エアロバイロンメント(AeroVironment Inc / AVAV)の1月締め四半期決算(2022年度第3Q)について、アナリスト予想とも比較しつつ内容をまとめていきます。
■エアロバイロンメントの事業内容や年度末決算、銘柄分析を行った記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較
アナリスト予想を上回るEPSを達成しましたが、売上は2四半期連続で予想値を下回りました。
特に今四半期は、予想値と実績の差が大きくなっています。
次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移
これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)
※一部締め日が若干変動している(翌月1日など)期もありますが、見やすくするため各月末締めで表記しています。
前年同期比では売上が14%増加したものの、営業損失が22倍にも膨れ上がりました。
粗利率は36%から24%に大きく減少しており、更に販売費・管理費が増加、研究開発費がほぼ横ばいとなったこともあって、損失の拡大につながりました。
ただ、事業外の要因(主に法人税の調整)が大きく、最終的には1万ドルの黒字となっています。
粗利率の低下は売上の構成比率の変化によるものです。
前年同期と比較し、原価率の高いサービス売上が大きく伸び、比較的粗利益の出やすい製品販売の売上が減少してしまいました。
今四半期の各セグメントの原価率は、サービス売上が83%、製品売上が69%となっています。
なお前四半期と同様に、販売費・管理費には、買収関連費用や無形資産の償却費も含まれています。
また、製品売上の内訳を前年同期と比較すると、中型無人航空機システム(MUAS)の売上が追加され、小型無人航空機システム(小型UAS)の売上が減少している点も、前四半期と同じです。
製品ごとの売上・粗利益を見ると、中型無人航空機システム(MUAS)は他よりも粗利率が低い結果となっています。
3. その他の補足
3-1. ガイダンス
前四半期決算の発表と併せて、ガイダンスが引き下げられていました。
この理由はサプライチェーンの問題、ワシントンでの予算の不確実性・意思決定の遅れ及び人員不足といったものですが、今回の決算発表でも引き下げ後のガイダンスが維持されました。
ガイダンス内容は、2022年度(4月締め決算)通年での売上4億4,000万ドル(440百万ドル)~4億6,000万ドル(460百万ドル)、純損失800万ドル~1,200万ドル(12百万ドル)です。
なお、引き下げ前は売上5億6,000万ドル~5億8,000万ドル、純利益2,900万ドル~3,400万ドルと予測されていました。
3-2. バックログ
”受注残”とも言えるバックログの変化についてです。
(受注したものの、まだ契約履行義務が残っており、現時点では収益として認識されていないため、今後高確率で売上に計上される金額)
今四半期(2022年第3Q)末時点で、契約履行のための資金調達済みのバックログは2億2,630万ドルです。
なお、第2Q末では約2億5,200万ドル、第1Q末時点では約2億5,770万ドル、2021年度末(2021年4月末)時点では2億1,180万ドルでした。
今四半期の3ヶ月間で、バックログが10%減少したことがわかります。
4. まとめ
エアロバイロンメント(AVAV)の2022年第3Qは苦戦していますが、更にガイダンスが引き下げられることはなく、想定内の業績ではあるようです。
粗利率の低下(原価率の上昇)が続いており、更にバックログも減少傾向にあるなど、気になる点は多いです。
(エアロバイロンメントの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)
今回の記事はAeroVironment Incの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
過去の分析記事はこちらに一覧化しています。
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