2022年2月10日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、9社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移、2022年のガイダンスなど(一部記載のない企業もあり)を見ての簡単な所感をまとめました。
アファーム、イルミナ、ハブスポット、データドッグ、クラウドフレアなど、注目を集めるテック、グロース銘柄の決算発表が増えてきました。
いずれも売上を大きく増加させていますが、利益拡大・損失削減という面では大きな差が開いています。
1. 四半期決算
1-1. ジェイフロッグ(FROG)
継続的に更新されるバージョンのないソフトウェア”リキッド・ソフトウェア”の実現を掲げ、デベロッパー(開発者)とオペレーター(運用者)の相互的な協力による迅速かつ効率的なソフトウェア開発”DevOps”ツールを提供する。
今四半期は、EPSがアナリスト予想を下回りました。
売上増加と共に赤字も増えており、2021年通年の損失は前年の7倍近くに膨れ上がっています。
一方で売上は37%の増加です。
ガイダンスでは、2022年第1Qの売上を8百万ドル~61.8百万ドル、通年の売上を0百万ドル~275百万ドルとしており、かなり幅の大きい予測を発表しました。
なおアナリスト予想は、第1Qの売上が60.92百万ドル、通年売上が268.51百万ドル(※Yahoo!financeより)となっています。

■ジェイフロッグの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
1-2. アファーム・ホールディングス(AFRM)
ECでの後払いサービスを提供するフィンテック企業。
EPSがアナリスト予想を下回り続けています。
売上が前年比67%~77%増加していますが、赤字も大きく増えており、今四半期は前年の約6倍、通年では約15倍となっています。
ガイダンスでは、第3Q(6月締め決算のため、10月~12月は第2Q)の売上は325百万ドル~335百万ドル、通年の売上は1,290百万ドル~1,310百万ドルとしています。
第3Qのアナリスト予想(※Yahoo!financeより)の売上は330.07百万ドルでガイダンスの中間程度、2022年通年では1,280百万ドルと、ガイダンスよりわずかに低い内容となっています。

1-3. データドッグ(DDOG)
アプリケーション・クラウドインフラの運用監視プラットフォームをSaaS形式で提供する。2021年12月にナスダック100指数へ採用された。
アナリスト予想をクリアし続けています。
売上が大きく増加しており、通年では損失削減、第4Qのみを見ると黒字となっています。
第4Qは営業利益も出ているので、事業そのものから利益を生み出せたようです。
ガイダンスでは、2022年第1Qの売上を334百万ドル~339百万ドルと見込んでおり、通年では1,510百万ドル~1,530百万ドルと予想しています。
アナリスト予想(※Yahoo!financeより)は第1Qが306.6百万ドル、通年が1,410百万ドルで、いずれもガイダンスが予想値を上回っています。

1-4. ハブスポット(HUBS)
B2Bの事業を行う中小企業向けにクラウドベースのCRMプラットフォームを提供する。操作がわかりやすく、導入しやすいと言われる。
アナリスト予想をクリアし続けています。
売上は力強く増加していますが、損失の削減には至っていません。
通年の純損失の減少は事業外の要因によるもので、営業損失は8%増加(通年、第4Qのいずれも)しています。
ガイダンスでは、2022年第1Qの売上を381百万ドル~383百万ドル、non-GAAP EPSを0.46ドル~0.48ドルと見込んでおり、通年では売上1,720百万ドル~1,730百万ドル、non-GAAP EPSは2.34ドル~2.42ドルとなると予想しています。
アナリスト予想(※Yahoo!financeより)の売上は、第1Qが377.23百万ドル、通年が1,660百万ドルとなっており、いずれもガイダンスが上回っています。
ただ、通年のEPS予想は2.39ドルで、ガイダンスの中間点に近い数値です。

■ハブスポットの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
1-5. イルミナ(ILMN)
遺伝子解析技術のリーディングカンパニーで、圧倒的なシェアを持つ。
最近はアナリスト予想を達成し続けています。
通年では増収増益となりましたが、第4Qのみを見ると、営業費用がかさみ利益が前年同期より減少しています。
2022年のガイダンスでは、14%~16%の売上成長を見込んでいます。これは約5,160百万ドル~5,250百万ドルの売上見込みとなります。
non-GAAP EPSは4ドル~4.2ドルの予想です。
アナリスト予想(※Yahoo!financeより)の売上は5,010百万ドルで、これに関してはガイダンスが上回っていますが、EPSに関しては4.2ドルでガイダンスの上限値と同じ予測です。

■イルミナの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
1-6. クラウドフレア(NET)
エッジコンピューティング、CDNを主軸とし、ネットワークサービスや企業向けのクラウド型統合ソリューションを展開する。
最近はアナリスト予想を達成(今四半期のEPSも端数部分でクリア)しています。
売上が増加していますが、損失額も前年の2倍以上に増加しています。
ガイダンスでは、2022年第1Qの売上を205百万ドル~206百万ドル、通年売上を927百万ドル~931百万ドルと見込んでいます。
アナリスト予想(※Yahoo!financeより)では第1Qの売上が195.81百万ドル、通年売上が888.44百万ドルとされており、いずれもガイダンスが上回っています。
non-GAAP EPSに関しても、アナリスト予想を0.01ドル程度超えるガイダンスを発表しました。

■クラウドフレアの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
1-7. ツイッター(TWTR)
SNS”Twitter”を運営する。
2四半期連続で、EPS・売上ともにアナリスト予想を下回りました。
(今四半期のEPSも端数部分で未達)
売上が大きく増加し、損失も削減されましたが、2年連続の赤字となりました。
第4Qに限って見ると黒字ですが、前年同期よりも利益が減少しています。(2020年第4Qも黒字だった)
ガイダンスでは、2022年第1Qの売上を1,170百万ドル~1,270百万ドルと見込んでいますが、これはアナリスト予想(※Yahoo!financeより)1,260百万ドルを下回る幅の方が大きい内容です。

■ツイッターの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
1-8. コカ・コーラ(KO)
コカ・コーラ、ミニッツメイドなどを展開する、大手飲料メーカー。
アナリスト予想をクリアし続けています。
通年売上は前年比17%増加し、純利益も26%増加しています。
2022年のガイダンスでは、買収などの影響を含まない純粋な売上(non-GAAP指標)が7%~8%成長することを予測しています。

1-9. ゼンデスク(ZEN)
カスタマーサービスを支援するクラウドベースのソフトウェアを提供する。
今四半期は、EPSがアナリスト予想を下回りました。
売上が増加し、損失も増えてしまっていますが、第4Qのみを見ると損失が少々削減されています。
ガイダンスでは、2022年第1Qの売上を381百万ドル~387百万ドルと見込んでおり、通年売上は1,675百万ドル~1,705百万ドルと予測しています。
また、アナリスト予想(※Yahoo!financeより)はガイダンスの範囲内となっています。
ただ、買収提案を受けたという発表があったためか、株価は上昇しています。

2. まとめ
グロース銘柄と呼ばれる企業が多く、その名の通り売上を大きく伸ばした決算が多くありました。
ただ、損失も増加している企業が多々あり、事業拡大と利益化の方針転換をどこで行うことになるのか、随時決算を追っていきたい銘柄が多い印象です。
本日見た中ではデータドッグが損失削減、四半期の黒字化を達成していました。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。
表内のEPS、売上はTradingViewの数値を、その他一部売上予測などはYahoo!financeより引用させていただいております。(いずれも記事作成日に閲覧した内容です)
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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