ADM【ADM】銘柄分析_代替タンパク質や持続可能性にも注力する大手穀物企業

米国株の年次決算書・銘柄分析
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アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(Archer Daniels Midland Co / ADM)の決算書(10-K)分析やニュースについてまとめました。クロの判断は以下の通りです。

  • 安定性(資金繰り)
  • 収益性
  • 経営の効率
  • 成長への期待

それでは見ていきましょう。

1. Archer Daniels Midland Co(ADM)について

1-1. 業種

食品加工、輸送

1-2. 事業の概要

アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドは、農産物の加工や調達・貯蔵・輸送を手掛ける大手穀物企業です。

扱う農産物は油脂用種子やトウモロコシ、小麦、カカオ、ピーナッツなどで、これらを用いて食用油、小麦粉、甘味料といった食品や、家畜用の飼料原料などを製造しています。
また、持続可能で再生可能な製品の提供も目指し、テクノロジーの開発やバイオディーゼル燃料の供給拡大なども行っています。

事業は「農業サービスと油糧種子」「炭水化物ソリューション」「栄養」の3つのセグメントに分けられます。

「農業サービスと油糧種子」セグメントでは、農業原料の生産、加工・商品化、輸送、保管を行っており、2021年12月には再生可能ディーゼル燃料の需要拡大に対応するために、石油企業であるマラソン・ペトロリアム(Marathon Petroleum Corp / MPC)との合弁会社”Green Bison Soy Processing”プロジェクトも開始しました。
アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドはこの合弁会社の75%を所有(残りはマラソン・ペトロリアム社所有)し、大豆から製造した油をマラソン社に独占的に供給します。

「炭水化物ソリューション」では、トウモロコシや小麦から様々な食品や工業用製品(エタノールなど)を製造しています。
また、このエタノール製造に伴って発生する二酸化炭素の回収・隔離に積極的に取り組み、その経験を活用する姿勢を見せています。

「栄養」セグメントでは通常の食品の他、栄養補助食品、ペットフードなど、幅広い成分、ソリューションの提供を行っており、2022年4月には代替タンパク質の品質向上、生産拡大に3億ドルを投資することを発表しました。

1-3. チャート

アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドの株価チャートはこのようになっています。
2020年2月頃の新型コロナ感染拡大で一時急落した後、2022年4月半ばまで上昇傾向が続いていました。
しかしその後は下落に転じています。
最近は利上げなどでコモディティの指標とされるCRB指数も下落しており、こちらの影響もありそうです。(2022年6月22日時点)

2. 決算書(10-K)の分析

2-1. 経営の安全性(資金繰り)

  • 使途の決まった現金が多い
  • 自己資本比率は40%と十分
  • キャッシュフローは問題なし

2-1-1. 流動資産・固定資産に関する比率

ADM貸借バランス_2021

(単位:百万ドル)

貸借バランスは”ギリギリ運用タイプ”です。

現金はしっかりと保有していますが、証拠金や担保などで使途の決まっているものが多く、自由な資金が潤沢にあるという状況ではないようです。

2-1-2. 資本の比率

自己資本比率は約40%と十分な数値です。

2-1-3. キャッシュフロー

営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がマイナスという組み合わせで、フリーキャッシュフローはプラスです。

事業からしっかりと利益を出しており、営業活動によるキャッシュフローはプラス収支です。

投資活動では、事業そのものへの投資や、事業買収のための支出が大きな割合を占めています。

財務活動では、長期借入による資金調達、過去の債務の返済、配当の支払いを行っています。
なお、2021年度は自社株買いは行われませんでした。

2-1-4. 項目まとめ

自己資本比率、キャッシュフローには問題ありませんが、使途が明確に定められた現金を分離しており、自由に使用できる資金は少々少なく感じます。

2-2. 収益性

  • ROE・ROA共に平均には届かず
  • 2021年度は過去年より収益性高め

2-2-1. ROE(自己資本利益率)

ADMのROE(自己資本利益率)推移_2021

2021年度は売上が急増したことに伴い純利益も増加したため、ROEは12%となりました。
しかし米国平均とされる16%~18%には届いていません。

なお2018年度~2020年度は売上がほぼ横ばいとなっており、費用の変動で純利益が一時減少したため、ROEの数値にも反映されています。
自己資本については、毎年少しずつ増加しています。

2-2-2. ROA(総資産利益率)

ADMのROA(総資産利益率)推移_2021

ROAもROE同様に上下しています。
ROAでも2021年度は高めの結果が出ていますが、米国平均(6%~8%)には達しませんでした。

総資産は年々増加しています。

2-2-3. 項目まとめ

ROE・ROAどちらも米国平均には届かないものの、安定した黒字となっています。
また、売上が過去数年横ばいでしたが、利益額の増減はあったようです。

2-3. 経営の効率

  • 総資本回転率は最低ラインをクリア
  • 棚卸資産回転率は若干低め

2-3-1. 各回転率

ADMの総資本回転率、固定資産回転率、棚卸資産回転率_2021

総資本回転率は約1.5回で、最低ライン1回をしっかりと超えています。
また、固定資産回転率も十分だと言えるでしょう。

ただ、棚卸資産回転率はあまり高くありません。
製造業では平均が7~10回とされており、それと比較しても少々低めです。

なお、2021年度は売上が大きく伸びたため、回転率は全体的に前年度より上昇しています。

2-3-2. 項目まとめ

棚卸資産回転率が少々気になるものの、全体的な回転率は十分な数値です。

2-4. 成長している・していく企業か

  • 2021年度は需要拡大に伴って売上急増
  • 2020年度までは売上が横ばい
  • 売上高研究開発費率は0.2%

2-4-1. 売上高と営業利益

ADMの売上高推移_2021

過去数年横ばいだった売上が、2021年度は需要拡大と価格上昇によって前年比32%増加しました。
なお、油糧種子とトウモロコシの処理量は前年とほぼ変わりません。(1%未満の減少)

ADMの税引き前利益推移_2021

アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドは損益計算書で営業利益を明示していないため、税引き前利益で比較します。

2021年度は売上が増えたことに加え、債務消滅損失や支払利息が小さく済み、利益の増加につながりました。
また粗利率は7%と、最近(6%~7%未満だった)の中では若干高い数値です。

2-4-2. 研究開発費

売上高は約85,249百万ドル、研究開発費は約171百万ドルだったので、売上高研究開発費率は0.2%となります。
かなり低い数値ですが、研究開発や最新技術を主体とした事業ではないため、問題は無いと考えられます。

また繰り返しになりますが、代替タンパク質事業に3億ドル(300百万ドル)の投資をする予定となっており、これがまとめて計上された場合、研究開発費は増加しそうです。

2-4-3. 項目まとめ

2021年度の需要拡大に牽引され、売上と利益を大きく増加させています。

現在、世界的に小麦が不足する事態となっており(主要な小麦輸出国であるウクライナが輸出の難しい状況にあることや、インドでの記録的な熱波・フランスの干ばつなどが生産量に影響しているため)一時的な価格上昇と利益積み増しは可能かもしれませんが、長期的な成長という点では少々不安も残ります。

また、世界的な金利引き上げがコモディティの価格上昇に歯止めをかけるのかという点にも注意が必要です。

3. まとめ

クロとしては、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は短期的に注視しておきたい銘柄です。

世界的な小麦不足を背景に株価が再び上昇する可能性もありますが、世界情勢の変化なども大きく影響するため、投資する際には随時確認と検討が必要になります。

他に気になる点としては、持続可能性について取り組んでいることが挙げられます。
特に代替タンパク質に関しては、穀物を扱う大手企業としてアドバンテージがあるとも考えられるので、続報に期待したいと思います。

今回の記事はArcher Daniels Midland Coの決算書及びコーポレートサイトを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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