アマゾン・ドット・コム(Amazon.com Inc / AMZN)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。
- 安定性(資金繰り)
- 収益性
- 経営の効率
- 成長への期待
それでは見ていきましょう。
■2021年度更新版はこちら
また、EUから個人情報保護規則の違反があったとして、罰金を言い渡されています。
今後の成長に期待する気持ちは変わりませんが、しばらくは購入を控えて様子見したいと思います。
第2Q決算の内容やEUからの罰金など、詳しくはこちらで紹介しています。
1. Amazon.com Inc(AMZN)について
1-1. 業種
EC・小売、配送、クラウドサービス、電子テクノロジー
1-2. 事業の概要
Amazonは、オンライン小売事業の最大手かつ、様々なサービスや製品を提供するテクノロジー企業です。
様々な商品の売買が可能なECサイト”Amazon”が有名ですが、電子書籍のKindle、テレビでインターネット動画を閲覧可能なFire TV、スマートスピーカーAmazon Echoとその音声アシスタントAlexaなど、様々な製品の開発・製造・販売も行っています。
また、Amazon Web Service(AWS)というクラウドサービスも展開しており、グローバルクラウド市場ではトップシェアを誇ります。
AWSは様々な機能・サービスを提供することができ、Ground Stationという、宇宙関連企業へのサービスもあります。(衛星通信・データ処理などを行う。地上基地局が不要に。ロッキード・マーチンやマクサーも利用)
これらのAWS事業が売上に占める割合は約12%(2020年)です。
他にも、Amazon Primeなどのサブスクリプションからも継続的な収益を得ています。
また、Amazonケア(遠隔医療サービス。当初は従業員を対象としていたがアメリカ各州での展開が準備されている)の拡大、AWSのAerospace and Satellite Solutions(航空宇宙や衛星産業の専門部署。元空軍少将が率いることでも話題に)立ち上げなど、現在も様々な分野への進出を試みています。
1-3. チャート
Amazonの株価チャートはこのようになっています。全体的に右肩上がりですが、2020年2月のコロナ感染拡大で一時下げた後強く上昇しており、現在は過去最高値の水準です。(2021年7月13日時点)
2. 決算書(10-K)の分析
2-1. 経営の安全性(資金繰り)
- 流動比率・固定比率は若干低め
- 自己資本比率は約30%
- キャッシュフローは良好
2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率
(単位:百万ドル)
貸借バランスは”ギリギリ運用タイプ”です。
流動比率は約110%、当座比率は約90%で、短期の資金繰りに問題があるほどではないですが、若干低めの数値です。
固定比率は約200%ですが、純資産と固定負債でカバーできています。
2-1-2. 資本の比率
自己資本比率は29%で、低くもないですが、特別高い数値ではありません。
2-1-3. キャッシュフロー
2020年は営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がマイナスという”安定タイプ”の組み合わせで、フリーキャッシュフローはプラスです。
営業活動から得る現金(プラスの額)は年々増えています。
また、投資活動では有価証券の売買を積極的に行っており、財務活動では債務による収入と返済を毎年行っています。
2-1-4. 項目まとめ
若干現金が少ない部分もありますが、問題のない範囲です。
キャッシュフローは優秀です。
2-2. 収益性
- 収益性は米国平均程度はある
- 2015年の黒字からの成長幅が大きい
2-2-1. ROE(自己資本利益率)
ROEは米国平均をおおむね超えています。
なお、2017年の数値が低いのは成長途中というだけで、純利益の減少によるものではありません。
2019年も純利益は前年より増加していますが、この年は利益以上に自己資本が増えたため、ROEが下がっています。
2-2-2. ROA(総資産利益率)
ROAもROE同様の上下をしています。
概ね米国平均に届く数値です。
2-2-3. 項目まとめ
ROEとROAの結果を総合すると、収益性は米国平均程度と言えます。
2015年以降は黒字決算を続けており、かなりの速度で利益を拡大しています。(2015年の純利益は約6億ドル、2020年は約213億ドル)
2-3. 経営の効率
- 総資本回転率は最低ラインをクリア
- 棚卸資産回転率は上昇中
2-3-1. 各回転率
総資本回転率は1.2回で、最低ラインをクリアしています。
政府や企業などの有価証券も多く保有していますが、総資本に対する割合はFacebookなどと比べると低いです。
固定資産回転率は約2回ですが、固定資産の増加が著しく、近年は若干低下気味です。
棚卸資産回転率は約16回で、小売業として考えると非常に高いです。また、近年は上昇傾向にあります。
2-3-2. 項目まとめ
資本に対して十分な売上が上がっています。
また、棚卸資産は年々増加していますが、それ以上に売上が増え、回転率は上昇しています。
2-4. 成長している・していく企業か
- 売上高・営業利益共に増加を続けている
- 2020年はコロナの影響で伸び率アップ
- 国際(北米以外)セグメントが黒字化
- 売上高研究開発費率は11%
2-4-1. 売上高と営業利益
売上は年々増加しています。
特に2020年はコロナ感染拡大による需要の増加で、売上が大きく伸びました。
ちなみに、総売上の約70%はアメリカで発生(2020年)しています。
営業利益も売上同様大きく伸びています。
ただ、2020年は好調だった一方で、コロナの影響による送料の上昇、生産性の低下、従業員増加(人件費・福利厚生費用の増加)といった費用も増えました。
また、赤字の続いていたインターナショナルセグメント(北米以外)が、2020年は営業利益717百万ドル(約7.2億ドル)の黒字となりました。
2-4-2. 研究開発費
2020年の売上高は約386,064百万ドル、研究開発費は約42,740百万ドルだったので、売上高研究開発費率は11%となります。
なお、科学技術・学術政策研究所によると※1米国では企業の規模が大きくなるにつれて売上高研究開発費率は下がる傾向にあるとされており、大規模(従業員数1万人以上)企業の平均は3.5%です。
Amazonの2020年の従業員数は約130万人なので、一概に平均値との比較ができませんが、かなり研究開発に力を入れていることは間違いありません。
※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 科学技術指標2019
2-4-3. 項目まとめ
売上・利益共に大きく成長しており、今後の成長にも期待できそうです。
ただ、2020年はコロナによる一時的な需要増加があったので、2021年の成長率は少々小さくなるかもしれません。
また、インターナショナルセグメントの黒字が継続されるかにも注目したいです。
3. まとめ
クロとしては、Amazon(AMZN)は今後も期待したい銘柄です。
かなりの速度で売上・利益の額を増やしており、将来への投資にも積極的です。
また、今後ますます需要が高まるであろうクラウドサービスではトップシェアを誇っています。
コロナの影響が無くなった時に多少勢いが落ちる可能性もありますが、遠隔医療や宇宙産業への本格的な進出に向けて準備が進んでおり、投資家の注目度も高いです。
また、2021年第1Qも好調です。
今回の記事はAmazon.com Incの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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