2022年2月15日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、7社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移、2022年のガイダンスなど(一部記載のない企業もあり)を見ての簡単な所感をまとめました。
本日は、注目度の高いロイヤルティ・ファーマやロブロックスの決算が発表され、一部ガイダンスを下回る結果となりました。
特にロブロックスはDAUも予想値を下回り、四半期や年間ガイダンスといったプラス要素もなかったため、株価が大きく下落しています。
一方、エアビーアンドビーやアップスタートは好調な内容です。
1. 四半期決算
1-1. レストラン・ブランズ・インターナショナル(QSR)
バーガーキング、ティムホートンズなどのファストフードレストランを運営。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想をクリアしました。
四半期、通年のどちらで見ても増収増益で、通年では2019年を超える売上を達成しました。
2020年は新型コロナ感染拡大によって打撃を受けましたが、回復が感じられます。
2020年と比較して、2021年は新型コロナによる悪影響が小さくなったものの、2022年も影響(サプライチェーンの問題等も含む)はあるだろうと見込んでいます。

■レストラン・ブランズの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
1-2. ロイヤルティ・ファーマ(RPRX)
バイオ医薬品の特許を購入し、製薬会社に販売することで利益を得るビジネスモデル。
現在は未承認の医薬品開発への資金提供なども行う。
今期は売上がアナリスト予想を下回りました。
しかし売上、利益共に増加しており、今四半期は売上が前年同期比12%増加、利益が15%増加しています。
※売上は調整後現金収入、利益は調整後キャッシュフロー(ロイヤルティ・ファーマの売上・利益を正しく表しているとされるnon-GAAP指標)を使用。
2022年のガイダンスでは、売上を2,225百万ドル~2,300百万ドルと見込んでいます。
アナリスト予想は2,260百万ドル(※Yahoo!financeより)となっているので、ガイダンスの範囲内です。

■ロイヤルティ・ファーマの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。
1-3. エアビーアンドビー(ABNB)
様々な物件や部屋が掲載された民泊仲介サイトを運営する。メッセージのやりとりや決済システムも提供。
今四半期はアナリスト予想をクリアしました。
四半期、通年のどちらで見ても、売上は前年の実績を大きく超えました。
また通年では、新型コロナ感染拡大前である2019年の売上を25%上回っています。
ただ、四半期のみを見ると黒字になりましたが、通年では352百万ドルの赤字です。
2022年第1Qでは米国、ヨーロッパでの予約状況がコロナ前の状態に戻っているとしており、1,410百万ドル~1,480百万ドルの売上を見込むというガイダンスを出しています。
アナリスト予想では、売上が1,240百万ドル(※Yahoo!financeより)や1,254百万ドル(※TradingViewより)と予測されているので、予想値を超えるガイダンスということになります。

■エアビーアンドビーの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
1-4. パシフィック・バイオサイエンシズ・オブ・カリフォルニア(PACB)
長い遺伝子情報を読み取る”ロングリード”、生体分子をリアルタイムで分析する”単一分子リアルタイム(SMRT)技術”が強みのゲノム解析プラットフォームを提供する。略称はPacBio。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想を下回りました。(売上は端数の部分で予想値に未達)
売上は大きく伸びており、四半期では33%、通年では65%増加となっています。
しかし赤字も同時に増え、2020年の黒字から一転、2021年は赤字となりました。
ただ、2020年の黒字は事業からのものではなく、イルミナからの融資の影響です。
2021年はこの返済も行いました。

■PacBioの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
1-5. ロブロックス(RBLX)
共同体験・ゲーミングプラットフォームを提供する。ユーザーはプラットフォーム内のゲームで遊ぶだけではなく、自身もゲームを制作・配信できる。また、制作したゲームに課金システムを導入すれば収益化も可能。
提供するプラットフォームはVR限定ではないものの、メタバース銘柄として注目される。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想を下回りました。
また、EPSは予想値に達しない期が続いています。
DAU(デイリーアクティブユーザー)は、今四半期で4,950万人(前年比33%増加)、通年で4,550万人(前年比40%増加)となりました。
今四半期のDAUは5,050万人と予想されていたため、未達という結果です。
なお、売上に関しては、今四半期は前年同期比83%増加、通年で108%増加と大きな成長を見せています。
2022年1月の見込みでは売上が203百万ドル~206百万ドルとされ、前年比64%~66%成長する予測です。
なおアナリスト予想の第1Qの売上は775.74百万ドル(※Yahoo!financeより)となっているので、1月のガイダンスはこの3分の1に達していません。

■ロブロックスをはじめ、メタバース銘柄を紹介した記事はこちらにあります。
1-6. アップスタート・ホールディングス(UPST)
AIを活用した融資プラットフォームでローン商品を提供する。
アナリスト予想を達成し続けています。
総売上は大きく伸びており、今四半期は前年同期比252%増加、通年では264%増加という結果です。
利益は更に大きく増え、四半期、通年どちらも前年の数十倍という規模での増加となりました。
ガイダンスでは、2022年第1Qの売上を295百万ドル~305百万ドル、通年売上を約14億ドル(1,400百万ドル)と見込んでいます。
アナリスト予想(※Yahoo!financeより)では、2022年第1Qの売上が258.3百万ドル、通年売上が1,210百万ドルとされており、予想を上回るガイダンスを発表したことになります。

1-7. アカマイ・テクノロジーズ(AKAM)
CDN(コンテンツ・デリバリ・ネットワーク)企業。クラウドフレア(NET)やファストリー(FSLY)の競合にあたる。
アナリスト予想をクリアし続けています。
四半期、通年のどちらを見ても増収増益となっており、四半期売上は前年同期比7%、通年売上は8%増加しています。
利益は更に大きく伸び、四半期では前年同期比42%増加、通年では17%増加となりました。

2. まとめ
エアビーアンドビー、アップスタートが好調で、更にガイダンスでもアナリスト予想を上回りました。
エアビーアンドビーは2020年の新型コロナ感染拡大で大打撃を受けましたが、米国、ヨーロッパでの予約状況はほぼ元通りとなっています。
アジアではまだ回復しきれていませんが、いずれこういった影響が収まり、再び成長していくことに期待したいです。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。
表内のEPS、売上はTradingViewの数値を、その他一部売上予測などはYahoo!financeより引用させていただいております。(いずれも記事作成日に閲覧した内容です)
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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