セールスフォース【CRM】銘柄分析_多機能で分析力の高いCRMプラットフォーム

米国株の年次決算書・銘柄分析
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セールスフォース・ドットコム(Salesforce.Com Inc / CRM)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

1. Salesforce.Com Inc(CRM)について

1-1. 業種

CRMソフトウェア、SaaS、マーケティング

1-2. 事業の概要

セールスフォースは、世界最大のシェアを持つクラウドベースのCRM(顧客関係管理。顧客満足度の向上などを通じて売上・収益の拡大を目指すこと)プラットフォームを提供する企業です。

決算書内では”あらゆる規模の企業・ほぼすべての業界”へ製品を販売しているとしていますが、公式サイトを見ると、特に”中小企業向け”という部分がピックアップされています。

買収によって機能の幅を広げることにも積極的で、セールスフォースのCRMプラットフォームである”Customer 360”は、非常に多くのツールを備えています。

ダッシュボード、レポートなども細かくカスタマイズできますし、分析力の高さにも定評があり、ハブスポット(HUBS)以上に多彩な使い方が可能です。
ただその多機能性ゆえに、慣れないユーザーにとっては、複雑でわかりづらいとも言われます。

また、専用AIアシスタント”Einstein”を備えているのもセールスフォースのプラットフォームの特徴です。
各種ツールにまたがってこのAIが働くことで、より精度の高い予測などが可能になります。

顧客の獲得については、電話営業とフィールド営業を各地域の拠点に設置し、アウトバウンド・営業重視のスタイルをとっています。

1-3. チャート

セールスフォース・ドットコムの株価チャートはこのようになっています。
2020年2月頃の新型コロナ感染拡大によって急落した後は勢い良く上昇していますが、8月末から一転して下降し、5月頃までその傾向が続きました。

その後再び強く上昇していましたが、11月下旬頃からは厳しい地合いだったこともあり、大きく値下がりしています。(2021年12月22日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • ひとまずの資金繰りは問題なし
  • 自己資本比率は高い
  • キャッシュフローも安定

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2021年決算書におけるCRM貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”ギリギリ運用タイプ”です。

ただ、流動比率は約123%、当座比率は約118%あるので、ひとまずの資金繰りは何とかなりそうです。
固定比率は107%で少々高いですが、固定負債と純資産でまかなえているのでひとまず問題ありません。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は63%とかなり高めです。

2-1-3. キャッシュフロー

2020年は営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはプラスです。

事業は黒字で、営業活動もプラス収支で終えています。

投資活動では、売買や満期保有を目的とした有価証券の購入に多大な資金を投じています。
また、Vlocityの買収も影響しています。

財務活動のプラス収支は、従業員の株式購入制度利用によるものです。

2-1-4. 項目まとめ

ひとまずの資金繰りには問題ありませんし、事業自体も黒字でキャッシュフローも安定しています。

2-2. 収益性

  • 黒字決算が続く
  • ROAは米国平均の下限値と同等

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

CRMのROE(自己資本利益率)推移_2021

ROEは米国平均とされる16~18%には達しませんが、上昇してきています。

なお、2020年1月期の純利益の小ささ、2021年1月期の大きさには、法人税の調整等も影響しています。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

CRMのROA(総資産利益率)推移_2021

ROAもROE同様に上下しています。
また、2021年1月期は米国平均と同程度の数値です。

総資産は年々増加しています。

2-2-3. 項目まとめ

現時点の収益性は平均以下~平均程度ですが、黒字決算が続いています。

2-3. 経営の効率

  • 総資本回転率・固定資産回転率は低い
  • 棚卸資産の保有はなし

2-3-1. 各回転率

CRMの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率_2021

総資本回転率は最低ラインの1回よりかなり低いです。

また、買収による機能強化に積極的な分”のれん”資産が大きく、固定資産の回転率も低い結果となっています。

なお、棚卸資産の保有はありません。

2-3-2. 項目まとめ

資本の大きさから見ると売上はまだまだ足りません。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 売上は20%台の伸び率で増加中
  • 営業利益は出ているが一貫した増加ではない
  • 売上高研究開発費率は平均の5倍近い数値

2-4-1. 売上高と営業利益

CRMの売上高推移_2021

売上は年々増加しています。
2021年1月期の伸び率は前年比24%で、2021年第3Qまでの9ヶ月間でも同様です。(記事作成時点の最新決算は2021年第3Q)

なお、地域別に見ても全てのエリアでの売上が増加しています。

CRMの営業利益・損失推移_2021

営業利益は一貫して増加せず、上下しています。

近年の粗利率はほぼ変わっていませんが、2020年1月期に営業費用の割合が増加しています。
これは主に人員増加などによって従業員関連費用が増えたためです。

2-4-2. 研究開発費

2021年1月期の売上高は約21,252百万ドル、研究開発費は約3,598百万ドルだったので、売上高研究開発費率は16.9%で、平均の約5倍という数値です。(科学技術・学術政策研究所によると※11万人以上の従業員規模の平均は3.5%とされている。セールスフォース・ドットコムの従業員数は約57,000人)

※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所科学技術指標2019

2-4-3. 項目まとめ

売上の伸び率は控えめですが、継続して成長しています。
また、企業としての規模が大きい中、研究開発費率は高めです。

営業利益が安定して増加していない点は少々気になりますが、買収が多く、その度に従業員数が増えるなど様々な影響を受けているのではないかと考えます。

3. まとめ

クロとしては、セールスフォース・ドットコム(CRM)は成長に期待したい銘柄ですが、買収による資産の膨張・費用の増加が気になるのであまり多く保有するつもりはありません。

シェアNo.1で継続的に売上を拡大している点(黒字で収益化もできている)は魅力的ですが、買収が多いため、のれんが資産の約4割を占めるほどに大きくなっています。
場合によっては減損リスクもあるため、個人的には少々気になります。

また、黒字化して数年経っても利益が安定せず増減しているという点も気になるので、動向を気にしつつ見守っておきたいと思います。

今回の記事はSalesforce.Com Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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