2022年1月26日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、17社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移、2022年のガイダンス(一部記載のない企業もあり)を見ての簡単な所感をまとめました。
本日は、テラダイン、インテル、ラムリサーチ、ザイリンクス(AMDに買収される予定)と、半導体関連企業の決算が多く発表されました。
いずれも売上を増加させていますが、インフレやサプライチェーンの影響もあってか、利益の減少や、少々弱気な次四半期のガイダンスが目立ちます。
- 1. 四半期決算
- 1-1. アンセム(ANTM)
- 1-2. TEコネクティビティ(TEL)
- 1-3. テラダイン(TER)
- 1-4. オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)
- 1-5. ナスダック(NDAQ)
- 1-6. AT&T(T)
- 1-7. ボーイング(BA)
- 1-8. ゼネラル・ダイナミクス(GD)
- 1-9. キンバリー・クラーク(KMB)
- 1-10. ノーフォーク・サザン(NSC)
- 1-11. アンフェノール(APH)
- 1-12. インテル(INTC)
- 1-13. ラムリサーチ(LRCX)
- 1-14. サービスナウ(NOW)
- 1-15. ピー・ティー・シー(PTC)
- 1-16. テスラ(TSLA)
- 1-17. ザイリンクス(XLNX)
- 2. まとめ
1. 四半期決算
1-1. アンセム(ANTM)
大手医療保険会社。
今四半期は売上がアナリスト予想を下回りました。
ただ、年々売上は増加しており、2021年も第4Q、通年どちらで見ても、前年比増収増益となっています。
2022年のガイダンスでは、売上は1,520億ドル(152,000百万ドル)としており、達成されれば売上増加は継続されます。
1-2. TEコネクティビティ(TEL)
電子部品メーカー。自動車や家電、航空宇宙や軍事、通信など幅広い製造業に製品を提供する。
アナリスト予想をクリアし続けています。
年単位での継続した売上増加はありませんが、前年同期比では増収増益となりました。
2022年第2Q(9月締めなので、今四半期は第1Q)のガイダンスでは、売上は約38億ドルになる見込みだとしています。
1-3. テラダイン(TER)
世界最大級の自動検査装置メーカー。半導体や集積回路などのテストシステムを提供する。
アナリスト予想を達成し続けています。
また、2020年の売上・利益を超えることができました。
ただ、2022年第1Qのガイダンスでは、売上700百万ドル~770百万ドルとしています。
1-4. オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)
給与計算や勤怠管理、福利厚生などのアウトソーシングサービスを提供する。
アナリスト予想を達成し続けています。
また、売上・利益も増加を続けています。
2022年通年(6月決算)のガイダンスでは、8%~9%の売上成長を見込んでいます。
これは2021年10月に発表したガイダンスの7%~8%から引き上げられたことになります。
1-5. ナスダック(NDAQ)
ナスダック証券取引所の運営会社。
アナリスト予想をクリアし続けています。
また、2019年以降は売上・利益が年々増加していますが、今四半期は前年同期の売上とほぼ横ばいでした。
1-6. AT&T(T)
携帯電話事業などを展開する通信業の持株会社。
今四半期はEPS、売上ともにアナリスト予想をクリアしました。
2021年は前年比で売上が減少したものの、赤字から黒字に転じました。
2022年通年のガイダンスでは、売上高は1桁代前半(%)の成長を見込んでいます。
1-7. ボーイング(BA)
大手航空機メーカー。
2四半期連続でアナリスト予想を大きく下回っています。
通年では売上が7%増加しましたが、四半期で見ると前年同期よりも3%減少しています。
ただ、損失額はいずれも減少させることができました。
1-8. ゼネラル・ダイナミクス(GD)
軍事用重機メーカー。
最近はEPSがアナリスト予想をクリアしていますが、売上は3四半期連続で予想値に達していません。
今四半期は前年同期から減収減益となりましたが、通年では増収増益となっています。
1-9. キンバリー・クラーク(KMB)
ティッシュペーパーや紙おむつなど、主に紙製の日用品を製造するメーカー。
今四半期は久しぶりにEPS、売上ともにアナリスト予想をクリアしました。
年間売上は前年比でほぼ横ばいですが、純利益は減少しています。
また、2022年のガイダンスでは、売上は1%~2%増加するものの、営業利益が1桁台半ばの減少となる見込みであることが示されました。
1-10. ノーフォーク・サザン(NSC)
鉄道貨物輸送を行う持株会社。
アナリスト予想をクリアし続けています。
四半期・通年ともに前年比増収増益となりました。
1-11. アンフェノール(APH)
電子・光ファイバーコネクタやケーブルの世界的メーカー。
アナリスト予想を達成し続けています。
また、四半期、通年のどちらでも見ても増収増益を達成しました。
2022年第1Qのガイダンスは、前年同期(2021年第1Q)比13%~16%の売上成長を見込んでおり、26億9,000万ドル~27億5,000万ドルとなる予測となっています。
1-12. インテル(INTC)
半導体チップの大手メーカー。
今四半期はアナリスト予想をクリアしました。
ただ、年々増収増益を続けていた中、2021年は純利益が前年よりも減少しました。
2022年第1Qのガイダンスは、売上を183億ドルとしています。
1-13. ラムリサーチ(LRCX)
エッチング装置などを手掛ける半導体製造装置メーカー。
売上がアナリスト予想を下回りました。
しかし、前年同期比では増収増益となっています。
2022年第3Q(6月締めのため、今四半期は第2Q)のガイダンスでは、売上が3億ドル~42.5億ドルとなる見込みとしています。
1-14. サービスナウ(NOW)
効率的な業務を実現するためのクラウド型単一プラットフォーム、SaaSを提供する。
アナリスト予想をクリアし続けており、売上は年々増加しています。
2022年第1Qのガイダンスでは、売上が前年同期比25%成長する見込みだとしており、通年のガイダンスでも前年比26%の成長を予測しています。
1-15. ピー・ティー・シー(PTC)
CADやPLM(ライフサイクル管理)などのSaaSを開発・販売。ライセンス契約を永久販売型からサブスク形式へ切り替えた。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想を下回りました。
ただ、前年同期比では増収増益となっており、特に純利益は96%増加しました。
また、2022年通年のガイダンスでは、ARR(経常収益)を1,615百万ドル~1,660百万ドルから、1,625百万ドル~1,660百万ドルへと、下限値を若干引き上げました。
1-16. テスラ(TSLA)
EVの先駆メーカー。一部エネルギー事業も行う。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想をクリアしました。
売上・利益のどちらも大きく増加しています。
2022年の具体的なガイダンスはありませんでしたが、今後複数年にわたって、年間平均成長率が50%となる見込みだとしています。
1-17. ザイリンクス(XLNX)
”Kintex”シリーズなどを製造する半導体企業。
アナリスト予想をクリアする期が続いています。
ただ、Advanced Micro Devices社に買収される予定となっているため、ガイダンスは提供していません。
2. まとめ
様々な決算が出てきましたが、サプライチェーンの問題によるコスト増や生産稼働率の低下に悩まされている企業が複数ありました。
半導体不足に対応し売上を伸ばしたテスラ(TSLA)もその一つで、工場がフル稼働できていない旨を述べています。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。なおEPS、売上はTradingViewの数値を使用させて頂いています。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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