App Store外の決済を容認へ【AAPL】収益に影響は?

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アップル(Apple Inc. / AAPL)が本日(2021年8月27日)、App Storeの手数料などが争点となっていた、集団訴訟に対する和解を発表しました。

今までユーザーのApp内課金(サブスクリプション、アプリケーション内課金、有料アプリケーション)はApp Store経由にほぼ限定されており、それらに対して30%の手数料を得ていたアップルですが、これからは他の決済方法をある程度容認する方針です。

早速詳細を見ていきましょう。

1. アップルについて

1-1. 事業概要

アップルはMacやiPhone、iPadを開発・製造・販売する大手メーカーです。
他にもウェアラブル製品やiPod touch、クラウドサービス、App Storeでのデジタルコンテンツの提供、ApplePay決済サービスなど、様々な事業を展開しています。

その他事業や年次決算については、こちら↓の記事で紹介しています。

1-2. 手数料は強制だったのか?

訴訟の大きな争点の一つである”30%の手数料”ですが、実際のルールはどうだったのでしょうか?
調べたところ、以下のように定められていました。

  • アプリ外への課金であればApp Store経由の必要はなく、手数料は発生しない
    例:Amazonアプリでの買い物など
  • アプリ内課金である場合、アプリにApp Storeを経由しない決済方法の導入は不可
  • アプリ開発者がwebサイトなどで他の決済を行うことは可能だが
    アプリ内での告知や誘導は禁止

アプリを使っているユーザーにしてみれば、アプリ内に示された決済への導線に従って進むのが一般的なので、開発者が手数料の支払いを避けるのは難しい状況だったと考えられます。

2. 集団訴訟について

2-1. 訴訟の概要

2019年6月に複数の米開発者が起こした訴訟で、内容は「App Storeでのアップルの行い(最低価格の義務付け、アプリストア経由と30%の手数料、開発者への登録料など)が独占禁止法に違反している」というものです。

ちなみに、人気ゲーム”フォートナイト”を配信するEpic Gamesの訴訟が一躍話題となりましたが、これとは別の訴訟です。
フォートナイトの件は最終弁論は終わったものの、この記事を作成している段階では判決がいまだに出ていません。

2-2. 和解の内容

一番の注目点は「開発者がユーザーへApp Store外での支払い方法を直接告知できるようになった」ことです。
”開発者はメールなど(ユーザーの同意の上)で、App Storeを経由しない支払方法を通達することができる”ことと、”App Store経由以外での購入には手数料がかからない”ことが明言されました。

要点は他にもいくつかあるので、以下に箇条書きでまとめました。

  • ユーザーへApp Store外での支払い方法を直接告知(メールなど)できるようにする
  • 現行のApp Store Small Business Programを3年間は維持する
    (年間収益100万ドル未満の企業への手数料引き下げ施策)
  • 小規模の開発者向けの基金を設立する ※対象はアメリカのみ
  • 現在のApp Store検索システムが客観的であることを確認し、最低でも今後3年間維持する
  • 価格設定のオプションを増やす
  • ストアでの却下・無効化・削除など、アプリ審査に関する透明性レポートを作成する
  • アプリの却下に対して、開発者が不服申し立てできる選択肢を維持する

基本的な手数料体系に関しての変更はなかったものの、かなり譲歩した内容です。

3. 決算への影響

手数料収入が減少しそうな今回の和解ですが、影響はどの程度起こりうるのでしょうか?
売上・利益それぞれの、全体に占める割合を見ていきたいと思います。

3-1. 売上

2020年(9月決算なので2019年10月~2020年9月期)のアップルの売上は2,745億ドルでした。
このうち、App Storeに関する収入が含まれる”サービス事業”の売上は、538億ドルで、総売上のうち20%近くを占めています。

売上高自体はiPhoneに及ばないものの(iPhoneは1,379億ドル)、サービス事業は年々売上を増やしており、2018年からの2年間で35%の成長を見せていました。

ただ、このサービス事業に含まれるものはApp Store手数料だけではなく、広告、アップルケア、クラウドサービス、Apple Musicなどのデジタルコンテンツ、Apple ArcadeSM(定額制ゲームサービス)、クレジットカード、Apple Payなど多岐にわたります。
この中で、App Storeの手数料がどれだけの割合を占めていたのかが、今後の変動のカギになりそうです。

ちなみに2020年10月~2021年6月までの9ヶ月間の売上で見ると、総売上は2,825億ドル、サービス事業の売上は501億ドル、サービス事業が売上に占める割合は18%と、少々比率は下がっています。

3-2. 利益

2020年の決算書で利益の詳細として公表されているのは、製品とサービスの2つのセグメントそれぞれの粗利益です。

粗利益合計1,050億ドルのうち、サービスが占めるのは355億ドルで、製品の695億ドルより少ないです。
ただ、粗利率は上昇傾向にあり、2020年は66%でした。
先ほどのサービス事業の売上538億ドルの66%がちょうど355億ドルなので、このセグメントはサービス事業と同一と考えてよさそうです。

なお、2020年10月~2021年6月までの9ヶ月間での粗利益の合計は1,177億ドルで、サービスセグメントの粗利益は348億ドルです。

4. まとめ

今回のアップルの和解の発表は、懸念材料となりそうです。

今回の他社決済の容認によって、どれだけの開発者がストア外での決済に動くかはわかりませんが、下がった手数料分を価格に反映するなどしてメリットを生まない限り、ユーザーは安全性が信頼でき、手間のかからないApp Storeでの支払いを選択するのではないかと考えています。

また、現状の売上割合を見ると、手数料の減少が大打撃ということにはならないのではないかと思いますが、今後の利益率の変動は注視しておきたいです。
現状、クロとしてはアップル株を売るつもりはありません。

今回の記事はApple Inc.のコーポレートサイトなどを参考に作成しました。少しでもお役に立てたら嬉しいです。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。

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