決算書の1つ「キャッシュフロー計算書」で企業の資金繰りや経営方針を見る際に、クロが特に注意して見ている点をまとめました。
1. 3つの活動がプラスかマイナスかを見る
キャッシュフロー計算書は「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つの活動について記されています。
この3つが最終的にプラスで終わっているのか、マイナスになっているのかで、ある程度経営状況を想像することができます。
(キャッシュフロー計算書の中身についてより知りたい方はこちらをクリック)
1-1. 安定タイプ
- プラス・マイナス・マイナスは安定タイプ
- 基本的には”資金繰りが順調”な証
基本的に「営業活動」はプラス、「投資活動」はマイナス、「財務活動」はマイナスの状態が安心できます。この状態は”本業が黒字で、投資にお金を投入していて、借入金や増資がない”ことの表れだからです。
クロはこの状態を”安定タイプ”と判断しています。本業と投資がうまく回り、一時的な借入金なども発生していない、まさに”安定した黒字の状態”だからです。
1-2. 投資&資金調達タイプ
- プラス・マイナス・プラスは投資&資金調達タイプ
- 投資のための資金調達は将来実を結ぶ可能性あり
- 営業活動の金額とのバランスには注意(後述)
「営業活動」はプラス、「投資活動」はマイナス、「財務活動」はプラスの状態だとどうなるでしょうか。これは”本業は黒字で、投資にお金を投入していて、借入金や増資が発生”している状態だと考えられます。
クロは”投資&資金調達タイプ”だと判断します。借入金などはない方が安心ではあるのですが、企業として成長するために必要な資金を調達しているのであれば、長期的に見て良い経営だと言えます。
この”投資&資金調達タイプ”は成長が楽しみな銘柄であることも多いのですが、もしも本業の「営業活動」がマイナスになるようなことがあれば注意が必要です。
1-3. 不安なタイプ
- マイナス・プラス・マイナスは
資金調達に苦労している可能性あり - 投資の収入はどこからどこへ?
- 債務の残額にも注意
1つ目の不安な状態は「営業活動」はマイナス、「投資活動」はプラス、「財務活動」はマイナスのパターンです。
”本業が赤字で、投資した資産を売却して収入を得ており、借入金・増資はなし”と読み取れます。
何を売却して、その収入がどこに使われたのかが気になります。本業の立て直しに使ったのなら良いのですが、借入金の返済に使われたかもしれません。
また、もしも”銀行に融資を断られ借入ができなかった”ための「財務活動」マイナスだとしたら一大事です。
- マイナス・プラス・プラスは
資金を溜め込んでいる可能性あり - 投資の収入はどこからどこへ?
- 債務の返済に無理はない?
2つ目に不安なのは「営業活動」はマイナス、「投資活動」はプラス、「財務活動」はプラスのパターンです。
”本業が赤字で、投資した資産を売却して収入を得ており、借入・増資を行った”のだと考えられます。
投資活動と財務活動のどちらからも収入を得ていますが、この資金が借入金の返済に使われるのか、本業の立て直しに使われるのかは、やはり心配なところです。
2. 3つの活動の最終金額の大きさを見る
- プラス・マイナス・マイナスの安定タイプでも
不安要素となる場合がある - 投資・財務活動のキャッシュフローは
できるだけ営業活動のキャッシュフロー以下でおさめたい
3つの活動がプラスなのかマイナスなのかも重要ですが、それぞれの最終的な金額の大小も大切です。
たとえば、営業活動100,000円、投資活動-200,000円、財務活動-50,000円というキャッシュフロー計算書があったとします。
これは先に挙げた”安定タイプ”に当てはまりますが、「営業活動」の黒字の2倍もの金額を「投資活動」に支出しています。
投資に積極的なのは良いことですが、営業活動の収入以上に投資してしまうのは少々危険です。
同様に、「財務活動」の金額が「営業活動」の金額を大きく上回る場合も注意が必要です。
プラスであれば借入や増資のし過ぎの可能性があり、マイナスであれば配当金の支払いなどでいっぱいいっぱいになっている可能性があります。
3. フリーキャッシュフロー
企業が自由に使えるお金として「フリーキャッシュフロー」が判断材料となることもあります。
特に米国では重要視されることが多く、債務超過の状態でもフリーキャッシュフローが大きなプラスであれば、あまり気にされないことも多いです。
フリーキャッシュフローの計算方法は以下の通りです。
- 営業活動のキャッシュフロー + 投資活動のキャッシュフロー
※営業活動のキャッシュフロー額 - 投資活動のキャッシュフロー額
とも言える
例えば、営業活動のキャッシュフローが100万円、投資活動のキャッシュフローが-50万円の場合、
計算式は 100 + (-50) = 50 となり、フリーキャッシュフローは50万円となります。
企業が自由に使えるお金なのでプラスであることが重要で、金額も大きければ大きいほど良いとされています。
4. まとめ
キャッシュフロー計算書から企業の状態を見るには、まず「各活動の最終金額のプラスとマイナスを見る」「各活動の最終金額の大きさ(割合)を見る」ことが重要です。
また、フリーキャッシュフローを計算すると、その企業の大体の余力資金を把握することができます。
これらを見ていく中で気になる点があった場合は、その中身をより詳しく見ていくことで、その企業に何が起こっているのかを推察することができます。
キャッシュフロー計算書の中身については、こちら↓の記事で詳しく紹介しています。
キャッシュフローの表示方法や、損益とプラスマイナスのズレの理由などを解説した記事もこちら↓にあります。
コメント