2021年11月10日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、23社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移を見ての簡単な所感をまとめました。
■リーガルズーム(LZ)、デュオリンゴ(DUOL)、クリカット(CRCT)を追記しました。
- 1. 四半期決算
- 1-1. ブロードウィンド・エナジー(BWEN)
- 1-2. シフト4ペイメンツ(FOUR)
- 1-3. ペリゴ(PRGO)
- 1-4. ベルテックス(VERX)
- 1-5. ノバン(NOVN)
- 1-6. ロイヤルティ・ファーマ(RPRX)
- 1-7. シュレーディンガー(SDGR)
- 1-8. ファイバー・インターナショナル(FVRR)
- 1-9. アファーム・ホールディングス(AFRM)
- 1-10. アメリカンウェル(AMWL)
- 1-11. ブルックス・オートメーション(BRKS)
- 1-12. ビヨンド・ミート(BYND)
- 1-13. ウォルト・ディズニー(DIS)
- 1-14. フェア・アイザック(FICO)
- 1-15. グッドアールエックス・ホールディングス(GDRX)
- 1-16. ジーボ(GEVO)
- 1-17. ヒストジェン(HSTO)
- 1-18. キャッサバ・サイエンシズ(SAVA)
- 1-19. ルート(ROOT)
- 1-20. アップハーベスト(APPH)
- 1-21. リーガルズーム(LZ)
- 1-22. デュオリンゴ(DUOL)
- 1-23. クリカット(CRCT)
- 2. まとめ
1. 四半期決算
1-1. ブロードウィンド・エナジー(BWEN)
風力発電機器メーカー。
最近はアナリスト予想通り~上回るEPSを出し続けていましたが、今期は未達でした。
また、売上もあまり安定して伸びていません。
1-2. シフト4ペイメンツ(FOUR)
飲食、宿泊、レジャーの顧客を中心に、決済プラットフォーム、ソフトウェアなどを包括的に提供。POSやソフトウェアブランドのパートナーも多数持つ。
前期と今期はEPS、売上ともにアナリスト予想を上回りました。
今期は前期よりも予想値と近い結果ですが、数値自体はどちらも前回より上昇しています。
シフト4ペイメンツの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-3. ペリゴ(PRGO)
アイルランドの大手製薬会社。
最近はアナリスト予想を下回る期が続いています。
1-4. ベルテックス(VERX)
税務(税金や給与計算など)やデータ・書類管理を統合し自動化するソフトウェアを提供。
アナリスト予想を上回る期が続いています。
また、売上も継続的にじわじわと増加しています。
1-5. ノバン(NOVN)
皮膚疾患に対する治療薬の開発を行っており、臨床段階のものもある。
今期はEPSがアナリスト予想をクリアしましたが、売上はそれ以前同様に予想値を下回っています。
また、売上は減少傾向です。
1-6. ロイヤルティ・ファーマ(RPRX)
バイオ医薬品の特許を購入し、製薬会社に販売することで利益を得るビジネスモデル。
現在は未承認の医薬品開発への資金提供なども行う。
今期はアナリスト予想をクリアしています。
特に今回の売上は大きいです。(なおこの売上は”調整後現金収入”)
また、今回の結果を受け、年間ガイダンスの売上(調整後現金収入)を1,940百万ドル~1,980百万ドルの間に引き上げました。
ちなみに2020年の年間売上は1,800百万ドルなので、ガイダンス通りであれば8~10%成長することになります。
ロイヤルティ・ファーマの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-7. シュレーディンガー(SDGR)
バイオテクノロジーの研究に使用するシミュレーションソフトウェア開発を行う。
アナリスト予想を度々下回っており、今期はEPS、売上のどちらも予想値に届かない結果でした。
ただ、年単位で見ていくと売上は増加傾向にあります。
1-8. ファイバー・インターナショナル(FVRR)
イスラエルのクラウドソーシング企業。オンライン・マーケットプレイスを運営。
最近はアナリスト予想を達成し続けています。
また、今期の売上は前期より少々減少していますが、長期的に見ると増加傾向です。
1-9. アファーム・ホールディングス(AFRM)
ECでの後払いサービスを提供するフィンテック企業。
ここしばらくは四半期ごとの売上2桁成長が続いていましたが、今期は前期と比べると3%の増加に止まりました。(なお前年同期比では55%成長している。その前の4月~6月期は前年同期比71%の増加)
また、連続してEPSが予想を下回っており、特に今回はその乖離が大きいです。
1-10. アメリカンウェル(AMWL)
遠隔医療サービスを提供する。現在の市場はアメリカ国内。
EPSはアナリスト予想をクリアし続けています。
ただ一方で、売上がなかなか成長できていません。
競合となるテラドック(TDOC)は売上を伸ばし続けており、更に今年はJ.D. Powerによる顧客満足度調査の1位の座も奪取されました。
アメリカンウェルの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-11. ブルックス・オートメーション(BRKS)
半導体とライフサイエンス分野に様々な自動化ソリューションを提供していたが、半導体事業は売却を発表。
これからはライフサイエンス事業(サンプル管理ソフトウェアやサンプル保管・ライフサイクル管理サービス、貯蔵ソリューションなど)を”Azenta”ブランドに一新し主軸とする。
今期はEPS、売上ともにアナリスト予想を大きく下回ったように見えます。
ただ、これは売却予定の半導体事業(非継続事業)を含む予測値と、これを省いた実績値が比較されているためです。
非GAAP指標になりますが、半導体事業を含めた実績はEPS 0.78ドル、売上342百万ドルと報告されており、これは予測値をギリギリクリアする結果です。
ライフサイエンス事業(継続事業)の売上137百万ドルは、前年同期比27%の成長を見せています。
ブルックス・オートメーションの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-12. ビヨンド・ミート(BYND)
植物由来の人口肉、その加工品を製造し販売する。
最近はアナリスト予想を下回る期が続いています。
また、過去は売上の成長が続いていましたが、2020年頃から増加傾向が弱まっています。
1-13. ウォルト・ディズニー(DIS)
テレビチャンネルやラジオ局の運営、ディズニー・ワールドなどのリゾート運営、映画やDVDの政策を行うエンターテインメント企業。
今期はEPS、売上ともにアナリスト予想を下回っています。
ただ、売上はコロナ感染拡大による打撃から回復してきました。(コロナ前の四半期売上は20,000百万ドル前後)
1-14. フェア・アイザック(FICO)
クレジットスコア(FICOスコア)算出、口座管理サービスなどを行う情報ソリューション企業。
今期はEPSがアナリスト予想を余裕をもってクリアしたものの、売上は予想を下回りました。
1-15. グッドアールエックス・ホールディングス(GDRX)
薬局ごとの価格比較や割引クーポンを提供するアプリやwebサイトを運営し、現在は遠隔医療サービスなども行う。
最近はほぼアナリスト予想通りの結果が続いています。
また、売上は増加傾向です。
1-16. ジーボ(GEVO)
再生可能原料から発酵を通じてエネルギー生成を行うバイオエネルギープラットフォームを開発。
EPS、売上ともにアナリスト予想を下回り続けています。
今期のEPSも端数部分でマイナスです。
1-17. ヒストジェン(HSTO)
毛髪(発毛)や皮膚、関節軟骨の再生医療に取り組む臨床段階のバイオテクノロジー企業。また、Amerimmune(株式非公開)と共に新型コロナ(COVID-19)治療薬の臨床も行う。
売上はほぼありません。今期はEPSは予想通り、売上はゼロで同じく予想通りという結果です。
1-18. キャッサバ・サイエンシズ(SAVA)
アルツハイマーなどの神経変性疾患の検出・治療法を開発中。
売上はまだありません。
また、前期と前々期はEPSも予想通りでしたが、今期は60%下回りました。
1-19. ルート(ROOT)
走行データによる運転評価を元に保険商品を提供する保険関連のテクノロジー企業。
アナリスト予想を下回る期が多いですが、今期はEPS、売上のどちらも予想値をクリアしました。
ルートの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-20. アップハーベスト(APPH)
”ハイテク環境制御型”農業施設での作物栽培・販売を行う。2020年10月に施設の一部を開設したばかりで、現在拠点を随時建設中。
今期は初めてアナリスト予想を上回りました。
ただ、売上高自体は前期、前々期から大幅に減少しています。
また今期も、売上543千ドルに対し原価が7,482千ドルかかっている状況です。
なお、通年の見通し(ガイダンス)は、前期で引き下げた通り”売上700万ドル~900万ドル、調整後EBITDA損失7,000万ドル~7,500万ドル”のままでした。
アップハーベストの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-21. リーガルズーム(LZ)
オンラインでの法務サービスを提供。
今期は売上がアナリスト予想をクリアしたものの、EPSが予想に達しませんでした。
また、前期と比較して売上は減少していますが、前年同期比では12%成長しています。
リーガルズームの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-22. デュオリンゴ(DUOL)
言語学習アプリや英語力認定試験を実施。
今期はEPS、売上ともにアナリスト予想を上回っています。
単位 EPS:ドル / 売上:千ドル
デュオリンゴの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-23. クリカット(CRCT)
クラウド型アプリケーションも提供するクラフト機器メーカー。
今期はEPS、売上どちらもアナリスト予想を下回りました。
また、数値自体も前期より減少しています。
クリカットの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
2. まとめ
シフト4ペイメンツ(FOUR)は顧客にレジャー関連が多いためか、最近の売上が着実に増加しています。
気になるのはアメリカンウェル(AMWL)です。
競合となるテラドックが成長を続ける中、売上がなかなか増えていません。
また、アップハーベスト(APPH)もまだ売上拡大には時間がかかるようです。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。なおEPS、売上はTradingViewの数値を使用させて頂いています。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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