2022年1月20日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、12社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移、2022年のガイダンス(一部記載のない企業もあり)を見ての簡単な所感をまとめました。
今回はアメリカン航空やインテュイティブ・サージカル、ネットフリックスなど有名な企業の決算も多い一日でした。
金融系に引き続きネガティブなガイダンスも中にはあり、株価にも影響が出てきています。
1. 四半期決算
1-1. アメリカン航空グループ(AAL)
大手航空持株会社。
3四半期連続でアナリスト予想をクリアしています。
他の航空セクター同様、新型コロナ感染拡大によって大打撃を受けており、2021年は2020年の売上こそ超えることができましたが、2019年の実績にはまだまだ及びません。
2022年第1Qのガイダンスでは、売上が2019年の第1Qより20%~22%減少すると見込まれています。

1-2. トラベラーズ(TRV)
子会社を通じて損害保険を提供する大手。持株会社。
EPS、売上ともにアナリスト予想を達成しており、特に最近のEPSは予想値を大きく上回り続けています。
また、ここ数年を見ると売上・利益も年々増加しています。

1-3. ノーザン・トラスト(NTRS)
資産運用などを行う大手金融持株会社。
最近はアナリスト予想をクリアし続けています。
また2021年通年では、前年よりも増収増益となりました。

1-4. ユニオン・パシフィック(UNP)
大手の鉄道貨物輸送会社。
3四半期連続でアナリスト予想をクリアしています。
売上・利益共に前年同期比を上回る結果となりました。
また、2021年通年でも売上が前年比12%増加、純利益が22%増加という結果で、2018年以降の減収減益の流れを断ち切りました。

1-5. リジョンズ・ファイナンシャル(RF)
法人・消費者向けのサービス、資産管理を行う金融持株会社。
今四半期はEPSがアナリスト予想を下回りました。
前年同期比でも売上・利益共に減少しています。
ただ、通年で見た場合は、前年比増収増益となっています。
また、2022年のガイダンスとして、総収益の3.5%~4.5%の成長が挙げられています。

1-6. M&Tバンク(MTB)
銀行持株会社。
今四半期はEPS、売上ともにアナリスト予想を達成しました。
ただ、売上は前年同期比で2%減少、純利益は前年同期比3%の減少となっています。
2021年通年では増収増益です。

1-7. シーエスエックス(CSX)
鉄道を中心とした大手貨物輸送会社。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想を上回りました。
前年同期比でも売上21%増加、純利益23%増加となっています。
また、2018年以降減収減益の傾向にありましたが、2021年は通年でも増収増益となりました。

1-8. インテュイティブ・サージカル(ISRG)
医療ロボットメーカー。内視鏡手術支援ロボット”ダ・ヴィンチ・サージカル・システム”は圧倒的なシェアを持つ。
アナリスト予想をクリアし続けています。
前年同期比では、売上17%増加、純利益は4%の増加という結果です。
2021年通年で見ても増収増益となっており、新型コロナ感染拡大によって打撃を受けた2020年はもちろん、2019年と比較しても成長を見せています。
ただ、2022年第1Qは新型コロナの感染再拡大によって、手術件数の減少が懸念されるとしています。

インテュイティブ・サージカルの四半期決算や銘柄分析はこちらの記事で詳しく解説しています。
1-9. ライムライト・ネットワーク(LLNW)
コンテンツ配信(CDN)、エッジコンピューティングのプラットフォームを提供する大手プロバイダー。
アナリスト予想を下回る期が続いていましたが(2021年7月~9月期のEPSも、端数で未達)今四半期はクリアすることができました。
前年同期比でも売上増加・損失の削減ができていますが、2021年通年で見ると、2020年の売上を下回り、損失は拡大しています。
2022年のガイダンスでは、売上2億4,000万ドル~2億5,000万ドル、調整後EBITDAは2,400万ドル~2,800万ドルとされており、2020年の売上を上回る見込みが示されています。

1-10. ネットフリックス(NFLX)
映画やテレビ番組のストリーミング配信を行う。自社オリジナルシリーズにも注力する。
今四半期は、売上がアナリスト予想を下回りました。
前年同期比では増収増益となっており、2021年通年では売上19%増加、純利益85%増加という大きな成長を見せました。
ただ、2021年の純利益の伸びが大きすぎたこともあってか、2022年第1Qのガイダンスは良くありません。
前年同期比10%の売上増加を見込んでいるものの、24%の利益減少が予測されています。
また、新規ユーザーを250万人と予測した点もかなり弱気です。(なお今四半期の新規ユーザー数も、850万人の予測に対して828万人と未達だった)

1-11. SVBファイナンシャル・グループ(SIVB)
銀行・金融サービスを提供する持株会社。
今四半期は、EPSがアナリスト予想を下回りました。
しかし、増収増益の傾向が続いており、2022年のガイダンスでも、ローンや純利息収入予測は引き上げられています。

1-12. PPGインダストリーズ(PPG)
化学品・ガラスを中心に製品を提供するメーカー。
今四半期は、EPS、売上ともにアナリスト予想をクリアしました。
前年同期と比較すると、売上は12%増加、純利益は2%の減少という結果です。
サプライチェーンの問題や、前年比30%程度の原材料コスト上昇があったとしています。
なお、2021年通年では増収増益となっています。
2022年第1Qのガイダンスでは、前年同期比で、1桁半ば程度の割合(%)の売上減少などが見込まれています。

2. まとめ
アナリスト予想をクリアしており、今四半期の好調さを感じるのはインテュイティブ・サージカル(ISRG)、ネットフリックス(NFLX)です。
また、トラベラーズ(TRV)も継続的な成長を続けています。
ただ、ガイダンスを出している企業を見てみると、利益の減少・ユーザー数の伸び鈍化などを予測しているネットフリックスをはじめ、2022年第1Qは厳しい予測をしている企業も多く、株式市場全体がなかなか上昇しづらい現状では新たに購入しづらい局面であることは変わらないというのが正直な感想です。
また、先日のJ.B.ハント・トランスポート・サービシズ(JBHT)や今回のシーエスエックス(CSX)(減収減益から回復した)など、運送業が予想値をクリアする傾向にあるかもしれません。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。なおEPS、売上はTradingViewの数値を使用させて頂いています。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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