先日発表されたSPCE(ヴァージン・ギャラクティック)のテスト飛行・商業飛行予定の最新情報や、LCID(ルーシッド・グループ)の生産・納品台数をはじめ、NET(クラウドフレア)、VYGR(ボイジャー・セラピューティクス)などの注目決算・トピックスをまとめました。
1. ヴァージン・ギャラクティック
民間の宇宙旅行を開発中のヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic / SPCE)の最新情報をまとめていきます。
■ヴァージン・ギャラクティックの事業内容などはこちらでまとめています。
今四半期はまだ商業飛行が実現されていないため、1億1,100万ドルの純損失が発生しています。
1-1. 商業飛行開始の更なる延期
2022年内に商業飛行を開始するとされていましたが、前回決算時に、2023年度第1Qの開始へと延期されていました。
しかし今回、商業飛行は”2023年度第2Q開始”へと更に延期となることが発表されました。
これはマザーシップ(母船)の強化プログラムに予定より時間がかかっていることが原因です。
1-2. 生産体制の拡大
ボーイング(BA)の子会社Aurora Flight Sciencesが、新型マザーシップ(母船)2隻の建造を行うことが発表されました。(ヴァージン・ギャラクティックはマザーシップを利用した打ち上げを行う)
このマザーシップは年間最大200機の打ち上げを行うことが想定されており、2025年に就航する予定となっています。
また、アリゾナ州に新しい製造施設を建設することも発表されています。
この施設は年間最大6機の宇宙船を製造する予定で、2023年後半にはフル稼働できる見込みです。
2. ルーシッド・グループ
次はEVベンチャー、ルーシッド・グループ(ルシード・グループ / Lucid Group Inc / LCID)の最新情報です。
■ルーシッド・グループの銘柄分析はこちらでまとめています。
生産見込み台数を半減させたことなどから、株価は打撃を受けています。
2-1. 売上・損益
今四半期は約9,700万ドルの売上を達成しました。
その一方で原価が約2億9,200万ドルと、売上を大きく上回っています。
なお、その他の費用や事業外の収益なども差引され、最終的な純損失は約2億2,000万ドルです。
また、今回の売上はアナリスト予想(※TradingViewより)の1億4,548.8万ドルを大きく下回りました。
EPSについては、予想値-0.39ドルを-0.33ドルでクリアしています。
2-2. 納入・予約・生産台数
今四半期の納入台数は679台で、前四半期の約1.9倍でした。
また、予約数は既に37,000台(売上にすると35億ドル)を超えています。
注目すべきは2022年の生産台数です。
前回決算時は12,000台~14,000台とされていた生産見込み台数が、今回6,000台~7,000台に下方修正されました。
これはサプライチェーンなどの問題によるものだとしています。
3. クラウドフレア
CDNやDNS、セキュリティなどのサービス事業を手掛けるクラウドフレア(CloudFlare Inc / NET)は好調な決算を発表し、株価も急上昇しています。
■クラウドフレアの銘柄分析はこちらでまとめています。
3-1. 売上・損益
今四半期の売上は約2億3,000万ドルで、前年同期比54%増加しました。
これはアナリスト予想(約2億2,732.8万ドル)をクリアしています。
EPSについても-0.006ドルという予想に対し0ドルとなっており、こちらも達成しました。
また、純損失は約6,400万ドルで前年同期より増加していますが、キャッシュフロー面(営業活動)では株式報酬の調整が入るため、プラス収支を保っています。
トピックとしては大口顧客(年間10万ドル以上の売上がある)が大幅に増加しており、合計1,749社となりました。
これらの大口顧客は売上全体の60%を占めています。
3-2. ガイダンス
2022年度第3Qでは売上2億5,000万ドル~2億5,100万ドルを見込んでおり、non-GAAP EPSは0.00ドル~0.01ドルとなる予定です。
通年では売上を9億6,800万ドル~9億7,200万ドル、non-GAAP EPSを0.03ドル~0.04ドルと予測しています。
なお、通年の売上ガイダンスに関しては前回決算時よりも引き上げられました。(前回は9億5,500万ドル~9億5,900万ドルとしていた)
4. ボイジャー・セラピューティクス
最後にファイザーやノバルティスともコラボレーション契約中のボイジャー・セラピューティクス(Voyager Therapeutics, Inc. / VYGR)の最新情報をまとめていきます。
■ボイジャー・セラピューティクスの銘柄分析はこちらでまとめています。
4-1. 開発ポートフォリオの更新
ボイジャーには、過去に臨床試験を行っていたプログラムもありますが、2021年8月に”カプシドやプラットフォーム技術への投資を拡大する”という方針を打ち出し、外科手術ベースの治療プログラムの中止と、より安全性の高い治療プログラムの開発を宣言しています。
そして今回、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の遺伝子治療優先パイプラインを発表しました。
また、ファイザー、ノバルティスとのコラボレーションも順調であるとし、それぞれ2022年度第4Qと2023年度第1Qにオプション行使の決定が行われる予定となっています。
なおボイジャーの強みであるAAVカプシドについても、有望な受容体の一つを特定するなど、研究が進んでいることを発表しました。
5. まとめ
先週は、ヴァージン・ギャラクティック(SPCE)の商業飛行延期、ルーシッド・グループ(LCID)の生産見込み台数の半減など、残念なニュースも多くありました。
ルーシッドの決算を見ると、サプライチェーンの影響が今なお強いようなので、同じくEVベンチャーのリビアン(RIVN)などの数値も気になるところです。
また、最近はバイオ・ゲノム銘柄にも注目が集まっています。
そのうちの一つとして、ボイジャー・セラピューティクス(VYGR)も追っていきたいと思います。
記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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