今回はシースリー・エーアイ(C3.ai Inc / AI)の2022年度第4Q決算と2022年度通年での売上などの速報をまとめていきます。
また、今後のガイダンスや懸念点についても解説します。
■シースリー・エーアイの事業内容・銘柄分析はこちらにまとめています。
1. アナリスト予想との比較(EPS)
今四半期もアナリスト予想はクリアしました。
ただ、EPSはマイナスが続いています。
次は、実際の売上高と損失額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移
(単位:百万ドル)
今四半期の売上は前四半期から横ばいに近いですが、一歩で損失が増加しています。
また、前年同期比では売上が38%増加、営業損失が136%増加、純損失が143%増加となっています。
売上よりも損失の膨らみ方が著しい結果です。
なお、売上の大部分を占めるサブスクリプション収益は56百万ドルで、こちらは前年同期から31%増加しています。
また、粗利率(GAAP指標)は78%から76%へ2ポイント低下しました。
3. その他の補足
3-1. 2022年度通年の結果
2022年度(4月決算)通年での売上は253百万ドルで、前年比38%増加しました。
2021年度は前年比17%の成長にとどまっていたので、少々勢いを取り戻した形です。
しかし赤字は大きく膨らんでおり、営業損失は前年比225%増加、純損失は249%増加する結果となりました。
グロース銘柄としては売上の伸びが控えめな中、損失が急激な増加を見せています。
また、粗利率は前年の76%から75%へ1ポイント低下しました。
3-2. ガイダンス
2023年度第1Q(5月~7月期)の売上は65百万ドル~67百万ドル、2023年度通年の売上は308百万ドル~316百万ドル(2022年度比22%~25%の成長見込み)というガイダンスが発表されました。
これらのガイダンスは、いずれもアナリスト予想を下回っており、一時は株価の急落を引き起こしました。
3-3. 顧客数・RPO
2022年度第4Q終了時点での顧客数は223社となりました。
(※前四半期から顧客数のカウント基準を変更した)
前四半期終了時点は218社だったので、5社増加していることになります。
なお、前年同期となる2021年度第4Q終了時点では151社でした。
また、既に契約済みの売上(サブスクなど、将来売上となる予定のもの。履行義務)を示すRPOは477百万ドルとなり、前年同期比62%増加しました。
3-4. 気になる問題点
シースリー・エーアイは今なお、売上が一部の顧客にかなり集中しているとされています。
近年はマーケットパートナーと共に利益を得るエコシステムの拡大に取り組んでおり、顧客数が増加し、平均契約額は減少傾向となっています。
しかし2021年度(2020年5月~2021年4月)の成長失速は、顧客であり、共に合弁事業も行う大手石油企業ベーカーヒューズ(BKR)の影響が大きいと考えられ(新型コロナ感染拡大によってエネルギー市場は打撃を受けていた)一部企業に大きく依存している点を懸念する投資家も多いです。
4. まとめ
シースリー・エーアイ(AI)の今四半期、そして2022年度通年の結果を見ると、売上の伸びは少々回復したものの赤字が大きく増加するという内容でした。
ガイダンスに関しても、アナリスト予想を下回る内容です。
また、顧客数があまり増えておらず(今四半期は5社しか増加していない)、2020年度のような大きな成長はあまり望めないかもしれません。
まだまだ拡大の余地がある事業ではありますが、成長の鈍化、一部顧客への依存という懸念点もあることを頭に入れておきたい内容です。
今回の記事はC3.ai Incの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
■シースリー・エーアイの詳しい事業内容や年次決算などをまとめた記事もこちら↓にあります。
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