カナディアン・ソーラー【CSIQ】銘柄分析_最大規模の太陽光発電企業

米国株の年次決算書・銘柄分析
スポンサーリンク

カナディアン・ソーラー(Canadian Solar Inc. / CSIQ)の決算書分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

2021年第4Q・通年の速報はこちら

1. Canadian Solar Inc.(CSIQ)について

1-1. 業種

再生可能エネルギー、電子製品

1-2. 事業の概要

カナディアン・ソーラーは、カナダの太陽光発電製品メーカーです。太陽電池、モジュール(パネル)などの製品の開発・製造・販売だけでなく、太陽光発電製品の設置やO&M(オペレーション&メンテナンス)などを一貫したターンキーソリューションとして提供しています。

住宅用製品ももちろんありますが、規模な数十~数百MW規模の太陽光発電所プロジェクトにも携わっており、中にはプロジェクト開発から行っているものもあります

2020年の売上高はサンパワーの約3.1倍(2019年のMaxeon Solar分連結売上高で計算すると約1.9倍)、エンフェーズ・エナジーの約4.5倍で、従業員数も約13,000人という大規模な企業です。
なお、製造のほとんどを中国・東南アジアで行っています。

1-2-1. ウイグル自治区での発電所報道と批判

2021年1月、中国の新疆ウイグル自治区で太陽光発電所を運営していることが報道で明らかになり、批判を受けました。また、同自治区に工場を置くポリシリコンメーカー”GCL-Poly社”と、2019年に大きな契約を結んでいたことも報道されています。

これを受けてか、カナディアン・ソーラーのコーポレートサイトには”サプライチェーンを綿密に調査し、輸入する商品が、禁止された形態の労働で生産・製造されていないことを確認している”旨が記載されています。

新疆ウイグル自治区の強制労働問題は米国でも問題視されており、労働組合が新疆ウイグル自治区で生産されたポリシリコンなどの輸入を禁止するよう求めるなど、その注目度は高いです。(SEIA誓約書については、まとめに記載)
なお、ちょうど株式市場が下げ調子となった時期と被るため影響度合いは計りかねますが、バイデン大統領が同問題を巡りG7へ中国への圧力を働きかける方針だと報じられた後、カナディアン・ソーラーの株価は約20日間で30%近く下がりました。

1-3. チャート

カナディアン・ソーラーの株価チャートはこのようになっています。2020年6月頃から上昇しはじめ、1月末頃には過去最高値約67ドルに達しました。その後は上下を繰り返しつつ、長期的に見ると値下がりの傾向にあります。(2021年6月8日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 短期の資金繰りに少々不安あり
  • 2020年はキャッシュフローが悪化
  • 自己資本比率は低め

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2020年決算書におけるCSIQ貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”ギリギリ運用タイプ”です。

流動比率は約120%、当座比率は約50%で、短期の負債に対して資金がかなり少ないです。(一時的に下がったわけではなく、ここ数年上昇してきてこの数値)
固定比率は約150%と高いですが、純資産と固定負債でまかなえているのでセーフといったところです。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は約24%と低めの数値です。

2-1-3. キャッシュフロー

2020年は営業活動がマイナス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはマイナスです。

2018~2019年はフリーキャッシュフローが十分にありましたが、2020年は在庫の増加、サプライヤーへの立替金の増加、太陽電池プロジェクトの建設費用などで、営業活動によるキャッシュフローがマイナスとなり、フリーキャッシュフローもマイナスとなりました。

また、財務活動では、短期借入金の増加、転換社債の発行、非支配持分(子会社)に関連する収入などにより、大きくプラスとなりました。

2-1-4. 項目まとめ

当座比率が50%と低いのが不安です。改善傾向にある点は評価できますが、2020年はキャッシュフローも悪化しており、あまり安定した財務状況とは言えません。

2-2. 収益性

  • ROE・ROAは低く、下降傾向
  • 利益額の減少、資産の増加が影響している

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

CSIQのROE(自己資本利益率)推移

2019年、2020年とROEは下がり続け、2020年は米国平均の半分程度です。
純利益が同様に減少していることに加え、自己資本は増加を続けているので、よりその傾向が顕著に出ています。

ちなみに確認できる中で最も利益額が大きかったのは2014年で、当時は今より少ない売上高で、その利益を達成しています。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

CSIQのROA(総資産利益率)推移

ROAもROEと同様に上下しており、2020年の数値は米国平均の3分の1程度です。

2-2-3. 項目まとめ

売上高は増減を繰り返していますが、純利益額は直近2年連続で減少しています。全体的に太陽電池モジュールの価格が低下してきている影響もありますが、ROE・ROAは資産の増加の影響もうけるため、より顕著に数値が下降しています。

2-3. 経営の効率

  • 総資本回転率が低い
  • 全体的に回転率は下降傾向
  • 製造業としてみると棚卸資産回転率は低い

2-3-1. 各回転率

CSIQの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率

総資本回転率は約0.5回と低い数値です。売上高が上下しているなかで資本が増加を続けており、下降傾向にあります。

固定資産回転率は約1.5回、棚卸資産回転率は5回です。
設備やプロジェクトに関わる土地などが必要となるため、固定資産が大きくなるのは仕方ない面がありますが、棚卸資産回転率は製造業の平均値7~10回と比較し、低めの数値(在庫が多い)となっています。

2-3-2. 項目まとめ

総資本回転率が低い上、全体的に回転率が下降傾向にあります。
売上高が上下しているとはいえ、2020年は2017年よりも約87百万ドルほど売上が大きい中、資産の増加が影響し、この3つの回転率はいずれも2017年を下回っています。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 売上高は上下している
  • 近年は営業利益が減少
  • 売上高研究開発費率は低め

2-4-1. 売上高と営業利益

CSIQの売上高推移

売上高は3,000百万ドル(30億ドル)を超えて安定しているものの、増加をキープすることができず上下してしています。

CSIQの営業利益推移

2020年は前年より売上高が増加しましたが、営業利益は減少しています。
これには、モジュールの製造コスト増加、運送コストの増加などが影響しています。

2-4-2. 研究開発費

2020年の売上高は約3,477百万ドル、研究開発費は約45百万ドルだったので、売上高研究開発費率は1.3%となります。
科学技術・学術政策研究所によると※1同程度の従業員規模の平均は3.5%で、それと比較するとカナディアン・ソーラーの研究開発費率は低めです。

※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所科学技術指標2019

2-4-3. 項目まとめ

安定した売上がありますが、営業利益含めなかなか安定した上昇ができていません。
太陽光発電事業は競争による平均販売価格の低下が続いており、PPAの取り組みなども行っていますが、すぐに今以上の売上高をあげるのは難しそうです。

3. まとめ

クロとしては、カナディアン・ソーラー(CSIQ)は、安定した売上と利益が魅力的ですが、購入は見送りたいと思います。

売上と営業利益を見ると一旦成長は頭打ちに見えますし、現金の不足や回転率低下ROE・ROAの低さが気になります。
もちろん赤字企業よりもしっかり利益を出している点では間違いなく優秀ですが、今後の成長に投資するという観点には合致しないと判断しました。

また、今後さらに過熱しかねない問題(新疆ウイグル自治区について)があり、この点はリスクです。
2021年2月には、SEIA(アメリカ太陽エネルギー産業協会)が「太陽産業強制労働防止誓約」の共同誓約を発表しており、既に多くの太陽光発電関連企業が署名しています。
(この誓約書にはサンパワーエンフェーズ・エナジーが署名しているが、2021年5月19日更新データではカナディアン・ソーラーの署名は確認できなかった)

今回の記事はCanadian Solar Inc.の決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました