なぜ急落?【AVAV】エアロバイロンメント_2021年10月四半期決算

米国株の四半期決算
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2021年12月7日に株価が急落したエアロバイロンメントの最新決算です。
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エアロバイロンメント(AeroVironment Inc / AVAV)の10月締め四半期決算(2022年第2Q)について、アナリスト予想とも比較しつつ内容をまとめていきます。

エアロバイロンメントの事業内容や年度末決算、銘柄分析を行った記事はこちらにあります。

1. アナリスト予想との比較

アナリスト予想を上回るEPSを達成しています。
ただ、売上は予想値を下回りました。

AVAVのEPS・売上_アナリスト予想と実績比較_2110

次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。

2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移

AVAVの売上高・純利益(損失)_2110

これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)

※一部締め日が若干変動している(翌月1日など)期もありますが、見やすくするため各月末締めで表記しています。

2022年第2Q(今期)の売上は、前年同期比32%増加しました。
また、第1~2Qの6ヶ月間を前年同期と比較した場合、売上は24%の増加となっています。
いずれも製品販売よりサービス売上の伸びが顕著です。

ただ、このサービス売上は原価率が高く、前年同期の65%から今期は80%に上昇しています。
なお製品販売の原価率は55%(前年同期は52%)で、全体の原価率は65%(前年同期は56%)です。
また前期同様、無形固定資産の償却費が原価に影響しています。

製品セグメントで見ていくと引き続き中型無人航空機システム(MUAS)が好調ですが、小型無人航空機システム(小型UAS)の収益は減少を続けました。

また、営業利益は前年同期比76%も減少しています。
これは原価率の上昇と事業に関する各種費用が増加したためですが、特に販売費・一般管理費が著しく(前年同期比66%増加)増えています。
この販売費・一般管理費には買収関連費用や無形資産の償却費も多く含まれ、利益を圧迫する結果となりました。

この他にも利息などの支払いで税引前損失が発生していましたが、税の調整で950万ドルの利益が出たため、最終的には黒字となりました。

3. その他の補足

3-1. ガイダンス修正

サプライチェーンの問題、ワシントンでの予算の不確実性・意思決定の遅れ及び人員不足などを理由に、ガイダンスが引き下げられました。
株価を一気に下落させたのもこの見通しが大きな原因です。

2022年4月期通年での売上見込みを5億6,000万ドル~5億8,000万ドルとしていましたが、4億4,000万ドル~4億6,000万ドルへ、最大で1億4,000万ドル引き下げました。

また、前回決算時には純利益も2,900万ドル~3,400万ドルと予測されていましたが、一転して1,200万ドル~800万ドルの純損失という見込みになっています。

なお、Non-GAAP調整後EBITDAは1億500万ドル~1億1,000万ドルという予測から、5,900万ドル~6,500万ドルへ下方修正されました。

3-2. バックログ

”受注残”とも言えるバックログの変化についてです。
(受注したものの、まだ契約履行義務が残っており、現時点では収益として認識されていないため、今後高確率で売上に計上される金額)

2022年第2Q末時点で、契約履行のための資金調達済みのバックログは約2億5,200万ドルです。
なお前四半期終了時点(2021年7月末時点)では約2億5,770万ドルありました。

4. まとめ

エアロバイロンメント(AVAV)の2022年第2Qはアナリスト予想EPSをクリアしたものの、売上の伸びは小さく(売上は予想値を下回った)、更に通年ガイダンスを大きく引き下げるという残念な結果となりました。

また前期同様、買収による費用増加、粗利率の低いサービス売上の割合増加が進んでいる点も気になります。
さらに、バックログも前四半期終了時と比較すると少々減少しました。

事業内容には期待していますが、今後の決算も厳しそうなので、少々様子を見ていきたいと思います。

(エアロバイロンメントの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)

今回の記事は2020~2021年のAeroVironment Incの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

過去の分析記事はこちらに一覧化しています。

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