野で、競合となるアミリス(AMRS)ザイマージェン(ZY)と共に、ギンコ・バイオワークスも期待を集めています。

なお、ギンコ・バイオワークス・ホールディングスはSPAC IPOした企業で、合併したSPAC企業はSoaing Eagleです。

1-2-1. ザイマージェンなどの買収

2022年7月、競合であるザイマージェン(ZY)の買収を行うことが発表されました。
全株取引での買収となる予定で、その買収額は3億ドルと見込まれています。
また、取引完了は2023年第1Qの予定です。
なお、この買収が発表されたことで、ギンコ・バイオワークス・ホールディングスの株価は一時下落しましたが、ザイマージェンの株価は上昇しています。

また、Leaps by Bayerの農業生物学分野の施設・チームの取得、そのBayerと2017年に設立した合弁会社であるJoyn Bio取得の契約書にもサインしたことが発表されました。
こちらの契約金は8,300万ドルで、取引は2022年末までに完了する予定となっています。

1-3. チャート

ギンコ・バイオワークス・ホールディングスの株価チャートです。

2021年11月以降下落傾向が続いていますが、ここ数ヶ月は2ドル~3ドルの間で推移しています。(2022年8月1日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • ひとまずの資金繰りは問題なし
  • 自己資本比率は70%超え
    ※SPAC IPOしたばかり
  • 赤字続き・キャッシュフローは良くない

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

DNA貸借バランス_2021

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”安定タイプ”です。

流動比率、当座比率どちらも非常に高く、ひとまずの資金繰りには問題ありません。
9月のSPAC IPOによって得た資金がまだ潤沢にあるようです。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は約73%とかなり高い数値です。
こちらもSPAC IPOによる資金調達が行われたばかりだということが大きく影響しています。

2-1-3. キャッシュフロー

営業活動がマイナス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはマイナスです。

事業では大きな損失を生んでおり、多額の株式報酬の戻入れで相殺してもマイナス収支という結果になっています。

財務活動は大きなプラス収支ですが、これは主にSPAC IPOによる資金調達の影響です。

2-1-4. 項目まとめ

SPAC IPOによって多額の資金を調達できているので、ひとまずは資金繰りに困ることはなさそうです。
ただ、事業からは大きな損失を出しており、この状況が続けば新たな資金調達が必要になるでしょう。

2-2. 収益性

  • 2021年度の純損失額は18.4億ドル
  • 赤字続きで収益性はまだない

事業は赤字続きで、収益性はまだほぼない状態です。
2021年度は売上3.1億ドルに対し、純損失額18.4億ドルとなっています。

2-3. 経営の効率

  • 総資産回転率は低い
  • 売上増加と同時に資本も増加

2-3-1. 各回転率

2021年度は売上が前年の4倍に大きく増加しましたが、総資本回転率は最低ラインの1回よりかなり低い状態です。
これは、SPAC IPOによって資本が増えたことが大きな要因となっています。

なお、棚卸資産(在庫)は主に検査キットや消耗品で構成されています。

2-3-2. 項目まとめ

現状は回転率が低く、あまり効率的とは言えません。
売上が更に増えれば回転率が上昇する可能性もありますが、2022年度~2023年度も買収などによって資産・資本が増加すると考えられます。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 2021年度は売上が4倍に
  • ただし最も増えたのは新型コロナ関連
  • 営業損失が急増
  • 研究開発費は売上の約3.7倍

2-4-1. 売上高と営業利益

DNAの売上高推移_2021

2021年度の売上は前年度比309%増加と驚異的な数値でした。
これはアクティブなプログラム件数が前年度の49から71に増えたこと(2021年度に新たに開始されたプログラムは31件)による使用料の増加、そして新型コロナ(COVID-19)検査製品・サービスの売上増加によるものです。

ただ、この売上増加は主に後者(新型コロナに関する検査製品・サービス)がけん引しているという点には注意が必要です。
2020年度と2021年度の売上の差額である2.4億ドルのうち、約1.8億ドルが新型コロナ関連による収益増加分となっていますが、2022年以降も同様の需要があるかはわかりません。

なお、2022年度第1Q(記事作成時点の最新決算)では、プラットフォーム使用料などからなるファウンドリー収益が前年同期比4.5%減少、一方で主に新型コロナ関連の収益であるバイオセキュリティ収益は580%増加となっています。
また、第1Q終了時点でのアクティブなプログラム件数は64だとしています。

DNAの営業利益(損失)推移_2021

営業損失は前年度比1,234%増加しました。
これはSPAC IPOに伴う費用や株式報酬の増加が主な要因となっています。

また、2022年度の第1Q時点では、既に営業損失が674.5百万ドル発生しています。

2-4-2. 研究開発費

売上高は約313.84百万ドル、研究開発費は約1,149.66百万ドルだったので、売上高研究開発費率は366%となります。

売上を大きく超える研究開発費が発生しており、通常の企業ではありえない数値ですが、まだまだプログラムの試験を繰り返している段階であるギンコ・バイオワークスの状況を表していると言えるでしょう。

2-4-3. 項目まとめ

売上の大きな成長が魅力的ですが、その大部分が新型コロナの検査に関する内容であった点が気になります。
また、2020年度と2021年度を比較するとアクティブなプログラム件数が増加していますが、2022年度第1Qでは若干減少しています。

次世代技術として期待したいところですが、本業であるはずのプラットフォーム使用料・ファウンドリー収益の伸びはあまり順調に見えません。

3. まとめ

クロとしては、ギンコ・バイオワークス・ホールディングス(DNA)は、今後も注視するつもりですが、まだ保有するつもりはありません。

SPAC銘柄、赤字続きといった面でリスクが高いことはもちろん、本業部分の売上成長が安定していない点が気になるからです。

ただ、ザイマージェンを買収してプラットフォームを統合することも明らかにされ、いずれは合成生物学分野でオールマイティな力を発揮する可能性もあります。
そのため、今後も随時情報を追っていきたいと思います。

今回の記事はGinkgo Bioworks Holdings Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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