アップハーベスト【APPH】銘柄分析_屋内での環境制御ハイテク農業を開始

米国株の年次決算書・銘柄分析
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アップハーベスト(AppHarvest Inc / APPH)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。
※SPAC IPOが2021年2月で、まだ年次決算数値がないため、2021年3月締め四半期を中心に紹介します。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

2021年度決算・第4Q速報はこちら

1. AppHarvest Inc(APPH)について

1-1. 業種

屋内農業

1-2. 事業の概要

アップハーベストは、アメリカのケンタッキー州で”ハイテク環境制御型”の農業施設を建設、また、その施設での農産物の栽培を行っています。

2020年10月に施設の一部を開設し、2021年1月にトマトの初収穫・初出荷を行いました。
現在(記事作成時点)はこの1拠点のみの稼働ですが、他にも2つの施設を建設中で、更に2施設の建設を始める予定があります。
また、この5施設を2022年末までに運営する予定であるということ、なおかつ2025年末までに12施設のネットワークを必要としていると宣言しています。

アップハーベストの施設での農業と、通常の屋外農業とを比較した場合、水の使用量最大90%削減(かつ、雨水のリサイクル)、同じ広さの土地で最大30倍の量を収穫できるといった利点があります。
また、従来の農業にAIやロボット工学を組み合わせたこのハイテク農業では、遺伝子組み換えや化学農薬も使用していません。

立地も優れており、1日以内で全米の70%へ収穫物を配達できます。

なお、アップハーベストは2021年2月1日にSPAC上場した企業で、合併前のSPACは”ノーヴァス・キャピタル(Novus Capital Corp.)”という社名でした。

1-3. チャート

アップハーベストの株価チャートはこのようになっています。2020年9月末頃の合併発表の時点から株価が変動しはじめ、SPAC IPOを果たした2021年2月1日に株価が大きく上昇し、一時は40ドルを超えていました。
しかし、程なく下降に転じ、現在は15ドル前後で推移しています。

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 短期の資金繰りは問題なし
  • SPAC IPOしたばかりで自己資本比率は高い
  • キャッシュフローは良くない

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2021年3月四半期決算書におけるAPPH貸借バランス

(単位:百万ドル)※2021年第1Qの四半期決算の数値

貸借バランスは”安定タイプ”です。

IPOしたばかりなので現金が潤沢にあり、流動比率は約950%、当座比率は約920%です。
固定比率も約45%で優秀な数値です。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は約87%と、今は非常に高い数値です。

2-1-3. キャッシュフロー

2021年第1Qは営業活動がマイナス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローもマイナスです。

営業活動では本業の赤字、ワラントの価値変動が大きく影響しており、投資活動では設備や資産の購入、財務活動ではSPAC IPOによる収入が影響しています。

2-1-4. 項目まとめ

ひとまず今はSPAC IPOで調達した資金があるため、すぐに首が回らなくなることはなさそうです。
事業を開始したばかりなので、キャッシュフローは悪いです。

2-2. 収益性

  • 記事作成時点で売上があるのは2021年第1Qのみ
  • 赤字なのでROE・ROAともにマイナス

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

2021年第1QのROEはー6.46%です。

なお、この期以外の売上はまだありません。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

2021年第1QのROAはー5.62%です。

2-2-3. 項目まとめ

現時点での収益性はありません。

2-3. 経営の効率

  • 回転率は非常に低い
  • IPOで得た現金、設備投資が資産を大きくしている

2-3-1. 各回転率

APPHの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率【2020年3月Q】

総資本回転率は非常に低く、ほぼゼロです。
まだ事業が本格的に始められていない状態ながら、土地や建物、機械設備などへの投資が多大に必要であること、IPOで得た現金が多くあることが影響しています。

固定資産回転率も0.01回と非常に低いです。

棚卸資産回転率は約0.5回で、売上の2倍程度の在庫があります。
この在庫のほとんどは、栽培に関連する費用、栽培用・包装用の消耗品で構成されています。

2-3-2. 項目まとめ

事業が本格的にスタートしていませんが、初期の設備投資が非常に大きいビジネスモデルで、その回収が課題です。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 記事作成時点で売上があるのは2021年第1Qのみ
  • 売上の3.5倍の売上原価
  • 売上の18倍の営業損失
  • 事業はまだ始まったばかり

2-4-1. 売上高と営業利益

2021年第1Qの売上高は2百万ドルです。
この期以外の売上は、記事作成時点ではまだありません。

また、売上原価が7百万ドルかかっており、売上から原価を差し引いただけで赤字になってしまいます。

営業損失は36百万ドルです。

2-4-3. 項目まとめ

売上の推移などが見られないので現状の判断になりますが、この大きな原価や費用をどう抑え、また回収していくかが大きな課題です。

現在も新しい農業施設の建設を行っており、更に費用が増大することが予測されるので、まだしばらくは黒字化が難しいと考えます。

3. まとめ

クロとしては、アップハーベスト(APPH)の購入は見送ります。

人口減少や食料不足などの世界規模の課題に挑戦している面白い企業だと思いますが、不安点も大きく、リスクが高いと判断しました。

不安点に挙げられるのは、大きな初期投資の回収に時間がかかりそうなこと、売上原価が売上を上回っていること、現時点での施設建設予定がケンタッキー州のみであること(同州は比較的温暖で雨も多い。他の地域での展開が難しい可能性がある)などです。

特に決算・収益の面では、この施設の生産能力の高さがカギとなります。

また、ラッセル2000指数に組み入れられることや、持続可能性・ESG投資に適した銘柄でもあることから、注目度の高い企業でもあります。

今回の記事はAppHarvest Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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