2022年2月3日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、10社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移、2022年のガイダンスなど(一部記載のない企業もあり)を見ての簡単な所感をまとめました。
本日はGAFAMの一つ、アマゾンの決算が発表されています。
売上こそアナリスト予想に達していませんが、非常に高いEPSを記録しており、サブスクの会員費値上げも発表されました。
また、スナップやピンタレストといったSNS銘柄、ユニティの決算も発表されています。
特にスナップは初の黒字を達成し、株価が50%以上上昇しています。
1. 四半期決算
1-1. クロロックス(CLX)
家庭用漂白剤や洗剤の”クロロックス”、家庭用浄水器”ブリタ”などの日用品を展開するメーカー。
今四半期は、EPSがアナリスト予想を下回りました。
2021年(6月締め)の年間売上が大きく伸びていましたが、2022年度は減収減益の傾向となっています。
2022年通年(6月締め決算)のガイダンスでも、売上が1%~4%減少すると見込まれています。
1-2. メルク(MRK)
医薬品大手。動物用医薬品などのブランドを持つ。2021年6月に女性疾患に関する事業をスピンオフした。
また、新型コロナ(COVID-19)の飲み薬”ラゲブリオ(モルヌピラビル)”でも話題。
最近はアナリスト予想をクリアする期が続いています。
2021年通年で見ると、売上は前年比17%、純利益は85%の増加です。
また、第4Qのみを比較しても売上は増加しており、赤字から黒字へ改善しました。
2022年通年のガイダンスでは、561億ドル~576億ドルの売上を見込んでいます。
また、GAAP EPSを5.76ドル~5.91ドル、non-GAAP EPSを7.12ドル~7.27ドルと予測しています。
1-3. バイオジェン(BIIB)
クローン病治療薬、再発性多発性硬化症治療薬などを主力とするバイオ医薬品企業。
最近はアナリスト予想を達成し続けています。
しかし2021年通年では減収減益となっており、第4Qのみを比較した場合でも、売上減少、純利益がわずかに増加という結果になりました。
2022年通年のガイダンスでは売上を97億ドル~100億ドルと見込んでいますが、これは2021年の約110億ドルよりもさらに減少する予測です。
1-4. アマゾン・ドットコム(AMZN)
大手ECサイト、ECマーケットの運営の他、クラウドサービスのシェアも大きい。
今四半期は、売上がアナリスト予想を下回りました。
しかし一方で、EPSは予想の約7.7倍という驚異的な数値となっています。
また、巣ごもり需要で急増化した2020年の年間売上を更に22%超え、純利益も増加しました。
2022年第1Qのガイダンスでは、1,120億ドル~1,170億ドルの売上を見込んでいます。これは、前年同期比3%~8%の増加となりますが、アナリスト予想(1,200.4億ドル※Yahoo!financeより)を下回ります。
また、アマゾンプライム(サブスク)の価格引き上げがアナウンスされました。
特典拡大、賃金や輸送費の上昇を理由にした今回の値上げでは、月額料金12.99ドルを14.99ドルに、年会費119ドルを139ドルに変更する予定です。
この値上げは米国を対象にしており、2月18日(既に会員の場合は3月25日以降)に適用されます。
■アマゾン・ドットコムの銘柄分析記事はこちらにあります。
1-5. フォード・モーター(F)
大手自動車メーカー。
今四半期は、EPS、売上のどちらもアナリスト予想に届きませんでした。
ただ、2020年に落ち込んだ売上は回復してきており、2019年の実績には届かないものの、2020年比で7%増加しました。
また、純利益の減少が続いて2020年は赤字となっていましたが、2021年は大きく利益を計上(営業利益4,523百万ドル、事業外収益を足した純利益は17,937百万ドル)することができました。
1-6. ゴープロ(GPRO)
アクションカメラGoProや動画を管理・共有するソフトウェアなどを提供。
最近はアナリスト予想を達成し続けています。
売上の停滞が続く中、2020年は新型コロナ感染拡大の影響を受けて売上が減少していました。
しかし2021年は、再び2019年頃と同程度まで売上が回復しています。
更に純利益に関しては赤字が続いていましたが、2021年は法人税調整の影響もあって、371百万ドルの黒字となりました。
■ゴープロの銘柄分析記事はこちらにあります。
1-7. フォーティネット(FTNT)
ファイアウォール、次世代ファイアウォール、UTMが特徴のサイバーセキュリティ企業。2021年12月、ナスダック100指数に採用された。
アナリスト予想をクリアし続けています。
売上は増加を続けており、2021年は前年比29%の成長を達成しました。
ちなみに過去2年は約20%の成長率で、ここにきて更に成長が加速した形となっています。
また、利益に関しても増加を続けています。
2022年の通年ガイダンスでは、42億7,500万ドル~43億2,500万ドルの売上を見込んでいます。
これはアナリスト予想39億6,000万ドル※Yahoo!financeよりを上回っています。
1-8. ピンタレスト(PINS)
写真を共有するSNS”Pinterest”を運営。
アナリスト予想を達成し続けています。
今四半期の売上は前年同期比20%増加しており、通年では52%増加と大きく成長しています。
また、2020年までの通年決算は赤字でしたが、2021年は316百万ドルの黒字となりました。
ただ、四半期のみに焦点を当てると、黒字ではあるものの、前年同期よりも利益が16%減少しています。
MAU(月間アクティブユーザー)が減少傾向(2020年末は459百万人、2021年末は431百万人で6%減少)にありますが、ユーザー一人当たりの平均収益が増加しています。
1-9. スナップ(SNAP)
スナップチャットを運営するSNS企業。広告によって収益を得ている。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想をクリアしました。
売上が増加を続けており、今四半期の売上は前年同期比42%増加、営業損失は74%削減、最終的には初の黒字となりました。
通年で見ても売上が64%増加、純損失は48%削減されています。
ただ、今四半期もあくまで営業損失が発生しており、事業からの利益はまだ出せていない点には注意しておきたいです。
2022年第1Qのガイダンスでは、10億3,000万ドルから10億8,000万ドルの売上を見込んでいます。
これはアナリスト予想の10億1,000万ドル※Yahoo!financeよりを超えるガイダンスです。
■スナップの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。
1-10. ユニティ・ソフトウェア(U)
世界最大のシェアを持つゲームエンジン”Unity”を提供。リアルタイム3Dコンテンツ制作・運用に長けており、ゲーム外でも様々な用途に使用される。
アナリスト予想をクリアし続けています。
売上は力強く増加し続けていますが、損失も大きくなっています。
ガイダンスでは、2022年第1Qの売上を315百万ドル~320百万ドル、2022年通年の売上を1,485百万ドル~1,505百万ドル(前年比34%~36%の成長)と見込んでいます。
アナリスト予想は第1Q313.53百万ドル、通年で14.2億ドル(1,420百万ドル)※Yahoo!financeよりとなっており、予想を超えるガイダンスです。
■ユニティ・ソフトウェアの銘柄分析記事はこちらにあります。
2. まとめ
昨日のメタ・プラットフォームの決算で連れ安となっていたSNS系銘柄ですが、スナップやピンタレストの決算は好調で、株価が急上昇しています。
注目の集まるアマゾンの決算も、高いEPSやプライム会員の値上げで好意的に受け止められています。
ただ、アマゾンは次の四半期ガイダンスが予想を下回っている点、ピンタレストのユーザー数が減少している(それでも売上は上がっているが)点は頭に入れておきたいです。
また、ユニティや、昨年ナスダック100指数に採用されたフォーティネットも好調です。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。
表内のEPS、売上はTradingViewの数値を、その他売上予測などはYahoo!financeより引用させていただいております。(いずれも記事作成日に閲覧した内容です)
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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