アミリス(Amyris Inc / AMRS)の6月締め四半期決算(2022年度第2Q)について、アナリスト予想とも比較しつつ内容をまとめていきます。
■アミリスの事業内容や年度末決算など銘柄分析を行った記事はこちらにあります。
1. アナリスト予想との比較
今四半期は前四半期に引き続き、EPS・売上ともにアナリスト予想を下回る結果となりました。
※表の数値はTradingViewを参照しています(記事作成日の閲覧)
次は、実際の売上高と利益額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移
これは、四半期ごとの売上高と純利益をまとめた表です。
(単位:百万ドル)
売上は前年同期比25%増加しました。
また、コア収益(一時的な売上を省いた収益を、アミリスはコア収益と呼んでいる)に限って見ると、前年同期比54%増加したとしています。
特に消費者向け製品セグメントは前年同期比108%増加となっており、前四半期に引き続き100%超えの力強い成長を見せています。
また、この消費者向け製品の取扱店舗数は、前年同期の1,500店から9,000店へと急拡大しました。
ただ、取扱店の増加にはウォルマートの店舗数拡大も影響しているようです。
一方、テクノロジーアクセスセグメントは、前年同期比3%の成長に止まりました。
また、営業費用は前年同期比95%増加しており、約2倍となっています。
中でも販売費・一般管理費の増加が著しく、133%も増えました。
これは買収などによる人員増加、メディア・広告へのブランド投資、消費者向け製品のフルフィルメント(受注や梱包、出荷などの通販業務を指す)、配送費用といった要因の影響です。
3. その他の補足
3-1. 上半期の結果
2022年度上半期の売上は前年同期比46%減少しました。
ただ、これは、前年同期(2021年度上半期)に一時的な売上が約154百万ドル発生していたためです。
こういった要因を省いたコア収益を見ると、売上は前年同期比63%増加しています。
また、セグメント別に見ると、消費者向け製品セグメントは113%、テクノロジーアクセスセグメントは16%の売上成長となっています。
なお上半期での純損失は約224百万ドルで、前年同期と比較すると、原価、販売費・一般管理費が特に大きく増加しています。
3-2. ガイダンス
2022年通年のガイダンスとして、これまで通り、2つのセグメント(消費者向け製品収益とテクノロジーアクセス収益)のコア収益成長見込みが示されました。
前回、前々回から内容に変更はなく、消費者向け製品セグメントは前年比150%以上の成長、テクノロジーアクセスセグメントは前年比約40%の成長となる予測です。
3-3. コア収益・事業トピックス
決算と併せ、ブラジルのバイオテクノロジー生産施設が稼働し始めたことや、買収を2件完了させたことが発表されました。
新生産施設については、自社の生産能力を強化することでサードパーティへの製造依存を減らし、利益率の改善につなげる予定であるとしていたため、今後もこの点は期待して見ていきたいです。
また、完了した買収のうち1件はブラジルの化粧品・パーソナルケアの製造施設であるとしています。
他にも、サプライチェーン問題の軽減・運賃の削減などのため、低コストのフルフィルメントを目指して包装材などの移行を進めていることや、ヨーロッパへの展開準備に進捗があったことが述べられました。
また、今四半期は生産した出荷用原料全てを販売したことも発表されましたが、これは同時に生産能力不足を示しているとも言えます。
今回、前述したブラジルの新工場で、第3Qからは15百万ドルの原料出荷が可能になったとしているので、注目したいところです。
なお、この出荷用原料はテクノロジーアクセスセグメントに該当します。
4. まとめ
アミリス(AMRS)の2022年度第2Qは、コア収益の継続的な成長が示されました。
ただ、アナリスト予想未達が続き、ガイダンスでも前回の内容を繰り返していることから、予想外の大きな成長には期待しづらそうです。
合成生物学という分野で既に販売できる製品を持っている点、買収や生産施設の建設といった将来への投資に積極的な点には期待しているので、アミリスは今後も注目していきたい銘柄です。
ただ、現時点では生産した出荷用原料を全て販売しても大きな赤字という状況なので、もうしばらく様子を見守りたいと思います。
(アミリスの事業内容や年度末の決算書分析を行った記事もこちら↓にあります)
今回の記事はAmyris Incの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
過去の分析記事はこちらに一覧化しています。
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