2021年8月20日、アミリス(Amyris Inc / AMRS)の株価は急上昇しました。
この日は色々な銘柄の株価が上昇しましたが、アミリスの場合は株価の上昇要因となるコロナワクチンについての発表があったので、その内容をまとめていきたいと思います。
1. アミリスについて
アミリスは、天然で持続可能な素材を利用し、合成生物学を用いて有機化合物を生み出している企業です。
代表的なものには、サメの肝油から作られる保湿・美容成分”スクワラン”があります。
サメを捕獲し抽出するよりも、安定的かつ環境に優しい方法で必要な成分を入手することができます。
(より詳しい事業内容や、年次決算分析のまとめ記事はこちら↓にあります)
2. コロナワクチンに関する発表内容
かねてより他企業と医薬品の共同開発を行っていましたが、今回のニュースは、2020年10月にライセンス契約を結び、Infectious Disease Research Institute(IDRI / 感染症研究所)と共に研究を進めていたコロナ(COVID-19)ウイルスに対するRNAワクチンについてです。
in vivo試験、つまり動物実験で、期待通りの免疫が確認されました。
IDRIとアミリス、それぞれの技術プラットフォームを組み合わせることで生まれた今回のワクチンは、既存の多くのワクチンとは異なり経鼻投与するものです。
鼻腔内に投与されたワクチンは粘膜に到達すると抗体を産生します。これにより、上気道感染に対する免疫を得られるよう設計されています。
注射での投与より簡単な上、今回のワクチンは現在承認されているものよりも上部呼吸器系の保護性能が高い可能性があるとしています。
このワクチンが承認されるにはまだまだハードルがありますが、無事に承認・商業化されれば、医薬品事業において大きな成果を得ることができます。
また、承認・商業化やワクチン開発に際して”未だにサービスを十分受けられていない人々が、よりサービスを利用できるようになることに期待する”、”呼吸器系疾患への、最も安価かつ高性能な予防策の開発・提供を目指す”としており、ワクチンが行き届いていない国・購入が難しい発展途上国などへ積極的に供給する意図があると考えられます。
今後は南アフリカでのヒト臨床試験を行う予定です。
なお、進捗やスケールアップ、供給などのロードマップを、後日行われる投資家向けウェビナーで発表する予定です。
3. まとめ
スキンケア商品の新ラインナップに続く、非常に明るいニュースです。
この開発の進捗自体も喜ばしいニュースですが、この技術を応用することで、インフルエンザなどの他の病気に対するワクチンを開発できる可能性が高まりました。(この開発はIDRIとの契約にも含まれる権利)
ただ、ワクチンが承認され商業化されたとしても、長期的な収益につながるかという点ではそこまで期待できないと考えています。
安価でのワクチン供給を掲げていますし、コロナに関してはワクチン需要が継続的なのかどうかもまだわかりません。
また、現在の市場は長期金利やテーパリングに敏感になっている節もあり、株価が継続的に上昇していくかという点では少々不安です。
後日ワクチンに関する進捗などを発表すると予告しているので、それまで多少の期待は維持されるでしょうし、デルタ株感染拡大によってワクチン銘柄は再び注目を集めていますが、クロとしてはリスクヘッジを念頭に置く姿勢は維持しようと思います。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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