先日発表されたアメリカン・ウェル(American Well Corp 略称・ブランドAmwell / AMWL)の四半期決算を、アナリスト予想と比較しつつご紹介します。
■アメリカン・ウェルの事業内容や年度末決算など銘柄分析した記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較
直近の2021年3月締め四半期(第1Q)で、初めてアナリスト予想を上回る結果となりました。
前年同期と比較し、売上高は53.7百万ドルから57.6百万ドルへと約4百万ドル増加しました。
その一方で、研究開発費用や販売費・管理費が増加し、損失額も25.2百万ドルから39.8百万ドルへ約14百万ドル増加しています。

次は、実際の売上高と損失額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移

これは、四半期ごとの売上高と純利益・純損失をまとめた表です。
(単位:百万ドル)
この一年間、売上高は少しずつ減少しています。一方で、6月締めの四半期(第2Q)で急増した損失額も徐々に減少してきています。
損失額を急増させた主な要因はCEOへのストックオプション費用(2020年度で約100百万ドル)で、この表の損失額減少もストックオプション費用の支払い額減少に影響を受けています。(大幅なコスト削減ができたわけではない)
3. その他の補足
3-1. Convergeプラットフォームの提供
Amwellは、2021年4月28日のクライアントフォーラムで、Converge遠隔医療プラットフォームを発表しました。
このプラットフォームではAmwellの製品やプログラムだけでなく、Google cloud(リアルタイムの翻訳サービス、AIの活用など)、The Clinic(セカンドオピニオンの依頼)、Biobeat(血圧、心拍数、血中酸素濃度、呼吸数などのバイタルサインをモニタリングするツール)などパートナーのアプリケーションも利用できます。
これにより、ユーザーは統一された一つのプラットフォーム内で、より多くのサービスを受けられるようになります。
3-2. プロパイダー数・ユーザー数の変化
2020年に約24,000だったプロパイダー数は、前四半期(2020年第4Q)に約72,000に増加し、今期は約81,000となりました。
これは2020年のコロナ感染拡大による、遠隔医療の急激な拡大の影響です。
一方、会員数は8,000万人という公表から変わっていません。ただ、アムウェルのサービス利用数は2020年第1Qの72.5万人から160万人へ増加しています。総利用数も2020年に590万人増加し、2021年第1Qで1,000万人を超えました。
4. まとめ
アメリカン・ウェル(American Well Corp)の2021年第1Qの決算はアナリスト予想を初めて上回る結果となりました。
ワンストップでより多くのサービスを提供できるプラットフォームの発表、プロパイダー数の増加は、さらに顧客満足度を高めることが期待できます。
その一方で、テラドック同様、会員数自体に大きな変動はないようです。アムウェルはアメリカ国内での事業展開を行っているため、会員数の伸びが頭打ちになっているとしても他国で新たなユーザーを獲得するのは難しく、今後の成長に若干の不安を感じます。
ただ、実際にサービスを利用するユーザーは増えているため、利用数に伴う収入は増加が期待できます。
(事業内容や年度末決算など銘柄分析を行った記事もこちら↓にあります)
今回の記事は2020~2021年のAmerican Well Corpの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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