エア・テスト・システムズ(Aehr Test Systems / AEHR)は1月6日の市場閉鎖後、11月締め四半期決算(2022年第2Q)の決算を発表しました。
決算内容には問題なかったように見えましたが、1月7日には21%を超える大きな下落が起きています。
一体なぜこんな急落が起きてしまったのか、早速まとめていきたいと思います。
1. エア・テスト・システムズとは
エア・テスト・システムズは、半導体やその材料の品質テストソリューションを開発・製造・販売する企業です。
モバイルデバイスや高速通信のインフラ成長などによって、より高度な性能を求められるようになった半導体市場へ、それぞれの顧客の需要に対応した製品を供給しています。
最近はEVへの搭載に適しているとされる炭化ケイ素デバイスの需要の強まりもあり、売上が増加しています。
エア・テスト・システムズの事業内容や年次決算などをまとめた記事はこちらにあります。
2. 四半期決算は問題ない内容
売上は前年同期比471%増加、また前年同期は赤字だったものが黒字(利益が発生)となるなど、業績はかなり良い結果でした。
また、2021年11月末時点のバックログ、今四半期の予約はいずれも同社にとって過去最高を記録しています。
2022年第2Q決算は、↓の記事で詳しく紹介しています。
3. なぜ急落したのか
四半期決算に問題がなかったのなら、一体なぜ株価は下落したのでしょうか?
結論から言うと、株価下落に直結するような報道・発表は何もありませんでした。
今回の下落の主な原因は、好調だった今回の決算を超えるほど、期待値が高くなり過ぎてしまっていたためです。
3-1. アナリスト予想との差は控えめ
今期(2022年第2Q)のアナリスト予想は、EPS 0.04ドル、売上9,034千ドル(約900万ドル)でした。
それに対し、今期の結果はEPS 0.05ドル、売上9,611千ドル(約960万ドル)です。
比率で見るとEPSは25%、売上は6%のプラスとなりますが、やはり金額にしてみると、予想値との差はあまり大きいとは言えません。
3-2. ガイダンス引き上げなし
今期の決算では、「引き続き、前回発表したガイダンスの達成を見込んでいる」という旨の”年間ガイダンスを維持”という方針が示されました。
前回の決算では”年間ガイダンスを80%近く引き上げ”ていたため、今回の”現状維持”という決断は、投資家には何のサプライズもなく、物足りなく映ってしまったと考えられます。
3-3. 急激に高まっていた期待
前述した2点は確かに株価を下げる要因ではありますが、それがなぜこんなにも大きな下落につながってしまったのでしょうか。
それは、ここ最近のエア・テスト・システムズの株価の急上昇と、急激な期待の集まりがあったためです。
このチャートは、エア・テスト・システムズの直近一年間の株価の推移を表しています。
好調な四半期決算(赤字から黒字になった)の発表を皮切りに株価はぐんぐん上昇し、一年前と比較して、2021年11月には約950%、2022年の初日には約860%も株価が急騰していました。
また、売上の増加以上に株価の上昇が大きかったため、以前は4倍前後だったPSRも約30倍にまで高くなってしまったのです。
こうした割高感と今回の決算のサプライズの少なさ、そして急騰以前から保有していた投資家にとっては十分利益(キャピタルゲイン)が出たと判断されたであろうことも後押しし、このような大きな下落に結びついてしまいました。
特に最近は利上げやバランスシート縮小議論によって市場も不安定なため、株式を売却して利益確定する動きが比較的活発な状況であることも、要因の一つだと言えるでしょう。
4. まとめ
エア・テスト・システムズ(AEHR)の今回の急落はかなり大きなものでしたが、調べた限り、事業に問題が起きているわけではないようです。
今後もEV市場の成長による事業拡大に期待しているので、クロとしてはホールドを続け、もし市場が落ち着いて買い場が来るようであれば買い増すことも検討したいと思います。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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