2021年11月9日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、18社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移を見ての簡単な所感をまとめました。
- 1. 四半期決算
- 1-1. アイベリック・バイオ(ISEE)
- 1-2. カーディナル・ヘルス(CAH)
- 1-3. パランティアテクノロジーズ(PLTR)
- 1-4. ウェストロック(WRK)
- 1-5. オキュゲン(OCGN)
- 1-6. プラグ・パワー(PLUG)
- 1-7. シスコ(SYY)
- 1-8. コカ・コーラ・コンソリデーティッド(COKE)
- 1-9. ドアダッシュ(DASH)
- 1-10. エバーブリッジ(EVBG)
- 1-11. フルジェント・ジェネティクス(FLGT)
- 1-12. イーストマン・コダック(KODK)
- 1-13. ニーオ(NIO)
- 1-14. トゥーユー(TWOU)
- 1-15. ユニティ・ソフトウェア(U)
- 1-16. アップスタート・ホールディングス(UPST)
- 1-17. ベリトーン(VERI)
- 1-18. ADT(ADT)
- 2. まとめ
1. 四半期決算
1-1. アイベリック・バイオ(ISEE)
眼科疾患の治療薬を開発する製薬会社。
ライバル企業(Apellis社)の臨床試験の結果を受けて、9月に株価が急上昇している。
まだ売上が無い状態です。
EPSはアナリスト予想を下回る期が続いていましたが、今期は予想値をクリアしました。
1-2. カーディナル・ヘルス(CAH)
ジェネリック医薬品や市販薬などの医薬品、医療用品の販売や関連サービスを提供。
しばらくアナリスト予想を達成し続けていたのですが、今年は3期連続でEPSが予想値を下回っています。
ただ、長期的に見ると売上は増加傾向です。
1-3. パランティアテクノロジーズ(PLTR)
国防や大企業向けにビッグデータ分析サービスを提供。
アナリスト予想をクリアし続けています。
なお、2021年の3期EPSの予実差異がゼロになっていますが、実際は端数の部分で7~13%程度の上振れとなっています。
EPSに大きな変化はありませんが、売上は増加を続けています。
パランティアテクノロジーズの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-4. ウェストロック(WRK)
段ボールを中心に扱う包装資材メーカー。
今期はEPS、売上ともにアナリスト予想をクリアしました。
1-5. オキュゲン(OCGN)
膝軟骨損傷の治療や軟骨損傷を防止する技術、製品を開発する再生医療企業。不活化ウイルスベースのコロナウイルス(COVID-19)ワクチン”コバクシン”を、インドの製薬会社バーラト・バイオテックと提携して開発。
売上はほぼゼロで、EPSもアナリスト予想を下回る期が続いています。
数日前、コバクシンの緊急使用をWHOから承認されたので、今後は売上が発生するかもしれません。
1-6. プラグ・パワー(PLUG)
燃料電池メーカー。フォークリフトや無人搬送車向けの液体水素燃料などを展開。グリーン水素のプラントも持つ。
今期はEPS、売上のどちらもアナリスト予想に達しませんでした。
売上自体は伸びてきているものの、主力である燃料電池システム以外は大きな赤字です。
しかし、新しいグリーン水素プラントの建設発表もあり、世界的な脱炭素化の流れには非常にマッチしています。
プラグ・パワーの年次決算や事業内容についてまとめた記事はこちらにあります。
1-7. シスコ(SYY)
フードサービス産業向けに食品を販売。
今期はEPSがアナリスト予想に達しませんでした。
コロナ感染拡大による打撃を受けていましたが、現在はコロナ前の売上に戻っています。(コロナの影響が出る前の2019年の四半期売上は15,000百万ドル前後)
1-8. コカ・コーラ・コンソリデーティッド(COKE)
発砲飲料やジュース、お茶など、幅広く取り扱う飲料メーカー。
最近はアナリスト予想のEPSを毎回大きく超えています。
また、鈍化してきてはいるものの、売上は増加傾向です。
売上予測が出ていないため、実績のみ掲載しています。
1-9. ドアダッシュ(DASH)
レストランやファストフードの料理を中心に扱うデリバリー・サービスを提供。
EPSはアナリスト予想を下回り続けています。
一方、売上は毎回予想値をクリアしており、数値自体も増加傾向です。
ただ、前期と比較すると若干売上の伸びが小さい期でもありました。
IPOが12月のため、2020年10月~12月期については売上の実績値のみ掲載しています。
1-10. エバーブリッジ(EVBG)
企業向け緊急事態管理(CEM)のSaaSプラットフォームを提供。緊急時の大規模な通知や管理が可能。
EPS、売上ともにアナリスト予想を達成しています。
まだ赤字続きですが、売上は増加を続けています。
1-11. フルジェント・ジェネティクス(FLGT)
様々な遺伝子テストを提供するバイオテクノロジー企業。
今期はEPSのみアナリスト予想を達成しています。
2020年後半から一気に売上が増加したものの、そのまま四半期ごとに売上連続成長とはなりませんでした。
1-12. イーストマン・コダック(KODK)
写真用品メーカー。かつてはフィルム・カメラ分野で富士フイルムとシェアを二分していた。
売上は長期的に減少しており、直近の四半期でも増加傾向はみられません。
TradingView、Yahoo!financeのどちらにもEPSと売上の予測・実績が出ていないため、決算書から売上の実績のみを引用しています。
イーストマン・コダックの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-13. ニーオ(NIO)
ケイマン諸島のEV自動車メーカー。本社は中国上海。
今期は、EPS、売上ともにアナリスト予想を達成しました。
また、売上が増加傾向にあります。
1-14. トゥーユー(TWOU)
教育関連のSaaS型プラットフォームを提供。
アナリスト予想をクリアし続けており、売上も増加傾向にあります。
1-15. ユニティ・ソフトウェア(U)
世界最大のシェアを持つといわれるゲームエンジン”Unity”を開発。ゲーム以外にも、XRやリアルタイムの双方向3D技術が自動車設計、医療現場、建築などに利用されている。
アナリスト予想をクリアし続け、売上も毎四半期増加しています。
1-16. アップスタート・ホールディングス(UPST)
AIを活用した融資プラットフォームでローン商品を提供する。
アナリスト予想を達成し続けています。
また、この一年間でEPSが増加しており、売上も最近の伸びが非常に大きいです。
1-17. ベリトーン(VERI)
クラウドベースの人工知能(AI)プラットフォームを開発し提供する。
EPSはマイナス続きですが、アナリスト予想を達成し続けています。
また、売上は少しずつ増加していますが、ほぼ予想値通りです。
1-18. ADT(ADT)
電子警備システムによるセキュリティ大手。
アナリスト予想を下回るEPSが続いています。
売上が予想値を超えてはいますが、あまり大きな差はありません。
また、最近は売上の伸びもほとんどない状態です。
2. まとめ
パランティアテクノロジーズ(PLTR)やプラグ・パワー(PLUG)、ニーオ(NIO)、アップスタート・ホールディングス(UPST)、ユニティ・ソフトウェア(U)など、よく話題にのぼる人気銘柄の決算が多くありました。
赤字・黒字といった違いはありますが、いずれもその人気通り、売上を着実に伸ばしています。
ただ、この中ではプラグ・パワーの売上がアナリスト予想を下回っており、インフラ法案可決というプラス要素がある中でどの程度株価に影響してくるかが気になります。
また、あまり話題にならない銘柄ですが、エバーブリッジ(EVBG)も売上を着実に増加させていました。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。なおEPS、売上はTradingViewの数値を使用させて頂いています。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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