2022年1月27日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、22社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移、2022年のガイダンス(一部記載のない企業もあり)を見ての簡単な所感をまとめました。
本日は、ビザとマスターカードの決算が発表されました。2020年は減収減益となっていましたが、大きく回復しています。
また、半導体関連銘柄のケーエルエーの決算は好調でしたが、次四半期の売上ガイダンスは今四半期と同じかそれ以下という内容になっています。
■ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)を追加しました。
- 1. 四半期決算
- 1-1. ノースロップ・グラマン(NOC)
- 1-2. アライアンス・データ・システムズ(ADS)
- 1-3. エー・オー・スミス(AOS)
- 1-4. マクドナルド(MCD)
- 1-5. マコーミック(MKC)
- 1-6. マーシュ・アンド・マクレナン(MMC)
- 1-7. アルトリア・グループ(MO)
- 1-8. エムエスシーアイ(MSCI)
- 1-9. ロックウェル・オートメーション(ROK)
- 1-10. テクストロン(TXT)
- 1-11. マスターカード(MA)
- 1-12. トラクター・サプライ(TSCO)
- 1-13. ニューコア(NUE)
- 1-14. フェア・アイザック(FICO)
- 1-15. ジュニパー・ネットワークス(JNPR)
- 1-16. モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)
- 1-17. ロバート・ハーフ・インターナショナル(RHI)
- 1-18. アトラシアン(TEAM)
- 1-19. ビザ(V)
- 1-20. ウェスタン・デジタル(WDC)
- 1-21. アップル(AAPL)
- 1-22. ケーエルエー(KLAC)
- 1-23. ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)
- 2. まとめ
1. 四半期決算
1-1. ノースロップ・グラマン(NOC)
国防大手。軍用機やセキュリティシステム、航空宇宙事業などを手がける。
2四半期連続で、売上がアナリスト予想に達しませんでした。
また、通年では純利益が2倍以上に増加した一方で、売上は前年を下回っています。
2022年のガイダンスでは、売上36,200百万ドル~36,600百万ドルを見込んでいますが、これは2021年の売上以上、2020年の売上未満という数値です。
1-2. アライアンス・データ・システムズ(ADS)
コンサルティングやクレジットカード事業を行うマーケティング企業。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想を下回りました。
2022年のガイダンスは、平均売掛金の1桁後半~2桁前半台の成長としており、売上(収益)に関しても、売掛金の伸びに合わせた成長が見込まれるという説明をしています。
1-3. エー・オー・スミス(AOS)
住宅や商業向けの給湯器・ボイラーを提供。アジアへも展開している。
アナリスト予想をクリアし続けています。
また、四半期、通年のどちらで見ても前年比で増収増益となりました。
2022年のガイダンスでは、4,105百万ドル~4,175百万ドルの売上を見込んでいます。(達成されれば2021年比16%~18%の成長となる)
1-4. マクドナルド(MCD)
大手ファストフード”マクドナルド”チェーンを世界に展開する。
今期はEPS、売上ともにアナリスト予想を下回りました。
ただ、前年比増収増益となっており、第4Qの比較では売上13%増加、純利益19%増加、更に通年では売上21%増加、純利益は59%増加という結果を出しています。
1-5. マコーミック(MKC)
調味料メーカー。
最近はアナリスト予想をクリアする期が続いています。
前年比増収増益となっていますが、純利益の伸びは約1%と小さいです。
1-6. マーシュ・アンド・マクレナン(MMC)
世界各国に保険サービスとコンサルティングを提供する持株会社。
アナリスト予想をクリアし続けています。
ただ、過去数期と比較すると、予想値との差が少々小さくなっています。
また、四半期・通年のどちらで見ても前年比増収増益という結果です。
1-7. アルトリア・グループ(MO)
タバコとワインの製造を行う持株会社。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想を達成しました。
前年同期比では売上が微減、純利益は16%の減少となっています。
通年でも同様の傾向が見られ、特に純利益の減少は45%と大きいです。
また、2022年のガイダンスでは年間EPSを4.79ドル~4.93ドルと見込んでいます。
これは、2021年の4.61ドルから4%~7%の成長となります。
1-8. エムエスシーアイ(MSCI)
株価指数の算出やポートフォリオ分析など、投資の意思決定支援ツールを提供する。
アナリスト予想をクリアし続けています。
第4Q、通年のどちらで見ても増収増益となっており、通年では売上・利益共に21%増加しました。
売上についてのガイダンスはありませんが、2022年通年の営業費用1,075百万ドル~1,115百万ドル(2021年は971百万ドル)、フリーキャッシュフロー1,050百万ドル~1,100百万ドルが見込まれています。
1-9. ロックウェル・オートメーション(ROK)
産業用オートメーション(自動装置・自動化)やITシステムなど、顧客の生産性向上を支援するソリューションを提供。
アナリスト予想を上回るEPSを出し続けており、今期は売上も共にクリアしました。
ただ、前年同期比では売上が増加したものの、純利益は60%減少しています。
2022年(9月締め)のガイダンスでは、16%~19%の売上増加を見込んでいます。
1-10. テクストロン(TXT)
テキストロンとも呼ばれる。工業分野と金融の持株会社。
航空機や防衛関連、機械分野などの子会社を持つ。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想を下回りました。
年間では売上・利益の減少が続いていましたが、2021年は6%の売上増加、141%の純利益増加を達成しました。
2022年通年のガイダンスでは売上を124億ドル~133億ドルとしており、2021年と同程度~7%の成長を見込んでいる計算です。
1-11. マスターカード(MA)
大手のクレジットカード決済サービス会社。
最近はアナリスト予想をクリアし続けています。
2020年は売上・利益共に減少していましたが、2021年は回復し、2019年を上回りました。
1-12. トラクター・サプライ(TSCO)
農業・牧場用機械、関連用品を手掛ける。
アナリスト予想をクリアし続けています。
また、売上・利益も年々増加し、2021年は売上12,731百万ドル、純利益997百万ドルとなりました。
2022年のガイダンスでは、売上136億ドル~138億ドル(13,600百万ドル~13,800百万ドル)、純利益10億4,000万ドル~10億8,000万ドル(1,040百万ドル~1,080百万ドル)を見込んでいます。
1-13. ニューコア(NUE)
アメリカ最大級の鉄鋼メーカー。
今四半期は、売上がアナリスト予想に達しませんでした。
ただ、年々減少傾向だった売上は2021年に大きく増加しており、前年比81%増加となりました。
また、純利益にいたっては846%増加しています。これには2020年の純利益が小さかったことも影響していますが、それでも非常に大きい数値です。
2022年第1Qのガイダンスでは、過去最高を記録した今四半期(2021年第4Q)の純利益より少々減少する見込みだとしています。
1-14. フェア・アイザック(FICO)
クレジットスコア(FICOスコア)算出、口座管理サービスなどを行う情報ソリューション企業。
2四半期連続で、売上がアナリスト予想に届きませんでした。
また、売上は前年同期を上回ったものの、純利益は減少しました。
2022年のガイダンスは以前発表したものと変わりなく、売上13億5,000万ドル、純利益3億1,800万ドルです。
1-15. ジュニパー・ネットワークス(JNPR)
ルーターやセキュリティ関連機器などを扱うネットワーク機器メーカー。
今四半期はアナリスト予想を達成しました。
年間の売上はあまり上下が無く横ばい気味で、純利益は減少傾向にあります。
ただ、今四半期に関しては、前年同期の純利益が小さかったこともあり、その4倍以上という数値を達成しました。
2022年第1Qのガイダンスでは前年同期比7%前後の売上増加を見込んでいますが、インフレやサプライチェーンの問題が少なくとも2022年上半期まで続くと予想しています。
1-16. モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)
”オレオ”や”ナビスコ”などが有名な、食品・飲料メーカー。
今四半期はEPSがアナリスト予想を下回りました。
また、通年では増収増益となりましたが、四半期を見ると前年同期から売上・利益ともに少々減少しています。
2022年のガイダンスは、為替の影響などを省いたnon-GAAPベースですが、売上は3%の成長、フリーキャッシュフローは30億ドル以上としています。
1-17. ロバート・ハーフ・インターナショナル(RHI)
世界最大級の人材派遣会社。
アナリスト予想を達成し続けています。
また、2020年に売上・利益が減少していたこともあって、2021年は力強い増収増益となっています。
1-18. アトラシアン(TEAM)
ソフトウェア開発者向けのソフトウェア、ツールを開発・提供する。
アナリスト予想をクリアし続けています。
売上は年々増加を続けており、今四半期は前年同期比37%の増加となりましたが、まだ赤字続きの状態です。
2022年第3Q(6月締めなので、今四半期は第2Q)のガイダンスでは、売上は6億9,000万ドル~7億500万ドルを見込んでいますが、引き続き営業損失が発生する予定です。
1-19. ビザ(V)
決済処理のプラットフォームなどを提供するクレジットカード会社。
アナリスト予想を達成し続けています。
2020年(9月締め)に売上・利益が減少しましたが、現在は回復しており、前年同期比では売上24%、純利益27%の増加となりました。
1-20. ウェスタン・デジタル(WDC)
ハードディスクやフラッシュメモリー製品などを扱うストレージメーカー。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想をクリアしました。
通年での売上はここ数年停滞気味で、2019年、2020年(7月締め)は赤字となっていましたが、2021年7月期に黒字転換しています。
2022年第3Q(6月締めなので、今四半期は第2Q)のガイダンスでは、売上4,450百万ドル~4,650百万ドルを見込んでいます。
1-21. アップル(AAPL)
iPhoneやiPad、Macといった製品や、App Store、Apple payなどのサービスなどを展開する。VRゴーグルや自動車などを開発しているという報道も絶えない。(公式発表はまだない)
今四半期はEPS、売上ともにアナリスト予想をクリアしました。
前年同期比では売上が11%増加、純利益20%と成長を続けています。
短期的な不確実性を理由にガイダンスは出していませんが、iPhoneの発売タイミングの影響などで、成長率は今四半期よりも小さくなるという予測を発表しています。
1-22. ケーエルエー(KLAC)
半導体メーカー。プロセス制御や歩留まり管理システムなどを提供する。
アナリスト予想を達成し続けています。
売上・利益も年々増えており、今四半期も好調です。
2022年第3Q(6月締めなので、今四半期は第2Q)のガイダンスは、売上21億ドル~23億ドルとなっています。
1-23. ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)
手数料無料で、手軽にゲーム感覚で行えるオンライン投資プラットフォームを提供。
アナリスト予想を下回り続けています。
売上は大きく増加しましたが、2020年の黒字(約7.5百万ドル)から一転、2021年は37億ドル近い赤字となりました。
2021年の間に顧客数はほぼ2倍に増加した(ただし月間アクティブユーザーは減少しているため、口座数を指していると考えられる)としていますが、同時に従業員も増加させています。
また、事業外の費用も大きい一年となりました。
2022年第1Qのガイダンスでは、売上を340百万ドル未満と見込んでおり、前年同期比で35%の減少を予測しています。
■ロビンフッド・マーケッツの銘柄分析を行った記事はこちらにあります。
2. まとめ
アナリスト予想をクリアする決算も多く出ていますが、やはり次四半期のガイダンスは弱気な内容が目立ちます。
サプライチェーンの問題はかなり深刻なものとなっているようです。
この影響について、テスラは”2022年中”続く可能性があるとしていましたが、本日決算を発表したジュニパー・ネットワークス(JNPR)も”少なくとも上半期までは”影響があるとしています。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。なおEPS、売上はTradingViewの数値を使用させて頂いています。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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