シースリー・エーアイ(C3.ai Inc / AI)の2021年7月締め決算(2022年第1Q)やニュースについて、アナリスト予想とも比較しつつその内容をまとめていきます。
■【2021年版】シースリー・エーアイの事業内容や年度末決算について分析した記事はこちらにあります
1. アナリスト予想との比較(EPS)
アナリスト予想はクリアしています。
次は、実際の売上高と損失額がどのように推移しているのかを見ていきます。
2. 四半期ごとの売上高と純利益(損失)の推移
(単位:百万ドル)
今回の2021年7月締めの四半期(2022年第1Q)は、前四半期とほぼ変わらない売上高でした。
しかしその一方で、損失額は増加しています。
原価面では、若干減少傾向にあったサブスクのコスト(クラウドサービスプロバイダー費用、人件費など)が少々増加してしまったこと、プロフェッショナルサービスの原価率が上昇気味であること(人件費増加、サードパーティー委託費用の増加など。四半期ごとに変動はあるが、過去年より増加中)が影響しています。
また、マーケティング費、管理費、研究開発費などの営業費用も、前期、前年同期比どちらと比較しても増加しています。
前年同期と比較すると、売上は29%の増加、粗利益も31%の増加となっている一方、損失は約10倍となりました。
収益の内訳を見ると、大部分を占めるサブスク収入が前期から7%増加、プロフェッショナルサービス収入は前期から31%減少という結果です。
なお、アナリスト予想売上高51.16百万ドルはギリギリ達成しました。
3. その他の補足
3-1. 顧客数・分野の拡大
2022年第1Q終了時点での顧客数は98社となりました。
また、稼働しているアプリケーションは101個、進出した業界は12種類へ増加しています。
この顧客数は前年同期比で85%増加、稼働アプリケーション数は51%増加となる数値で、進出業界数は7種類から5種類の増加を達成しました。
ただ、前期(2021年第4Q)末時点での顧客数は89社で、稼働アプリケーションは91個、進出業界は11で、こちらと比較すると、顧客数、稼働アプリケーション数どちらも10~11%の増加となります。
運用規模についても増加しています。
前期末時点で800以上の企業・企業外のデータソースと統合、1日あたり15億以上の予測を処理、1日あたり305億以上の機械学習機能を評価しているとしていましたが、今期末時点では849のデータソースと統合、1日あたり17億以上の予測を処理、毎日338億以上の評価を行っています。
3-2. 提携
最近では、2種類の提携のニュースがありました。
3-2-1. Snowflake
6月9日、クラウドベースのデータストレージ・分析サービスを提供する、Snowflake社との提携を発表しました。
これによってSnowflakeの顧客へ、迅速で効率的なAIアプリケーションの開発・導入のプラットフォームや、構築済みモデルの提供を目指します。
3-2-2. Google Cloud
9月1日に発表されたのは、Google Cloudとの提携です。
これによって、両社はGoogle Cloud上で動作するシースリー・エーアイのアプリケーションを、共同販売することになります。
また、Google Cloudの製品機能との相互運用性がある企業向けAIアプリケーションを提供することで、製造業の効率アップや金融業のプロセス改善、他にもヘルスケアやサプライチェーンなどにソリューションを活用できるとしています。
4. まとめ
年次決算では売上を増加させ、損失を削減していたシースリー・エーアイ(C3.ai Inc)ですが、今回の決算(2022年第1Q)はあまり良くない結果でした。
前年同期と比較すると大きく成長しているように見えますが、前期、前々期と比較すると、その成長は鈍化してきています。
買収を行わずに自力で事業拡大をしている点は評価したいですが、IPOのグロース銘柄の成長率鈍化は嫌がられるので、今後の株価にも影響が出てくるかもしれません。
今回の決算は少々残念ではありますが、元々長期投資目線で保有していることと、2社との提携が発表されているので、もう少し様子を見ていきたいです。
ちなみに赤字ではありますが、今期の営業活動のキャッシュフローは約100万ドルの黒字です。
今回の記事は2020~2021年提出のC3.ai Incの決算書及び四半期レポート、コーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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