先日発表されたアマゾン・ドット・コム(Amazon.com Inc / AMZN)の6月締め四半期決算(2021年第2Q)について、アナリスト予想とも比較しつつその内容をまとめていきます。
■アマゾンの事業内容や年度末決算について紹介した記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較
順調にアナリスト予想を上回るEPSを達成しています。
ただ、今回はアナリスト予想EPSが高かったこともあり、予想との差異が縮まっています。
次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移
これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)
2021年第2Qは、第1Qと比較して売上が増加したものの、純利益が減少しました。
また、第2Qのアナリストによる売上予想は1,150億ドルとされていたのですが、実際は1,130億ドルで、予想を20億ドル下回ってしまいました。
なお、前年同期比では売上が27%増加、純利益が48%増加しています。
3. その他の補足
3-1. セグメント別の結果
Amazonは、北米、インターナショナル(北米以外の地域)、AWSの3つのセグメントに分けて報告を行っています。
2021年上半期(1~6月)を前年同期と比較すると、いずれのセグメントも増収増益となっており、2020年の年次決算で黒字となったインターナショナルセグメントも黒字を維持しています。
また、サービス形態別に見ても全体的に伸びていますが、実店舗のみ売上が減少しています。
3-2. EUからの罰金要請
2021年7月16日に、EU(欧州連合)のGDPR(EU一般データ保護規則。個人データ保護強化のための規則)に違反したとして、規制当局からAmazonに、7億4600万ユーロ(約970億円、約8億9,000万ドル)の罰金の決定がなされていたことがわかりました。
詳細は明かされていませんが、”消費者への適切な広告表示”に関する方法が違法とされているとのことで、Amazonは罰金だけでなく、この仕組みの見直しも求められています。
これに対してAmazonは抗議する声明を出しており、データ侵害や顧客データの漏洩もないという説明を行っています。
2019年にGoogleが”消費者から個人情報利用の同意を得るための手続きが不適切”としてGDPR違反の罰金を科せられた際の金額は5,000万ユーロ(約65億円、約6,000万ドル)で、今回のAmazonへの罰金はそれと比べてもかなり高額です。
それだけ重要な違反として見られている可能性もあり、今後の広告に影響が出ないか少々気になります。
4. まとめ
これまで売上・利益をグングンと伸ばしてきたアマゾン・ドット・コム(Amazon.com Inc)ですが、第2Qの売上がアナリスト予想を下回り、成長に若干の陰りが見えてきました。
コロナ感染拡大によるECの特需がなくなってきており、今後しばらくは成長が鈍化しそうです。
これに関してはAmazon自身も、2021年の第3Qは”2020年~2021年第1Qと比較して、売上高の成長が減速するだろう”と予測しています。
ECサイト以外にも遠隔医療やAWSなど様々な取り組みを見せているAmazonですが、それらの実現・拡大で突破口を開いてほしいところです。
なお、2021年上半期にも自社株買いは行われませんでした。
(アマゾンの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)
今回の記事は2020~2021年のAmazon.com Incの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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