急落理由と2021年6月Q決算【APPH】アップハーベスト

米国株の四半期決算
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アップハーベスト(AppHarvest Inc / APPH)の6月締め四半期決算(2021年第2Q)について、アナリスト予想とも比較しつつその内容をまとめていきます。
2021年8月11日の株価急落についての段落へスキップするにはこちらをクリックしてください。

アップハーベストの事業内容や年次決算について紹介した記事はこちらにあります。

1. アナリスト予想との比較(EPS)

アナリスト予想を下回る結果となっています。

APPHのEPS_アナリスト予想と実績比較

次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。

2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移

APPHの売上高・純利益(損失)

これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)

2021年第2Qは、第1Qより売上が増加したものの、純損失が増加しました。
また、アナリスト予想の売上高は5.87百万ドルで、それを大きく下回る結果(達成率は約53%)となりました。

前回同様に売上が小さく、売上原価は売上の約5倍、営業損失(事業からの損失)は売上の約13倍です。

ただ、販売費や管理費は第1Qより減少している他、四半期末の在庫も第1Qより少ない結果でした。

3. その他の補足

3-1. 2021年8月11日の株価急落

2021年8月11日の第2Q決算発表を受けて、アップハーベストの株価は急落しました。
これには四半期決算の不調だけでなく、通年の見通しが修正されたことも影響しています。

元々の通年での見通しは、売上が2,000万ドル~2,500万ドル、調整後EBITDA損失は4,800万ドル~5,200万ドルとされていましたが、今回の発表で、売上700万ドル~900万ドル、調整後EBITDA損失7,000万ドル~7,500万ドルへと下方修正されました。

3-2. 販売量の変化

2021年第2Qのトマトの販売量は860万ポンドで、第1Qから480万ポンド増加しました。

3-3. 建設中の生産施設

アップハーベストは現在4つの生産施設を建設中です。ケンタッキー州ベレアの葉物野菜施設が約37%、リッチモンドのトマト施設が約31%完成しており、この2つの施設は2022年半ばにはフル稼働する予定です。

また、ケンタッキー州サマセットとモアヘッドの2か所では6月に地鎮祭が行われています。
サマセットはベリー類、モアヘッドは葉物野菜の栽培を行う施設となる予定で、”この2施設は2022年末までに稼働することを期待する”としています。

3-4. 新たな取り組み”事業会社設立”

アップハーベストはCEA(環境制御型農業)分野のグローバルリーダーを目指し、3つの事業会社を設立する計画を発表しました。

これは“AppalachiaCo”、“TechCo”、“GrowCo”の3つで、AppalachiaCoはアパラチア地方でのハイテク屋内農場と付加価値製品事業、TechCoは技術の保有・ライセンス事業、GrowCoはアパラチア地域以外でのCEA事業機会の追及をそれぞれ行うとしています。

3-4-1. TechCo

TechCoは、AIやソフトウェア、クラウドサービスなどのライセンス技術を販売することでの収益が期待されており、”2025年には約4,000万ドル~5,000万ドルの売上が見込まれる”としています。
また、中東の管理環境農業企業であるRed Sea Farms社をTechCoの最初の顧客とし、有償の試験運用を行い、2025年までに500エーカーの屋内農場を建設する計画も発表されました。

3-4-2. GrowCoと合弁会社

GrowCoでは、既存のパートナーでもあるMastronardi Produce社(AppHarvestの農産物の独占販売権を持つ)と合弁会社”FarmCo”設立のため、拘束力のない趣意書を締結したことを発表しています。
FarmCoの目的は、新しい生産施設の建設・運営、既存のCEA事業の買収、米国全土での生産拡大の機会を追求することです。

FarmCo設立の前段階として2社がそれぞれ農場を提供し、アップハーベストは更に1,000万ドルの現金を拠出することになっています。
2022年の第1Qを目標に、FarmCoの立ち上げが進められる予定です。

4. まとめ

アップハーベスト(AppHarvest Inc)の第2Qが赤字であることは多くの人々が予想していましたが、通年見通しまで下方修正することになったのは残念です。

売上の何倍もの損失が出ていて現段階での収益性は非常に低いですし、まだまだ投資が必要なので黒字になるには時間がかかりそうです。

また、今回の発表では”AmazonのAWS(Amazon Web Services)のようなソリューション販売を目指す”と言う言葉と共に、CEA(環境制御型農業)分野のリーダーを目指しての取り組みが多く語られており、単なるハイテク農業企業に止まらない姿勢を見せています。

農作物の価格は安定しないので(今期もトマトの市場価格が低かったことが売上に影響している)ライセンスなどから収入を得られるようになれば大きなメリットですが、農業自体が軌道に乗る前から同時に多くの取り組みを行っている点や決算数値が気になるので、クロとしてはまだ様子見を続けます。

(アップハーベストの事業内容など銘柄分析を行った記事もこちら↓にあります)

今回の記事は2020~2021年のAppHarvest Incの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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