2022年2月2日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、14社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移、2022年のガイダンス(一部記載のない企業もあり)を見ての簡単な所感をまとめました。
本日発表された決算の中には保険会社が複数ありましたが(メットライフ、アフラックを取り上げています)EPSが減少している企業が多いです。
また、半導体関連銘柄として、コルボ、サイタイム、フォームファクターを取り上げています。
注目の集まるメタ・プラットフォームズの決算は、ユーザー数の減少や利益の減少といった不安要素の強いものとなりました。
1. 四半期決算
1-1. サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(TMO)
製薬会社や研究機関などに、分析・測定機器、システム、ソフトウェア、各種検査に関する消耗品、管理・保管などのサービスを提供する。
アナリスト予想をクリアし続けています。
売上は年々増えていましたが、2020年には前年比26%もの成長を見せました。
2021年もあまり勢いは衰えず前年比22%増加し、純利益も伸び続けています。
ただ、第4Qに限って見てみると売上はほぼ横ばいで、純利益は前年同期より減少しています。

1-2. ダイナトレース(DT)
人工知能に基づいたオールインワンソフトウェアプラットフォームによって、顧客のシステムの自動化、可視化、安定した稼働、AIによる支援を様々な分野に提供する。
アナリスト予想をクリアし続けています。
売上は年々増加しており、今四半期(3月締めなので、今四半期は2022年第3Q)もその傾向は継続されています。
2019年~2020年3月期の赤字を経て2021年3月期は黒字となり、2022年度の9ヶ月間は更に利益を伸ばしていますが、今四半期のみを見ると利益は減少しています。

1-3. ハウメット・エアロスペース(HWM)
航空宇宙、輸送分野向けにエンジンやファスナーなどを提供する。
売上がアナリスト予想を下回り続けています。
売上・利益についても年単位で減少しています。
2022年のガイダンスでは売上を55億6,000万ドル~57億2,000万ドル、調整後EPSを1.31ドル~1.43ドルと予想しており、第1Qの売上は12億8,000万ドル~13億2,000万ドル、調整後EPSは0.28ドル~0.30ドルを見込んでいます。

1-4. アッヴィ(ABBV)
バイオ医薬品メーカー。リウマチや乾癬の薬が代表的。高配当株としても有名。
今四半期は、売上がアナリスト予想に達しませんでした。
売上は増加を続けており、特に2020年に大きく成長しています。
また、この2020年は利益が減少していましたが、2021年には前年比150%と大きく増加しました。
2022年通年のガイダンスでは、GAAP EPSを9.26ドル~9.46ドル、調整後EPSを14ドル~14.20ドルと見込んでいます。

1-5. ノバルティス(NVS)
スイスの大手バイオ、医薬品企業。モレキュラー・パートナーズと提携して開発している新型コロナ(COVID-19)治療薬”エンゾビベプ”でも話題。
今四半期は、EPS、売上どちらもアナリスト予想に達しませんでした。
しかし売上は増加を続けています。
また、利益は減少傾向でしたが、2021年は前年の約3倍に急増しました。
2022年のガイダンスでは、売上高の一桁台半ばの成長を見込んでいます。

1-6. フェラーリ(RACE)
高級スポーツカーメーカー。
売上がアナリスト予想を下回り続けています。
しかし2021年は2020年度比22%増の出荷台数を達成し(11,155台)増収増益となりました。
2022年のガイダンスでは、最大48億ユーロの売上を見込んでいます。(2021年の売上は42億7,100万ユーロ)

※表内の数値は、TradingViewによってユーロを米ドル換算した数値を記載しています。
1-7. メタ・プラットフォームズ(FB)
旧フェイスブック。FacebookやInstagramの運営を行い、広告収入を得る。近年はメタバースに注力している。
今四半期は、EPSがアナリスト予想に達しませんでした。
しかし増収増益を続けており、2021年の売上は前年比37%増加、純利益は35%増加となっています。
ただ、今四半期に限って見ると、純利益は前年同期から8%減少しました。
また、右肩上がりで増加を続けてきたデイリーアクティブユーザー数(DAU)が、前四半期から100万人減少しました。
2022年第1Qのガイダンスでは、270億ドル〜290億ドルの売上(前年同期比3%~11%の成長だが、アナリスト予想※Yahoo!financeよりは301.5億ドル)を見込んでいます。
アップルのiOSアップデート(ユーザーデータ収集制限)による影響はやはり大きいようです。

■これらを踏まえてのメタ・プラットフォームの銘柄分析記事はこちらにあります。
1-8. スポティファイ・テクノロジー(SPOT)
音楽ストリーミングプラットフォームを提供する。
最近はアナリスト予想をクリアする期が続いています。
2021年もこれまで通り売上は増加し、最終的な純損失は昨年よりも減少しました。
また、2021年は営業利益が発生しています。
2022年第1Qのガイダンスでは、26億ユーロの売上(なお、今四半期の売上は26.9億ユーロ)、67百万ユーロの営業損失、プレミアムプラン加入者総数1億8,300万人の達成を見込んでいます。

表内の数値は、TradingViewによってユーロを米ドル換算した数値を記載しています。
■スポティファイ・テクノロジーの銘柄分析記事はこちらにあります。
1-9. CHロビンソン・ワールドワイド(CHRW)
複合輸送サービスを提供する。生鮮食品流通のソーシングサービスも行う。
アナリスト予想をクリアする期が続いていましたが、今四半期はEPSが予想値を下回りました。
ただ、売上は前年比43%増加、純利益は67%増加しています。

1-10. メットライフ(MET)
生命保険をはじめとした様々な保険、金融サービスを提供する。
最近はアナリスト予想をクリアする期が続いています。
また2021年は売上・利益が増加しました。

■メットライフの銘柄分析記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
1-11. アフラック(AFL)
医療保険・生命保険を販売する。
今四半期はEPS、売上ともにアナリスト予想をクリアしました。
今四半期の売上は前年同期比8%減少、純利益は9%の増加となっています。
また、通年で見ると売上は昨年よりわずかに減少しており、純利益は10%減少しました。

1-12. コルボ(QRVO)
半導体メーカー。高周波に対応した半導体(5G通信に不可欠とされる)や電源管理製品などを手掛ける。スマートフォンやPC向けはもちろん、航空宇宙や防衛分野向けにも製品を提供する。クォルボとも呼ばれる。
アナリスト予想を達成し続けています。
増収増益が続いており、2022年(3月締めなので、今四半期は第3Q)の9ヶ月間では売上が前年同期比18%増加、純利益が89%増加しています。
今四半期のみを見ると成長率は小さくなっていますが、前年同期よりも売上・利益が増えていることに変わりはありません。
2022年第4Qガイダンスでは、売上を11億3,500万ドル~11億6,500万ドル、調整後EPSを2.94ドル前後と見込んでいます。

1-13. サイタイム(SITM)
シリコンベースのタイミングソリューションの開発、オシレーター(発振器。回路を動かす元となる)の提供を行う。
アナリスト予想を達成し続けています。
売上は今四半期、通年どちらで見ても前年同期比88%増加しており、大きな成長が見られます。

1-14. フォームファクター(FORM)
半導体のテストソリューションを提供する。
EPS、売上どちらもアナリスト予想を達成しました。
売上・利益は増加を続けています。
また、2022年第1Qのガイダンスでは、売上を1億8,800万ドル~2億ドル、調整後EPSを0.35ドル~0.43ドルと見込んでいます。

■フォームファクターの銘柄分析記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
2. まとめ
ティッカーシンボルの変更も予定されているメタ・プラットフォームズ(FB)の決算は、EPSがアナリスト予想を下回る結果でした。
また、研究開発費をはじめとした各種費用が増加したことで四半期の利益が前年同期比よりも減少しています。
メタバースへの転換に注力していることが理由の一つだと考えられますが、その場合、この傾向が続くのかどうか注意しておきたいです。
いずれにしてもFacebookのユーザー数が頭打ちになってきた今、一刻も早いメタバースでの収益化が望まれます。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。なおEPS、売上はTradingViewの数値を使用させて頂いています。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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