2022年2月16日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、7社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移、2022年のガイダンスなど(一部記載のない企業もあり)を見ての簡単な所感をまとめました。
本日発表されたエヌビディアの決算は好調でしたが、投資家の期待が非常に膨らんでいたこともあり、株価を押し上げることはできませんでした。
他にも、ショッピファイ、サンパワー、ファストリーなど、注目度の高い企業が決算を発表しています。
1. 四半期決算
1-1. ガーミン(GRMN)
GPSのパイオニア。専門機器の他、ウェアラブル製品なども手がける。
アナリスト予想をクリアし続けています。
通年では増収増益(売上は前年比19%増加)となっていますが、今四半期のみを見ると、売上は前年同期比3%増加したものの、純利益が14%減少しました。
2022年通年のガイダンスでは、5,500百万ドルの売上(前年比10%増加)を見込んでいます。
アナリスト予想の売上は5,320百万ドル(※Yahoo!financeより)なので、ガイダンスが上回っています。
■ガーミンの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
1-2. ショッピファイ(SHOP)
ECサイトの運営・管理プラットフォーム、POSシステムを提供する。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想を達成しました。
ただ、ショッピファイに関してはTradingViewとYahoo!financeでのアナリスト予想値の乖離が大きく、Yahoo!financeで見るとEPSの予想が1.58ドル、売上が1,690百万ドルとなっています。(2022年2月17日閲覧。サイトの不具合の可能性もあり、後日修正されるかもしれません)
こちらと比較するとEPS、売上ともに未達ということになります。
今四半期の売上は前年同期比41%増加していますが、事業外の株式の評価損などがあって最終的に赤字となりました。
明確なガイダンスはないものの、2021年上半期のような大きな成長が2022年に繰り返されることは無いだろうという見方を示しています。
これは、2021年の成長が、新型コロナ感染拡大やそれに関連した施策を追い風としていたためです。
1-3. シスコ・システムズ(CSCO)
ネットワーク通信機器や関連ソフトウェア、セキュリティサービスなどを提供する大手。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想をクリアしました。
また、業績も増収増益となりました。
2022年第3Qのガイダンスでは(7月締め決算のため、11月~1月は第2Q)前年同期比3%~5%の売上成長、non-GAAP EPSは0.85ドル~0.87ドルを見込んでいます。
また、2022年通年では、前年比5.5%~6.5%の売上成長、non-GAAP EPSを3.41ドル~3.46ドルと予測しています。
アナリスト予想(※Yahoo!financeより)はいずれもガイダンスの範囲内です。
1-4. ドアダッシュ(DASH)
レストランやファストフードの料理を中心に扱うデリバリー・サービスを提供。
売上はクリアしたものの、EPSがアナリスト予想を下回り続けています。
新型コロナ感染拡大の影響が大きかった2020年と比較しても売上は大きく増加しています。
また、MAU(月間アクティブユーザー)も増加し、過去最高の2,500万人を突破しました。
ガイダンスでは、2022年第1Qのマーケットプレイスの受注総額を114億ドル~118億ドル、通年での受注総額を480億ドル~500億ドルとしています。
2022年第1Qの受注総額ガイダンスは予想を上回っています。
1-5. ファストリー(FSLY)
エッジクラウドのプラットフォームを運営する。大手顧客が多いのが特徴。
今四半期は、アナリスト予想をクリアしました。
今四半期の売上は前年同期比13%増加したものの、純損失も26%増加する結果となっています。
ガイダンスでは、2022年第1Qの売上を97百万ドル~100百万ドル、通年売上を400百万ドル~410百万ドル、またnon-GAAP EPSを第1Qに-0.15ドル~-0.13ドル、通年で-0.6ドル~-0.5ドルと見込んでいます。
第1Qのアナリスト予想(※Yahoo!financeより)はいずれもガイダンスの範囲内に収まりましたが、通年の予想は売上418.98百万ドル、non-GAAP EPS -0.48ドルとなっており、ガイダンスが下回る結果となりました。
■ファストリーの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
1-6. エヌビディア(NVDA)
GPU”GeForce”を主力とする半導体大手メーカー。GPUの高速な計算処理能力を他に転用するGPUPU(AIの学習や自動運転、仮想通貨のマイニングなど)、メタバースの共同作業プラットフォームも展開する。
アナリスト予想をクリアし続けています。
また、今四半期の売上は前年同期比53%増加しており、純利益も106%増加しました。
2023年度第1Qのガイダンス(1月締め決算のため、11月~1月決算が第4Q)では、売上8,100百万ドル(±2%)を見込んでいます。
なおアナリスト予想(※Yahoo!financeより)では7,290百万ドルとされており、ガイダンスが上回っています。
全体的に非常に良い内容ですが、しいて言うならば、調整後粗利益率が0.1%だけアナリスト予想平均を下回ったとされています。
■エヌビディアの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。(監査後の2022年度決算反映版を準備中です)
1-7. サンパワー(SPWR)
太陽光発電に関する事業を行う。品質に定評のあるソーラーパネルの製造などを行っていたがスピンオフし、現在はサービスや管理業務に注力する。
今四半期は、EPSがアナリスト予想を下回りました。
また四半期の売上は前年同期比12%増加しており、今期、前年同期のどちらも事業外の要因で利益を生み出しています。
ガイダンスでは、2022年通年で85百万ドル~105百万ドルの純利益を見込んでいるとしています。
2020年の黒字は事業外の要因(保有株式の価値変動)によるものだったため、2022年のこの純利益が事業から達成されれば、大きな転機になるかもしれません。
■サンパワーの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
2. まとめ
今回ピックアップした中ではエヌビディアの決算が飛び抜けて良い内容でしたが、期待が高まり過ぎていたのか”期待したほど凄くない内容”と受け止められてしまったようです。
また、ファストリーがアナリスト予想をクリアしたものの、通年ガイダンスが弱気だったため大きな下落を起こしています。
利上げやバランスシート縮小前というタイミングなので一旦様子を見つつ、FOMC後に改めて決算内容と株価を見比べてみたいと思います。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。
表内のEPS、売上はTradingViewの数値を、その他一部売上予測などはYahoo!financeより引用させていただいております。(いずれも記事作成日に閲覧した内容です)
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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