エア・テスト・システムズ【AEHR】銘柄分析_半導体の品質テストソリューションを提供

米国株の年次決算書・銘柄分析
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エア・テスト・システムズ(Aehr Test Systems / AEHR)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待※2022年第1Qまでの四半期込みで判断

それでは見ていきましょう。

最新決算(2022年3月発表)はこちら

1. Aehr Test Systems(AEHR)について

1-1. 業種

電子テクノロジー、半導体装置、検査・テスト

1-2. 事業の概要

エア・テスト・システムズは、半導体やその材料となるウェーハの品質テストソリューションを開発・製造・販売する企業です。
バーンイン試験(温度や電圧によるストレスを数時間~数日間かけ続け、初期不良品の除去や耐久度の測定を行うテスト)をはじめとしたスクリーニングテストのソリューションを手掛け、生産性の向上やテストコストの削減といった価値を提供しています。

近年、モバイルデバイスや高速通信のインフラ成長などで、半導体はより高度な性能を求められるようになりました。

そうした中で、従来より小型、低コスト、高い信頼性を実現するシリコンフォトニクス(電子テクノロジーと光学的な要素を集積した半導体)の導入や、従来の半導体原料であるシリコンよりも優れた特性を持つ”SiC(炭化ケイ素。シリコンカーバイド。これによって作られた半導体は電気自動車搭載に適しているとされる)”が注目を集めるなど、半導体市場は日々進化しています。
エア・テスト・システムズの設立は1977年ですが、最新技術となるこれらに対応したソリューションをも展開しています。

また、顧客は半導体メーカーや電子機器メーカー、テストサービス会社などですが、大手得意先である5社の顧客が売上高の80%以上を占めています。(2019年~2021年5月締めの数値)
2021年のこの大手顧客には、ASEグループ、オン・セミコンダクター、インテル、インフィが挙げられ、それぞれ売上高の24%、23%、20%、10%に該当します。

世界各国にテストサービスを提供していますが、2020年には日本の子会社の閉鎖、ドイツの子会社の直販の廃止を行い、代理店での対応に切り替えました。

1-3. チャート

エア・テスト・システムズの株価チャートはこのようになっています。数年間2ドル前後で推移していましたが、半導体関連銘柄の伸びといった影響もあってか、2021年7月半ばから急上昇し始めました。
また、9月の四半期決算発表でも株価は急騰し、その日は30%以上の値上げとなっています。(2021年9月28日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 資金繰りは問題なし
  • 自己資本比率は高めだが、2019年から20%低下
  • キャッシュフローは良くない

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

2021年決算書におけるAEHR貸借バランス

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”安定タイプ”です。

流動比率は約210%、当座比率も約110%で、短期の資金繰りに問題はありません。
固定比率は約22%と優秀です。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は53%で良好ですが、2019年5月には73%あり、段々と低下してきています。

2-1-3. キャッシュフロー

2021年5月期は営業活動がマイナス、投資活動がマイナス、財務活動がプラスという組み合わせで、フリーキャッシュフローもマイナスです。

事業の赤字が続いており営業活動がマイナス収支、設備などの購入で投資活動もマイナス収支、一方で資金調達を行っているため財務活動がプラス収支です。

2-1-4. 項目まとめ

ひとまずの資金繰りは問題なさそうですが、キャッシュフローの内容はあまり良くありません。

2-2. 収益性

  • 赤字のためROE・ROAともにマイナス
  • 年単位で見ると、最近は売上と純損失が共に減少傾向

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

AEHRのROE(自己資本利益率)推移_2021

赤字が続いているため、ROEもマイナスです。
2018年5月締めの一年間は売上が大きく黒字となっていますが、それ以前も赤字でした。

ROEのマイナス値が小さくなってきているのは純損失額の減少によるものですが、売上や自己資本も減ってきています。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

AEHRのROA(総資産利益率)推移_2021

ROAもROEと同様に推移しています。
2019年5月以降、総資産の額にはあまり変化はありません。

2-2-3. 項目まとめ

事業は赤字の年が多く、収益性はかなり低い状態です。

2-3. 経営の効率

  • 総資本回転率は良くもないが許容範囲
  • 売上高が減少しているため、回転率も低下傾向

2-3-1. 各回転率

AEHRの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率_2021

総資本回転率は0.8回で、売上は総資本より少々少ない状態ですが、そこまで悪い数値ではありません。
固定資産もあまりないので、固定資産回転率は高めです。
一方棚卸資産(在庫など)はかなり多く、回転率も低めです。

また、売上高の減少に伴って、回転率も低下傾向にあります。

2-3-2. 項目まとめ

2021年5月時点の数値を見ると特別悪くもないですが、年単位で見ると売上高が減少傾向にあるので、回転率も低下してきています。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 年間で見ると売上高は減少傾向
  • しかし直近(記事作成時点)の四半期は
    2連続で前年同期比100%以上の売上成長
  • 売上高研究開発費率は平均の約3倍

2-4-1. 売上高と営業利益

AEHRの売上高推移_2021

年単位で見ると、売上は減少傾向にあります。
コロナ感染拡大による悪影響も2020年5月期の第4Q頃から表れていました。

しかし、2021年5月期の第4Qあたりから売上が増加に転じています。
(2021年5月期の売上16.6百万ドルのうち、7.64百万ドルが第4Qのもの)

AEHRの営業利益(損失)推移_2021

2018年は売上が大きく黒字でしたが、それ以降は営業損失が出ています。

また、2021年5月期は粗利率が1%低下しました。
これは売上減少による製造効率低下などによるものです。

一方、販売費・一般管理費はコスト削減策によって減少し、損失の軽減につながりました。

また、同年は日本法人の解散による事業外の利益を得たため、最終的な純損失は約2百万ドルにおさまっています。

2-4-2. 研究開発費

2021年5月期の売上高は約16.6百万ドル、研究開発費は約3.65百万ドルだったので、売上高研究開発費率は22%となり、平均の約3倍です。(科学技術・学術政策研究所によると※1同程度の従業員規模の平均は7.8%とされている)

※1出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所科学技術指標2019

2-4-3. 項目まとめ

年度ごとの数値を見ると、売上減少と赤字が続いており、あまり成長に期待できそうにありません。

しかし、コロナによる影響が落ち着いてきたこともあってか、2021年5月期の第4Qから売上が増加しました。
この売上の好調ぶりは、2022年5月期の第1Q(8月締め。記事作成時点の最新決算。売上高は5.65百万ドルで、前年同期比181%増加)も継続されています。

これは一時的な需要である可能性もありますが、今後の数値が気になる内容です。

2-5. 補足:2022年5月期の年間ガイダンス引き上げ

2022年5月期第1Qの決算発表と共に年間売上のガイダンスを約80%引き上げ、5,000万ドル以上としました。
第1Qの売上は565万ドルというなか、かなり強気な数字にも見えます。

しかし、電気自動車用SiC(炭化ケイ素)をサポートする商品の大きな受注があったこともあって、この3ヶ月間でバックログは約10倍の1,660万ドルに増加しています。
また、”今後1年半の間にSiC関連の顧客が数社増えると考えている”との発言もあり、ここから成長が加速する可能性はありそうです。

3. まとめ

クロとしては、エア・テスト・システムズ(AEHR)はひとまず短~中期での投資を検討したい銘柄です。

年次決算の内容はあまり良くありませんが、四半期で見ると急激な売上の伸びがあります。

コロナ社会からの回復が売上を後押ししている部分もあるかもしれませんが、電気自動車市場拡大によるSiCの需要増加も大きな要因の一つとなっており、しばらくは好決算を出すことも可能ではないかと考えました。

エア・テスト・システムズのプレスリリース内でも、「SiC市場は2020年~2026年の間に500%以上増加・年平均成長率36%で成長し45億ドルに達すると予想※Yole Research社による」「電気自動車産業は2020年~2025年の間に年平均成長率29%で成長すると予想※Deloitte社による」「電気自動車用SiCウェーハの総市場規模を、2021年では150mm換算で133,000枚だが、2030年には123万枚を超えると予想※Exawatt社による」と市場の成長の予測が提示されています。

ただ、IPOのような劇的な成長は期待しづらいと考えられる中、売上の大部分を数社で占めているという状況はリスクも高いですし、保有数や期間はじっくり検討したいと思います。

今回の記事はAehr Test Systemsの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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