クリーンスパーク【CLSK】銘柄分析_マイニングとマイクログリッドで成長中

米国株の年次決算書・銘柄分析
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クリーンスパーク(CleanSpark Inc / CLSK)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性※2022年度第1Qを考慮
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

1. CleanSpark Inc(CLSK)について

1-1. 業種

仮想通貨(暗号資産)マイニング、ソフトウェア、機械、再生可能エネルギー

1-2. 事業の概要

クリーンスパークは、再生可能エネルギー事業とビットコインマイニング事業を行う企業です。
元々は再生可能エネルギー(代替エネルギー)事業を行っていましたが、2020年12月にATL(ATL Data Centers LLC)を買収してビットコインのマイニング事業へ参入しました。

2021年度(9月末決算)は売上の79%をビットコインのマイニング事業が占めており、エネルギー事業は18%程度です。
また、2020年度と2021年度を比較するとエネルギー事業の売上はほぼ変化がなく、その6割程度を3社の顧客が占めています。

エネルギー事業では、分散型エネルギーシステム”マイクログリッド”に焦点を当てており、複数のエネルギーの統合・効率的な管理や負荷制御、マイクログリッド設計用のソフトウェアを提供しています。

なおマイクログリッドとは、従来の大規模発電所からの送電だけに頼らず、コミュニティごとに小規模な発電施設を設置し利用する分散型電源です。
長距離送電によるロスがなくなり、万が一停電が発生した際にもエネルギーの自給自足が行えるというメリットがあります。
また、マイクログリッドは再生可能エネルギーを利用することが多く、環境に優しいという特徴を持ちます。

一方、ビットコインのマイニング事業におけるハッシュレート(採掘速度。1秒間に何回計算できるかを表す)は、2022年2月末時点で2.2EH/sとされています。
また、2022年度第1Qの資料では、2022年9月末までに3EH/s、2022年12月末には4EH/sとなることを見込んでいます。
この見通しは、競合のライオット・ブロックチェーン(RIOT)やマラソン・デジタル・ホールディングス(MARA)寄り控えめです。

他にも、ソフトウェア開発などの技術ベースのコンサルティングや、ATLを通じた一部のクラウドサービスを提供したり、エネルギー事業関連では、有機物を合成ガスに変換し燃料とする技術で特許を取得するなどしています。

ちなみに、2021年度の決算書で”マイニングセンターに自社のマイクログリッドソリューションを設置し、電力の一部をまかなう予定”という文言があるので、いずれは一部の電力の自給自足を行うことになるかもしれません。

1-3. チャート

クリーンスパークの株価チャートはこのようになっています。
大きく上下しており、2020年年末~2021年1月、2021年11月頃は上昇していました。全体的にビットコインに連動して動く傾向があります。(2022年3月30日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • ひとまずの資金繰りは問題なし
  • 2021年度にマイニング事業参入で資産増加
  • まだ事業から現金を生み出せていない
    ※マイニング報酬は現金ではなくビットコイン

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

CLSK貸借バランス_2021

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”安定タイプ”です。

2021年度はビットコインマイニング事業への参入を行うため、株式発行による増資、そしてマイニング機器、土地や建物の購入を行い、資産・資本が急激に大きくなりました。

しかし流動比率は574%、当座比率は210%あるため、ひとまずの資金繰りに困ることはないでしょう。

固定比率も85%と問題ない数値です。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は96%と非常に高いです。
株式発行による増資の影響が大きく出ています。

2-1-3. キャッシュフロー

営業活動がマイナス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはマイナスです。

事業が赤字で、キャッシュの調整を行っても営業活動はマイナス収支です。
また、ビットコインマイニング事業の売上(収益)はビットコインで得られるため、通常の売上と異なり現金を生んでいません。この点もキャッシュフロー計算書では減算処理されます。
なお、2022年度第1Q(12月締め)は事業が黒字化しましたが、営業活動のキャッシュフローは引き続きマイナスです。

投資活動では、ビットコインマイニング事業参入のための買収、マイニング設備の購入に多くの資金を投じており、一部ビットコインを売却して収入も得ていますが、最終的には大きなマイナス収支です。

財務活動は、株式発行による多額の資金調達でプラス収支となりました。

2-1-4. 項目まとめ

現在は潤沢な資金がありますが、キャッシュフローは良くありません。
2022年第1Qに黒字となっても営業活動のキャッシュフローがマイナス収支となっているように、事業の性質上現金での収入が少ないため、ビットコインの売却か資金調達が随時必要になる可能性が高いです。

2-2. 収益性

  • 近年は損失が徐々に減少
  • 2022年第1Qは純利益発生
  • 2021年度のマイナス縮小には資本・資産の急増が大きく影響

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

CLSKのROE(自己資本利益率)推移_2021

赤字のためROEはマイナスです。
ビットコインのマイニング事業を始める前から事業は赤字で、近年は損失額が少しずつ小さくなっています。

ただ、2021年度のマイナスの縮小は、主に自己資本の急増によるものです。

また、2022年第1Qは黒字となりました。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

CLSKのROA(総資産利益率)推移_2021

ROAもROEとほぼ同じ推移をしています。

2-2-3. 項目まとめ

ROE・ROAはマイナスですが、少しずつ損失が減少していました。
また、2022年第1Qは利益が発生しています。

2-3. 経営の効率

  • 総資本が大きく回転率は低い
  • マイニング事業によって売上は急増

2-3-1. 各回転率

CLSKの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率_2021

マイニング事業参入によって売上は大きく増加していますが、総資本も急増しているため、回転率は低いです。

また、2021年は棚卸資産(在庫)として、ソーラーパネルやバッテリーが計上されました。
在庫を持たない別事業の売上もあるため、棚卸資産回転率は高いです。

2-3-2. 項目まとめ

全体的な回転率は低い状態です。

2-4. 成長している・していく企業か

  • マイニング事業で売上急増
  • マイニング事業単体は黒字
  • 2022年第1Qは黒字
  • 2021年度は減損発生&各種費用急増
  • 研究開発費はなし

2-4-1. 売上高と営業利益

CLSKの売上高推移_2021

ビットコインのマイニング事業に参入した2021年度から、売上が急増しました。
また、前述しましたが、エネルギー事業の売上は2020年度から横ばいなので、増加分のほとんどはマイニング事業によるものです。

また、セグメント別レポートではマイニング事業自体は23百万ドルの黒字とされています。
減価償却やセグメント間取引など、かなりの金額を省いた数値ではありますが、マイニング事業単体の利益率は60%ということになります。

なお、2022年度第1Q(記事作成時点の最新決算)は売上が更に大きく増加しており、マイニング事業37百万ドル、合計では41百万ドルとなっています。
またセグメント別では、エネルギー事業とマイニング事業どちらも営業利益が発生し、マイニング事業の利益率は85%に上昇しました。

CLSKの営業利益(損失)推移_2021

営業損失は増加しています。
新規事業への参入もあり、減損費用が発生、減価償却を含む各種費用が急増しました。

しかし、2022年度第1Q(記事作成時点の最新決算)は営業利益が発生しています。

2-4-2. 項目まとめ

ビットコインのマイニング事業に売上が牽引され、直近の四半期(記事作成時点)には柱となる2つの事業で利益が発生し(減価償却費などを除く)特にマイニング事業は85%の利益率となっています。

エネルギー事業は一部の顧客に売上の多くを依存している点が気になりますが、今後も需要のある事業だと考えられますし、ビットコインのマイニング事業は現在収益を大きく拡大中です。

マイニングに随時最新機材を投入する必要があるため、費用の縮小は難しいかもしれませんが、もうしばらく成長を続けられる可能性はあると考えます。

3. まとめ

クロとしては、クリーンスパーク(CLSK)は成長に期待したい銘柄ですが、購入タイミング・リスク管理には気を付けたいと思います。

どちらの事業もまだまだ需要が続く内容であること、2022年度第1Qに黒字となったことは好材料です。
また、必要に応じてビットコインの売却を行っているので、ある程度の資金確保に繋がっています。
しかし、それでもこの第1Qに再び増資が行われているため、株式価値の希薄化が少々気になります。

また、業績・株価はビットコインの価格変動の影響を受けるため、先が読みづらいという点もあります。
分割購入によるリスクヘッジや、短期投資の場合は事前に利益確定や損切りのタイミングを決めておくなど、対策を取っておこうと思います。

ちなみに最近のビットコインの採掘数は、2021年12月 226BTC、2022年1月 305BTC、2月 276BTCとなっています。

今回の記事はCleanSpark Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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