気候変動・地球温暖化対策として世界各国でクリーンエネルギー(再生可能エネルギー)に関する指針が示され、その取り組みが本格化してきました。
今回はそのクリーンエネルギーに関する銘柄を比較していきます。
1. クリーンエネルギー注目5銘柄
1-1. Canadian Solar Inc.
カナディアン・ソーラー(Canadian Solar Inc. / CSIQ)
使用エネルギー:太陽光
2020年売上:3,477百万ドル
2020年営業利益:220百万ドル
太陽電池、モジュール(パネル)といった製品だけでなく、大規模な太陽光発電所プロジェクトにも携わり、プロジェクト開発から行っているものもある。
売上規模は5社中最大。
■カナディアン・ソーラーの年度末決算・銘柄分析の記事はこちらにあります。
1-2. Enphase Energy, Inc.
エンフェーズ・エナジー(Enphase Energy, Inc. / ENPH)
使用エネルギー:太陽光
2020年売上:774百万ドル
2020年営業利益:186百万ドル
モジュール一つ一つに設置するマイクロインバーターの先駆メーカー。
エネルギー貯蔵や制御ソフトウェアなども含め、太陽光エネルギーに関するプラットフォームを提供。
■エンフェーズ・エナジーの年度末決算・銘柄分析の記事はこちらにあります。
1-3. SunPower Corp
サンパワー(SunPower Corp / SPWR)
使用エネルギー:太陽光
2020年売上:1,125百万ドル
2020年営業利益:ー6百万ドル
世界最高効率とも言われるソーラーパネルメーカーだったが、パネル製造・販売事業をMaxeon Solar(MAXN)としてスピンオフした。
現在はソリューション提供、管理業務に注力して運営。損失の削減に尽力している。
■サンパワーの年度末決算・銘柄分析の記事はこちらにあります。
1-4. Plug Power Inc.
プラグパワー(Plug Power Inc. / PLUG)
使用エネルギー:水素、天然ガス
2020年売上:ー93百万ドル(※Amazonのワラント行使で相殺)
2020年営業利益:ー567百万ドル
フォークリフトなど産業機器向けの燃料をAmazonやウォルマートへ納入。
燃料電池や天然ガスの発電装置なども取り扱う。
環境への負荷が最も少ない水素である、グリーン水素の生成プラントも保有する。
■プラグパワーの年度末決算・銘柄分析の記事はこちらにあります。
1-5. FuelCell Energy, Inc.
フューエルセル・エナジー(FuelCell Energy, Inc. / FCEL)
使用エネルギー:天然ガス、バイオガス、水素(ただし純粋な水素の燃料電池ではない)
2020年売上:71百万ドル
2020年営業利益:
定置型燃料電池発電所のソリューションを提供。
天然ガス・バイオガスの発電所”SureSource”は、最小でテニスコート程度の広さで1.4MWの電力を供給する。
また、水素を利用したエネルギー貯蔵・ハイブリッド運転システムの強化に、米国エネルギー省から資金提供を受けている。
■フューエルセル・エナジーの年度末決算・銘柄分析の記事はこちらにあります。
2. 売上高・営業利益の成長傾向
■カナディアン・ソーラー(Canadian Solar Inc.)
売上の一貫した増加傾向はないものの、安定して3,000百万ドル(30億ドル)を超えている。
モジュールの製造コスト、輸送費の増加が影響し、直近3年間は営業利益が減少。
■エンフェーズ・エナジー(Enphase Energy, Inc.)
売上高・営業利益共に増加中。
赤字続きだったが、営業利益は2018年から、最終利益は2019年から黒字に転じ、累積赤字を順調に減らしている。
■サンパワー(SunPower Corp)
スピンオフした分の売上高が減少。また、現時点では増加傾向はない。
しかしスピンオフで営業損失が大幅に削減された他、リストラクチャリング(構造改革)も一段落ついて、改革費用がかからなくなってきた。
■プラグパワー(Plug Power Inc.)
売上高は増加を続けていたが、2020年にイレギュラーの発生でマイナスに。(ただし、2020年も契約販売数は増加した)
製造原価や人件費が増加し営業損失も増えている。
また、一部セグメントでは原価が売上を超えている。
■フューエルセル・エナジー(FuelCell Energy, Inc.)
発電ポートフォリオの拡大を目指す事業戦略によって、発電所プロジェクトの完成時売却という方針を見直した結果、売上高は減少傾向に。
また、一部のセグメントでは原価が売上高を超えている。
しかし、2020年は2019年より売上が増え、営業損失も減少できた。
3. PBR・PER比較
赤字の企業もあるため、今回はPBRで統一して割安性を比較していきます。
なお、最終的に純利益が出ている企業については、()内にPERも追記します。
- ピックアップ5銘柄のPBR
- CSIQ…1.46(PER15.57)
- ENPH…43.45(PER152.82)
- SPWR…10.71(PER7.20)
- PLUG…9.32(赤字)
- FCEL…10.23(赤字)
※上記PBR、PERは2021年6月23日時点の楽天証券”実”数値より引用
PBRから見ると、5社の中で最も割安なのはカナディアン・ソーラー(CSIQ)です。
売上規模の大きさとそれ相応の資産(プロジェクト開発に関する土地代などの資産、機械設備が特に大きい)に対して、株価が安いことを表しています。
一方で、最も割高なのはエンフェーズ・エナジー(ENPH)です。
赤字から黒字に転じて数年ですが、売上と営業利益を年々増加させており、期待が非常に高まって株価も高騰している状態です。
4. まとめ
クリーンエネルギー5銘柄を比較した結果、割安性を求めるならカナディアン・ソーラー(CSIQ)、更なる成長に期待するならエンフェーズ・エナジー(ENPH)、現在は赤字でも今後に賭けるならプラグパワー(PLUG)と分類します。
カナディアン・ソーラー(CSIQ)は、割安ながら安定した売上と利益を出している反面、売上が頭打ちになってきている可能性があります。
また、他の銘柄と比較して株価の強い上昇はあまりなく、既に成熟してきた事業内容と相まって、期待の大きさには今一つ欠けています。
エンフェーズ・エナジー(ENPH)は他銘柄と比べてかなり割高ですが、売上高・営業利益が順調に増加しており、今後しばらくは成長を続けそうな銘柄です。
製品は電力変換効率が高く、FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)から推奨される耐久性の高さもあります。
ただ、価格競争が加速してくると利益率の低下などが起きるため、その点には注意しておきたいです。
プラグパワー(PLUG)はまだまだ黒字化には遠いですが、Amazonやウォルマートといった大手と取引があり、売上高や契約件数を増加させ続けています。
また、最も環境負荷が少ないながらコストの高いグリーン水素のプラントを持っており、今後の水素エネルギー利用において重要な役割を担う可能性もあります。
また、サンパワー(SPWR)は組織改革を積極的に行い事業の収益化を目指しています。
実際に営業損失が削減されているため、今後の展開に期待したいところです。
フューエルセル・エナジー(FCEL)も赤字続きで、かつ売上が減少してしまっていますが、現在の事業戦略が実を結べば黒字化にも期待できます。(発電所を完成しても売却せずにPPAへ方針転換している。現在PPAを含むセグメントでは、原価コストが売上を上回っている)
クロとしては株価の変動を見つつ、ひとまずエンフェーズとプラグパワーを購入します。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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