2022年2月1日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、13社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移、2022年のガイダンス(一部記載のない企業もあり)を見ての簡単な所感をまとめました。
本日はGAFAMの一つ、アルファベットの決算が発表されました。売上・利益共に大きく増加しており、好調さを維持しています。
また、ペイパルやスターバックスはEPSがアナリスト予想に達しませんでした。
1. 四半期決算
1-1. ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)
貨物輸送会社。書類や小包などを配送する。
最近はアナリスト予想をクリアする期が続いています。
売上は年々増加しており、特に2020年は前年比14%、2021年は15%という成長率を達成しています。
また、2020年は純利益が大きく減少していましたが、2021年は急増し、2019年比でも190%の増加率となりました。
2022年のガイダンスでは、当初2023年の目標だった数値を前倒しで達成する見込みを示しており、売上を1,020億ドル(2021年比5%程度の成長)と予測しています。

1-2. スタンレー・ブラック・アンド・デッカー(SWK)
世界的な工具メーカー。セキュリティ関連用品も手掛ける。
EPSはアナリスト予想を達成し続けていますが、今四半期は売上が予想値を下回りました。
通年では増収増益となりましたが、第4Qのみを見ると、売上が横ばいで、純利益は減少しています。
2022年のガイダンスでは、GAAP EPSが10.10ドル~10.70ドル(2021年は9.62ドル)、調整後EPSは12.00ドル~12.50ドルと予測しています。

1-3. エクソン・モービル(XOM)
米国最大級のエネルギー会社。
今四半期は売上がアナリスト予想を下回りました。
2020年は売上が大きく減少し赤字に転落していましたが、2021年には2019年を上回る売上・利益を達成しました。

1-4. アレグロ・マイクロシステムズ(ALGM)
ファブレス半導体メーカー。EVや工業分野に注力する。
最近はアナリスト予想をクリアする期が続いています。
年々売上・利益が減少していますが、2022年度の9ヶ月間は(年次決算は3月締め)前年比増収増益となっています。
特に純利益は前年同期比の約10倍です。
2022年第4Q(1月~3月)のガイダンスでは、193百万ドル~197百万ドルの売上を見込んでいます。

1-5. ゼネラル・モーターズ(GM)
世界的な大手自動車メーカー。
アナリスト予想の売上を下回る期が多いです。
2019年以降減収減益が続いていましたが、2021年通年では利益が前年比56%増加しました。
ただ、売上は4%減少しています。
2022年のガイダンスでは調整後EBITDAを130億ドル~150億ドルとしています。

1-6. アドバンスド・マイクロ・デバイシズ(AMD)
世界各地で事業を展開する半導体メーカー。
最近はアナリスト予想を達成し続けています。
売上は増加を続けていましたが、特に2021年は前年比68%と大きく成長しました。
また、純利益も27%増加しています。
2022年第1Qのガイダンスでは49億ドル~51億ドル程度の売上を見込んでおり、2022年通年では最大215億ドル(2021年比31%の成長)と予測しています。

1-7. チャブ(CB)
損害保険事業を主軸とした大手保険会社。
最近はアナリスト予想を達成し続けています。
売上・利益共に2020年より増加しました。
特に純利益は前年比142%増加となっています。

■チャブの銘柄分析記事はこちらにあります。(監査後の2021年決算反映版を準備中です)
1-8. エレクトロニック・アーツ(EA)
大手ゲームソフト会社。Apex Legendsやバトルフィールドシリーズ、FIFAシリーズなどが有名。
今四半期は売上がアナリスト予想に達しませんでした。
売上は増加傾向にありますが、2021年(3月締め)に利益が大きく減少しています。
2021年第3Q(10月~12月の今四半期)も同様で、売上は増加しているものの純利益が減少しています。
2022年通年(4月~3月)のガイダンスでは、売上6,925百万ドルと繰延収益の変化600百万ドル(オンラインゲームによる)、純利益694百万ドルを見込んでいます。

1-9. アルファベット(GOOG/GOOGL)
持株会社。検索サイトgoogleの運営の他、YouTube、ブラウザ、クラウドサービスなど多岐にわたるITサービスを提供。
アナリスト予想をクリアし続けています。
売上・利益共に年々力強く成長を続けており、2021年通年では、売上が前年比41%増加、純利益は89%増加という驚異的な数値となっています。
なお、四半期のみを見ても、増収増益を達成しています。

1-10. マイクロストラテジー(MSTR)
企業向けBI(ビジネス・インテリジェンス)ソフトウェアをクラウドベースで提供する。
アナリスト予想EPSを大きく下回り続けています。
売上は年々少しずつ減少していましたが、2021年は増加に転じました。
しかし2021年は資産の減損などによって、2020年の約71倍もの大きな赤字となっています。

1-11. マッチ・グループ(MTCH)
婚活サイトの運営企業。
EPSがアナリスト予想を下回り続けています。
しかし2021年は減少傾向にあった純利益が増加に転じ、売上はこれまでの増加傾向を維持しました。
ただ、第4Qのみを見ると赤字となっています。
2022年通年のガイダンスでは、15%~20%の売上増加を見込んでいます。

1-12. ペイパル・ホールディングス(PYPL)
電子決済・送金サービスの大手フィンテック企業。仮想通貨へも対応。
しばらくアナリスト予想を上回るEPSが続いていましたが、今四半期のEPSは僅かに予想値を下回りました。
2020年に大きく売上・利益を伸ばしたペイパルですが、2021年は利益が若干(1%未満)減少しました。
特に第4Qでの利益の減少は大きいので、正式な決算書で何かしらの説明が出てくるか待ちたいです。
なお、売上は前年比18%増加しています。
2022年のガイダンスでは売上が290億ドルを超えると見込んでおり、2022年第1Qは6%の成長を予測しています。

■今回の四半期決算・ガイダンスや、eBayとの関係などをまとめた記事もこちらにあります。
1-13. スターバックス(SBUX)
様々なブランドを買収して成長するコーヒー店。
今四半期はEPSがアナリスト予想を下回りました。
2020年(9月締め)は新型コロナ感染拡大によって打撃を受けましたが、2021年には2019年を上回る売上・利益を達成していました。
2022年第1Q(10月~12月の今四半期)も前年比増収増益となっています。

■スターバックスの銘柄分析記事はこちらにあります。
2. まとめ
本日まとめた決算の中には、規模や事業形態の違う半導体メーカー、アドバンスド・マイクロ・デバイシズ(AMD)、アレグロ・マイクロシステムズ(ALGM)の2社がありました。
アドバンスド・マイクロ・デバイシズが売上を大きく増加させているのに対して、アレグロ・マイクロシステムズの業績にはあまり変化がありません。
先日まとめた半導体関連企業の決算も一貫して好調な内容とは言えず、同じ半導体セクターとはいえ、この半導体不足の状況と需要増加を追い風とできるかどうかには差が出てきているようです。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。なおEPS、売上はTradingViewの数値を使用させて頂いています。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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