2021年11月8日に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、13社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移を見ての簡単な所感をまとめました。
■ナプコ・セキュリティ・テクノロジーズ(NSSC)を追加しました。
1. 四半期決算
1-1. コティ(COTY)
香水や化粧品、スキンケア・ボディケア分野の商品を提供する美容製品メーカー。
今期はアナリスト予想を達成しました。
特にEPSは予想値の2.5倍以上という結果です。
1-2. スリーディー・システムズ(DDD)
3Dプリンター大手。最近ではバイオプリンティングにも注力。
EPSや売上に継続した上昇傾向はないものの、最近はアナリスト予想を連続してクリアしています。
前年同期比では売上が増加し営業損失が減少するという良い結果でした。
また、医療用シミュレーションのSimbionix、オンデマンド・マニュファクチャリング事業といった事業売却による利益が発生し、最終的には黒字(純利益の発生)となっています。
スリーディー・システムズの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-3. アミリス(AMRS)
合成生物学を使った化合物や、それを使用した製品を提供する。サトウキビなど植物由来の糖質を、微生物(酵母など)を利用して他の機能を持つ成分に代謝する技術を持つ。
最近はアナリスト予想をクリアできない期が多いです。
しかし2020年10月~12月から、売上は予想値を達成するようになりました。
そして前期と今期は一転して、売上が予想値に及ばないもののEPSはクリアしています。
アミリスの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-4. ファイブ9(FIVN)
コンタクトセンター向けのクラウドサービスを提供。
アナリスト予想を毎回クリアしています。
また、EPSは多少上下していますが、売上が継続的に増加し続けています。
1-5. アカーナ(KERN)
アケルナとも呼ばれる。医療大麻のデータベースシステム”Leaf Data System”を提供。
アナリスト予想を下回るEPSが続いていましたが、今期はどちらも予想値を達成しました。(なお、売上はほぼ予想通り)
また、売上は徐々に増加傾向となっています。
2020年10月~12月のEPS、売上は掲載されていなかったので割愛します。
1-6. インビティ(NVTA)
遺伝性の乳がん、腸がん、前立腺がんの診断を行う遺伝子検査サービスなどを提供。
アナリスト予想に到達しない期が多いです。
今期はEPS、売上どちらも未達でした。
ただ、四半期ごとの若干の上下はあるものの、売上は増加傾向です。
1-7. ペイパル・ホールディングス(PYPL)
電子決済・送金サービス大手。最近は仮想通貨への対応、様々な機能を集約したアプリ開発などが話題。
最近はアナリスト予想を超えるEPSをキープしています。
ただ、前期に引き続き今期の売上もわずかに予想値に達しませんでした。
売上の伸びが鈍化してきているようにも見えますが、第4Qも6,000百万ドル程度の売上を獲得できれば、ひとまず2020年よりも大きな年間売上となりそうです。(第4Qの売上ガイダンスは6,850百万ドル~6,950百万ドルの範囲としている)
ペイパルの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
1-8. ロブロックス(RBLX)
ゲーミングプラットフォームを提供する。ユーザーはプラットフォーム内のゲームで遊ぶだけではなく、自身もゲームを制作・配信できる。また、制作したゲームに課金システムを導入すれば収益化も可能。
プログラミング教育に利用する動きもある。
これまでのところ、EPSが毎回アナリスト予想を下回っています。
ただ、前年同期比では売上が28%増加(繰延収益の調整含む)平均デイリーアクティブユーザー(DAU)は31%増加しています。
2021年3月にIPOしたため、2020年10月~12月期は割愛します。
1-9. ヴァージン・ギャラクティック・ホールディングス(SPCE)
民間の宇宙旅行を開発中。FAAから商業飛行の許可を取得しており、2022年内には商業飛行を始める予定としている。
売上はほぼなく、EPSもアナリスト予想を下回っています。
ただ今期は、7月のフライトによるスポンサー収入、技術のマイルストーン収入が発生しました。
また、9月後半に予定されていたイタリア空軍を乗せてのテスト飛行(収益が発生するとしている)が車両の再調整のため延期され続けており、この行方も気になります。
ヴァージン・ギャラクティックの事業内容などについてまとめた記事はこちらにあります。
1-10. トリップアドバイザー(TRIP)
口コミ情報やランキングなどを掲載する旅行コミュニティサイトを運営。
今期はEPS、売上ともにアナリスト予想を下回っています。
ただ、売上は大幅に増加してきており、コロナ感染拡大による打撃から回復してきていることが伺えます。(なお、コロナ前の四半期売上は400百万ドル前後)
1-11. トレード・デスク(TTD)
インターネット上での最適な広告出稿を自動で行うプラットフォーム(DSP広告)を、顧客に直接販売するのではなく広告代理店に提供し、利益相反などのデメリットをなくしたビジネスモデル。
アナリスト予想をしっかりとクリアし続けています。
また、四半期ごとに見ると上下があるものの売上は年々増加しており、第3Qまでの9ヶ月間の売上を比較すると前年同期比55%増加しています。
1-12. AMCエンターテインメント・ホールディングス(AMC)
演劇事業の大手持株会社。
アナリスト予想を下回る期が続いていましたが、前期と今期は予想値をクリアしています。
同じ時期から売上も大きく増加しはじめ、コロナ感染拡大による打撃から回復し始めていることがわかります。(コロナ前の四半期売上は1,400百万ドル前後)
ただ、株価はコロナ感染拡大が問題になる以前から下落・低迷気味で、動き始めたのは2021年2月頃です。
コロナショックからの立ち直りや投資ブームが株価に大きく影響していると考えられます。
1-13. ナプコ・セキュリティ・テクノロジーズ(NSSC)
セキュリティ製品メーカー。
アナリスト予想を上回る期が多いです。
また、今期はEPSが予想値を大きく超えました。
ナプコ・セキュリティ・テクノロジーズの事業内容や年次決算についてまとめた記事はこちらにあります。
2. まとめ
トリップアドバイザー(TRIP)やAMCエンターテインメント・ホールディングス(AMC)など、コロナによる大打撃を受けた企業の回復傾向が、この日の決算でも見られました。
また、ネットワーク、ステイホーム関連銘柄としては、ファイブ9(FIVN)の直近一年間の売上成長と比較すると、ロブロックス(RBLX)やペイパル・ホールディングス(PYPL)の売上の伸びが少々落ち着いているように見えますが、まだまだ展開の余地がありそうな事業内容なので引き続き追っていきたい銘柄です。
また、ヴァージン・ギャラクティック(SPCE)については決算内容はあまり期待されておらず、それよりも次回のテスト飛行の日程や、無事成功するのかといった点が非常に重視されています。
こちらも注視しておきたいです。
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。なおEPS、売上はTradingViewの数値を使用させて頂いています。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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