エアロバイロンメント【AVAV】銘柄分析_火星飛行も成功した政府顧客の無人航空機メーカー

米国株の年次決算書・銘柄分析
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エアロバイロンメント(AeroVironment Inc / AVAV)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

1. AeroVironment Inc(AVAV)について

1-1. 業種

電子テクノロジー、航空宇宙、防衛、ロボット

1-2. 事業の概要

エアロバイロンメントは無人航空機(UAV)や戦術ミサイルシステムなどのソリューションを提供するメーカーで、主な顧客は米国国防総省や国際連合政府です。

様々なミッションに対応できるよう、小型・中型、垂直離着陸が可能なものなど、複数のモデルを展開しており、2021年5月には地上ロボットソリューションを持つドイツのTelerob社を買収し、爆発物処理や危険物処理などを行う無人地上車両(UGV)もラインナップに加えました。

また、エアロバイロンメントの無人航空機は惑星探査ロボットの可能性も秘めており、NASAやJPLと共に火星探査車へ搭載するヘリコプター(無人ドローンとも言われる)”Ingenuity”を開発し、2021年4月に初めての地球以外の天体での航空機飛行を行っています。

2020年には、アメリカで度々起こる大規模な山火事による被害を最小限にするために、Nvidia社・Microsoft社と協力し、”Puma AE”という無人航空機とAIを利用した、自律的な煙検知・管理システムのプロトタイプを提供したことでも話題になりました。

運用サポートなどのサービスの他、オペレーターやプログラム開発、トラブルシューティングなどのトレーニングも提供しています。

1-3. チャート

エアロバイロンメントの株価チャートはこのようになっています。2020年10月頃から上昇しはじめ、一時は2018年9月につけた最高値も超えていました。
現在は一旦落ち着き110ドル前後で推移していますが、それでも過去と比較すると高い水準です。(2021年6月30日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 資金繰りは問題なし
  • 自己資本比率は高い
  • 買収によって一時的にキャッシュフローが悪化

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2021年決算書におけるAVAV貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”安定タイプ”です。

流動比率は約420%、当座比率は約360%で、短期の資金繰りは問題ありません。

固定比率も約86%と良い数値です。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は約66%とかなり高めです。

2-1-3. キャッシュフロー

2020年は営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはマイナスです。

安定して利益を出していますが、2021年4月の会計年度内に、中型無人航空機システムに関するツールやサービスを提供するArcturus社、機械学習や人工知能対応のシステムを開発するISG社を買収したため、投資活動での支出金額が増加しフリーキャッシュフローがマイナスとなりました。

また、2021年は長期債務による資金調達が行われました。

2-1-4. 項目まとめ

買収によってフリーキャッシュフローが一時的に大きなマイナスとなっていますが、資金繰りは安定しています。

2-2. 収益性

  • 近年は売上増加も利益が減少
  • 買収による資産増加も、ROE・ROAの低下に影響

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

AVAVのROE(自己資本利益率)推移【2021年】

2021年は売上は増加したものの、各種費用(支払利息などの事業外費用含む)も増えたことによる利益の低下と、買収による資本の増加で、ROEが前年比で半分以下に低下しました。

また、2019年も売上は増えていますが、前年より利益が減少しています。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

AVAVのROA(総資産利益率)推移【2021年】

ROEもROAと同様の推移です。
2021年は買収などによって負債が一気に増えたため、ROEよりも数値の低下が顕著です。

2-2-3. 項目まとめ

2019~2020年は米国平均程度のROAがありましたが、2021年は数値が大きく低下しました。
これには資産の増加と、費用が増えたことによる利益額の減少が影響しています。

2-3. 経営の効率

  • 買収による資産増加で回転率は低下
  • 買収以前も総資本回転率約0.6回と低め

2-3-1. 各回転率

AVAVの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率【2021年】

総資本回転率は約0.4回で、最低ライン1回より低い数値です。
買収による資産増加で回転率は低下しました。

特に固定資産は前年の6.5倍に増加したため、回転率が大きく低下しています。
固定資産回転率は約0.8回。2020年時は4.5回)

棚卸資産回転率も同様に低下し、2020年時の約8回から、2021年決算では約5.5回となりました。

2-3-2. 項目まとめ

大きな買収による資産増加で一時的に効率が下がっており、改善は今後の売上増加にかかっています。
ただ、2020年決算でも総資本回転率は0.6回程度と低い数値ではありました。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 売上は増加中
  • 2021年は費用の増加で営業利益が減少
  • 売上高研究開発費率は平均の約3倍

2-4-1. 売上高と営業利益

AVAVの売上高推移【2021年】

売上は増加を続けています

AVAVの営業利益(損失)推移【2021年】

2021年の営業利益は約8%減少しました。
粗利率は変わりませんでしたが、買収に関連した販売費・管理費や、研究開発費が増加し、利益の圧迫につながりました。

2-4-2. 研究開発費

売上高は約395百万ドル、研究開発費は約54百万ドルだったので、売上高研究開発費率は13.7%で、平均の約3倍です。(科学技術・学術政策研究所によると※1同程度の従業員規模の平均は4.4%とされている)

既存製品の機能強化に関する開発、新製品ラインの開発を行っているとしています。

※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所科学技術指標2019

2-4-3. 項目まとめ

売上が増加したものの、費用が増加して利益は減少しました。
買収関連など一時的な費用も影響しているので、次回決算では改善に期待したいところです。

売上は増加していますし、研究開発や買収による製品ポートフォリオ強化に積極的であること、無人航空機の需要は今後も強まると考えられることから、長期的な成長には期待できそうです。

3. まとめ

クロとしては、エアロバイロンメント(AVAV)は長期的に期待したい銘柄です。

宇宙や災害対処、防衛といった取り組みの中で、パイロットを危険にさらさない無人航空機の需要は今後も高まっていくと考えます。

2021年は利益が減少したものの、買収関連費用、受取・支払利息、売却済み事業の未払い金といった一時的な要因が多く、次回は改善される可能性があります。

また、売上の6~7割を米国政府、残りを他政府が占めており、ある程度安定した売上が見込めます。

買収によって資産が増加し収益効率が落ちている点は気になりますが、無人車両分野を幅広く提供できるようになっているので、それらの相乗効果に期待したいです。

今回の記事はAeroVironment Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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