シースリー・エーアイ(C3.ai Inc / AI)の2021年10月締め決算(2022年第2Q)やニュースについて、アナリスト予想とも比較しつつその内容をまとめていきます。
■【2021年版】シースリー・エーアイの事業内容や年度末決算について分析した記事はこちらにあります
1. アナリスト予想との比較(EPS)
EPSはマイナスであるものの、アナリスト予想をクリアし続けています。
次は、実際の売上高と損失額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移
(単位:百万ドル)
今期は売上が増加したものの、純損失がさらに拡大しました。
その純損失の大きさは、売上高とほぼ変わりません。
なお前年同期比では売上が41%増加し、粗利率は76%から73%に低下しています。
この原価率の上昇は、人件費の増加、サードパーティへのアウトソーシング費用の増加が要因です。
また事業に関する費用は前年同期比114%も増加しています。
従業員が前年同期比で39%増加していることもあって人件費の増加が著しく、また広告費用も大きく増加しています。
スタンドアローンのデータ視覚化製品”C3 AI DataVision”の発表や不動産関連のアプリケーション導入などがあったので、これらが費用増加の引き金の一つだったのではないかと考えます。
3. その他の補足
3-1. 顧客数・分野の拡大
2022年第2Q終了時点での顧客数は104社となりました。
また、進出した業界は14種類へ増加しています。
この顧客数は前年同期比で63%増加、進出業界数は7種類から7種類の増加を達成しました。
なお、前期(2022年第1Q)末時点での顧客数は98社で進出業界は12でした。
こちらと比較すると、顧客数は6%の増加、進出業界は2種類の増加となります。
3-2. ガイダンス上方修正
今期の結果を受けて、シースリー・エーアイは2022年4月期の通年見通しを引き上げました。
売上は2億4,300万ドル~2億4,700万ドルという予測から2億4,800万ドル~2億5,100万ドルへ、Non-GAAPの営業損失は1億700万ドル~1億1,900万ドルという予測から1億ドル~1億800万ドルへ変更されています。
3-3. Google cloudとの提携は順調
金融サービスでの最初の取引をトライアルの形で成立させるなど、Google cloudとのパートナーシップは好調なスタートを切ったとしています。
また、全てのC3 AIソリューションが、Google cloudマーケットプレイスで利用できるようになりました。
3-4. 空軍・宇宙軍への拡大
米国空軍や宇宙、ミサイル防衛局などの公共分野でのビジネスを拡大しました。
これらは前年比33%の成長を見せており、下半期に更に加速するだろうとしています。
また、元米軍のマクマスター氏を諮問委員会に迎えています。
4. まとめ
今期は売上を増加させているのでそこまで悪い印象ではありませんが、最近のシースリー・エーアイ(AI)は四半期ごとに損失を拡大させている状態です。
現状は損失度外視で事業拡大に注力しているのでしょうが、今期は売上と損失がほぼ同額という結果でした。
また、営業活動のキャッシュフローも赤字となっています。
新しい展開として空軍などに事業を拡大させていますが、この分野はパランティア(PLTR)と競合すると考えられるので、この先どうなっていくか注視しておきたいです。
今回の記事は2020~2021年提出のC3.ai Incの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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