2021年10月18日~22日の間に発表された米国企業の四半期決算について、個別記事のまだないものも含め、20社分の売上・EPS(アナリスト予想との比較)、売上や利益の推移を見ての簡単な所感をまとめました。
- 1. 四半期決算
- 1-1. バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)
- 1-2. ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
- 1-3. トラベラーズ・カンパニーズ(TRV)
- 1-4. インテュイティブ・サージカル(ISRG)
- 1-5. ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス(UAL)
- 1-6. ネットフリックス(NFLX)
- 1-7. バイオジェン(BIIB)
- 1-8. ナスダック(NDAQ)
- 1-9. テスラ(TSLA)
- 1-10. ネクステラ・エナジー(NEE)
- 1-11. アイビーエム(IBM)
- 1-12. アメリカン航空グループ(AAL)
- 1-13. ダウ・ケミカル(DOW)
- 1-14. マーシュ・アンド・マクレナン(MMC)
- 1-15. インテル(INTC)
- 1-16. クロックス(CROX)
- 1-17. バレロ・エナジー(VLO)
- 1-18. チポトレ・メキシカン・グリル(CMG)
- 1-19. アメリカン・エキスプレス(AXP)
- 1-20. スナップ(SNAP)
- 2. まとめ
1. 四半期決算
1-1. バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)
大手銀行持株会社。
2021年は、EPS・売上共にアナリスト予想を上回り続けています。
また、数値、金額自体も増加しており好調です。
1-2. ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
大手医薬品・医療機器メーカー。
第3QのEPSはクリアされましたが、売上はアナリスト予想を下回りました。
また、タルク訴訟に関して、子会社の設立と破産という思い切った手法をとっています。
(この訴訟や四半期決算について詳しくはこちらで紹介しています)
1-3. トラベラーズ・カンパニーズ(TRV)
損害保険を提供する持株会社。
直近の半年間はEPS・売上共にアナリスト予想を上回っています。
特にEPSは、連続して予想値を40%以上超えています。
1-4. インテュイティブ・サージカル(ISRG)
手術ロボットで圧倒的なシェアを持つ企業。
アナリスト予想を上回り続けていますが、今期は予想との差が小さくなっています。
しかし販売台数は安定しているので、需要は衰えていないようです。
四半期決算についてこちらでも詳しく紹介しています。
1-5. ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス(UAL)
世界各国に一日約5,000便を運航する航空持株会社。
EPSは未だにマイナスが続いていますが、予想より改善した結果でした。
また、売上がかなり回復してきています。
1-6. ネットフリックス(NFLX)
映画やテレビ番組、オリジナル番組のネット配信を行う。
EPSは上下し、アナリスト予想を下回る期もありますが、売上は増加を続けています。
1-7. バイオジェン(BIIB)
クローン病治療薬、再発性多発性硬化症治療薬などを主力とするバイオ医薬品企業。
前期よりEPS自体は下がったものの、アナリスト予想を17%上回りました。
1-8. ナスダック(NDAQ)
ナスダック証券取引所の運営会社。
アナリスト予想はクリアしていますが、最近は少々数値が下降気味です。
1-9. テスラ(TSLA)
電気自動車(EV)メーカー。充電用のシステム、保険なども扱う。
今期は売上がアナリスト予想を下回っていますが、売上額自体は前期より15%増加しました。
また、EPSが四半期ごとに大きく上昇しています。
1-10. ネクステラ・エナジー(NEE)
大手電力会社。天然ガスなどの発電施設も所有。
売上はアナリスト予想を20%程度下回り続けていますが、EPSは毎期達成されています。
1-11. アイビーエム(IBM)
インターナショナル・ビジネス・マシンズ。PC関連製品やコンサルを手がけるIT企業。
EPSはほぼアナリスト予想通りで、売上は予想値に届きませんでした。
今期はあまり良い決算とは言えません。
1-12. アメリカン航空グループ(AAL)
大手航空会社。
EPSはまだマイナスですが、この一年間で売上が約2倍になるなど回復傾向にあります。
1-13. ダウ・ケミカル(DOW)
幅広い製品を扱う化学メーカー。
2021年は好調で、EPSはコロナ前よりも大きく上昇しています。
しかし、今期のEPSは前期とあまり変わりませんでした。
1-14. マーシュ・アンド・マクレナン(MMC)
保険サービスとコンサルティングサービスを提供。
今期は勢いが落ちたように見えますが、過去の決算を見ると例年第3Qは売上が減少しているようなのであまり心配する必要はなさそうです。
マーシュ・アンド・マクレナンの四半期決算についてはこちらで詳しく紹介しています。
1-15. インテル(INTC)
半導体チップの大手製造メーカー。
継続してアナリスト予想を超える数値を出しています。
特に今期のEPSはアナリスト予想を50%以上超える高い数値ですが、売上の詳細を見ると、売却予定事業を省いた金額が市場予想を下回ってしまいました。
近年市場シェアの低下が問題となっているインテルですが、年間見通しも前年を下回る見込みとなっているなど、苦戦している状況です。
1-16. クロックス(CROX)
樹脂製の靴・サンダルの製造会社。
EPSはアナリスト予想を上回り続けており、上昇してきています。
また、今期の売上は前期を下回りましたが、それまではかなりの間増加を続けていました。
1-17. バレロ・エナジー(VLO)
石油企業。製油所の運営、燃料の販売などを行う。
長い間売上・利益共に上下していましたが、2020年半ばからの四半期は売上が増加を続けています。
1-18. チポトレ・メキシカン・グリル(CMG)
メキシコ料理チェーンを運営。デジタル販売が好調。
デジタル販売のための改革が落ち着いてきたこともあってか、コロナ前と比較してもEPSは上昇しています。
また総売上も増加傾向にあり、デジタル販売の拡大とレストラン店舗の売上回復が積み重なっています。
1-19. アメリカン・エキスプレス(AXP)
クレジットカードを発行する銀行持株会社。
上記の表の売上は支払利息控除後の金額です。
2020年は不調でしたが、じわじわと回復してきています。
1-20. スナップ(SNAP)
スナップチャットを運営するSNS企業。広告によって収益を得ている。
まだ事業が黒字化していない成長段階の企業ですが、売上が予想を下回りました。
この主な要因は、ターゲティング広告などへの個人情報利用制限の動きが強まっていることで、特にAppleが行ったiOSのアップデート(ユーザーデータの利用制限)が大きく影響を及ぼしています。
また、この決算発表を受け、他のSNSや広告収益に関連する銘柄も連れ安となりました。
2. まとめ
2021年8月~10月の四半期は、コロナ感染拡大によって悪影響を受けたセクター(航空会社や飲食店など)の回復が目立ちました。
また、サプライチェーンの混乱や半導体不足といった状況下で売上・利益を拡大しているテスラ(TSLA)に期待が集まっています。
一方でユーザーの行動データを元に広告を最適化し配信してきたSNSなどは、厳しい環境になっていきそうです。(今回のAppleだけでなく、GoogleもAndroid OSに同様にアップデートを行うと発表済み)
今回の内容は個別の分析記事とは違い、売上や利益にフォーカスした、より簡略的なものとなっています。なおEPS、売上はTradingViewの数値を使用させて頂いています。
また、記事の内容はあくまでクロの考え・判断を中心に構成されているため、投資の際はご自身の判断の上、自己責任で行ってくださいますよう、お願いいたします。
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