2021年11月23日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、15社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移を見ての簡単な所感をまとめました。
1. 四半期決算
1-1. アナログ・デバイセズ(ADI)
様々な市場向けにアナログIC(ICは集積回路)、ミックスド・シグナルIC、デジタル・シグナル・プロセッシング(DSP)を設計・製造・販売するトップメーカー。
最近のEPSはアナリスト予想をクリアし続けています。
また、年間で見るとここ数年の売上が減少傾向でしたが、2021年10月期は急増しました。
1-2. ベストバイ(BBY)
最大級の家電量販店チェーン。
最近はアナリスト予想を超えるEPSが続いています。
1-3. ジェイコブズ・エンジニアリング・グループ(J)
企業、組織、政府機関などに、技術と建設サービス、コンサルティングを提供。
最近のEPSはアナリスト予想をクリアし続けていますが、直近の四半期は2期連続で売上が未達です。
1-4. メドトロニック(MDT)
心臓ペースメーカーなどを扱う医療機器メーカー。
アナリスト予想をクリアするEPSを出し続けていますが、今期は売上が予想値に達しませんでした。
1-5. ジェイ・エム・スマッカー(SJM)
ピーナッツバターやジャムなどの食品を製造する大手食品メーカー。
アナリスト予想をクリアする期が多いです。
1-6. ダラー・ツリー(DLTR)
1ドル均一のディスカウントストアチェーン。日本でいう百円均一のような事業を行う。
インフレによる値上げ(1.25ドルとなる)が発表された。
最近のEPSはアナリスト予想を超え続けています。
ただ、今期はEPS、売上ともにほぼ予想値通り(端数ではクリア)といった結果です。
年間売上は増加傾向にあります。
1-7. アナプラン(PLAN)
クラウドベースのSaaSでビジネスプランニングソフトウェアを提供。
今期はEPS、売上ともにアナリスト予想を上回りました。
また、売上は増加傾向です。
1-8. オートデスク(ADSK)
2D、3DのCAD・図面作成ソフトウェアを提供。
継続的にアナリスト予想をクリアしており、売上も増加傾向にあります。
ただ、ガイダンスには若干下方修正が入りました。
1-9. アバクロンビーアンドフィッチ(ANF)
カジュアル衣料を中心に扱うアパレル企業。
最近はアナリスト予想をクリアするEPSを出しています。
1-10. デル・テクノロジーズ(DELL)
PCや周辺機器といったハードウェア、クラウドソリューションやインフラソリューションの事業も行う。
先日、VMware(ブイエム・ウェア)のスピンオフを正式発表した。
アナリスト予想を超えるEPS、売上を出しています。
また、年単位で見ると売上は増加を続けています。
デル・テクノロジーズの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-11. ギャップ(GPS)
最大級の衣料品小売店。自ら企画した製品を委託生産し、自ら販売するというビジネスモデルを取る。
今期はEPS、売上ともにアナリスト予想を下回っています。
1-12. エッチ・ピー(HPQ)
旧社名はヒューレット・パッカード。PCとプリンタの大手メーカー。
アナリスト予想をクリアするEPSを出し続けています。
また、今期は売上もしっかりと達成し、年間売上も大きく増加しました。
HPの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-13. ニュータニックス(NTNX)
サーバーとストレージを統合し、より簡単に仮想化サーバーを実現する”ハイパーコンバージドインフラ(HCI)”、それに伴う専用管理ツール、サービスを提供する。
アナリスト予想はクリアし続けています。
また、年間で見ると売上は少しずつ増加しています。
1-14. ブイエム・ウェア(VMW)
ニュータニックスと同様、”ハイパーコンバージドインフラ(HCI)”を提供し、2大勢力となっている。
デル・テクノロジーズからスピンオフしたばかり。
アナリスト予想を達成し続けています。
また、年間で見ると売上は増加傾向ですが、成長率は小さくなってきています。
1-15. ピュア・ストレージ(PSTG)
すべての記憶装置がフラッシュメモリーのみで構築される、オール・フラッシュ・ストレージを提供。
アナリスト予想をクリアし続けています。
年間で見た売上は増加傾向ですが、2021年1月期の伸び率は前年比約2%と微増にとどまりました。(その前は21%増加)
2. まとめ
売上が減少気味だったアナログ・デバイセズ(ADI)が、2021年10月期は前年比31%増加と急激に売上を増やしています。
自動車市場の強さに牽引されたとしており、半導体需要の強さが表れています。
また、オートデスク(ADSK)も好調な内容に見えましたが、サプライチェーンやインフレ圧力などを理由にガイダンスを下方修正し、株価の大きな下落を引き起こしています。
現在多くの企業がオートデスクと同様の問題や半導体不足に直面しており、中には次期の成長を非常に難しく見ているガイダンス(前年同期比で横ばいの予測など)を出しているところもあるので、注意が必要です。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。なおEPS、売上はTradingViewの数値を使用させて頂いています。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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